古川雄輝：映画『リスタートはただいまのあとで』インタビュー「竜星くんは僕にないものを持っているので、とても魅力的だなと感じました」

――本作の台本を読んだ時はどのような印象を受けましたか？

「お話をいただいた時にBL漫画が原作の映画だと聞いていたので、そういったイメージで台本を読み始めました。ところが最後まで読んでみると、BLというよりは人が人を好きになる純愛物語という印象を受けたんです。映画の宣伝的に入り口をBL作品として前面に出したほうがインパクトがありますし(笑)、原作ファンの方もそういった部分を楽しみにしているかもしれない。ただ、僕の中では光臣という人間が竜星涼くん演じる大和と出会い、彼から様々な影響を受けて成長していく物語という捉え方で撮影に挑んでいたように思います。単純に凄く良い話なので、それを素直に届けたいという思いで参加させていただきました」

――では台本を読んだ段階で“純愛BL”ということをあまり意識せずにクランクインを迎えたということですね。

「そうですね。劇中には光臣と大和のキスシーンもありますが、以前『ライチ☆光クラブ』という作品で男性同士のキスシーンをやったことがありますし、特に抵抗もなく意識もしなかったです」

――古川さんは井上竜太監督と昔から交流があるそうですが、監督デビュー作の主演でオファーを頂いた時はどのような心境でしたか？

「やはり昔から知っている井上監督から主演で声をかけて頂けたのは嬉しかったですし、監督のために頑張ろうという思いでお受けしました。これまで様々な作品のプロデュースや演出を手掛けてらっしゃいますし、“監督をやりたい”という思いも知っていたので、それがこういう形で実現したのは感慨深いです」

――本作では光臣と大和の関係性が少しずつ変化していく様子が描かれていますが、竜星さんとはどのようにコミュニケーションをとっていかれたんですか？

「お会いする前から僕とは違うタイプの方なのかなとは思っていて、実際にお会いして彼と趣味の話をしたら予想通り全く一致しなかったので“やはり！”と（笑）。だからこそ光臣と大和という役柄にそれぞれピッタリなんだなと思ったのを覚えています。地方でのロケ撮影だったので、僕は撮影が終わるとホテルに戻って翌日の準備をして、竜星くんは一人で飲みに行って地元の方々と仲良くなって、という風に正反対の時間を過ごしていたというか（笑）。ただ、役者としての考えた方や雰囲気はどこか似ている部分もあるのかなと思ったりもしました。例えば、僕も竜星くんも一般の友達が多くて役者をやっている人とは普段はそんなに会わないとか。現場ではお芝居の話は一切しなかったですけど、自然と大和と光臣の関係性を作れたように思います」

――竜星さんのお芝居から刺激を受けることも多かったですか？

「お芝居もそうですけど、竜星くんは僕にないものを沢山持っているので、とても魅力的だなと感じました。疑問に思ったり納得いかないことがあると僕は我慢できないタイプなんですけど、彼は何事にも対応できるし精神力も強い。それに地元の方達と仲良くなるほどコミュニケーション能力が高いので、いろいろと見習わないといけないなと思うことが多々ありました」

――ここ最近で役者としての意識の変化などを感じてらっしゃることがあれば教えてください。

「前よりも年齢を意識しなくなったかなとは思います。というのも、20代の頃はよくインタビューで“30代の壁”について話していて、例えば20代と30代では相手に与える印象も違うし、年齢はキャスティングにも大きく影響してくると思っていたんです。20代で学生役といった若い役を演じることもありましたしね。だから30代になったらどうなるんだろうと漠然と思っていましたし、少しずつ大人の男性の役を演じていって準備しなければいけないんじゃないかと考えたりもしました。でも、いざ30代になるとそういうことがあまり気にならなくなってきたというか。とにかく与えられた役に対して熱量を持って演じることが大事なんだと、いまはそういう風に何事にも取り組んでいます。今回だったら“井上監督のために全力で頑張る”とか、自分の中で“これのために、この人のために”というのを決めて、そこに向けてベストを尽くしていけば、作品を観てくださった方にもそれはちゃんと届くと信じて役者をやっています」

PROFILE

古川雄輝　YUKI FURUKAWA

1987年12月18日生まれ、東京都出身。

〈近年の主な映画出演作〉
『風の色』（2018年）
『曇天に笑う』（2018年）
『となりの怪物くん』（2018年）
『屍人荘の殺人』（2019年）
『思い、思われ、ふり、ふられ』（2020年8月14日公開）

〈待機作〉
MBS/TBSﾄﾞﾗﾏイズム「荒ぶる季節の乙女どもよ。」2020年9月8日からスタート(全8回)

役作りや監督とのやりとり、私生活のお話など古川雄輝さんのグラビア＆インタビュー詳細は8月25日発売の「SCREEN+Plus（スクリーンプラス）Vol.68」本誌にてご紹介しています。

予告映像

あらすじ

職場で上司に人間性を否定され、会社を辞めて10年ぶりに田舎に戻った光臣(古川雄輝)は、近所で農園を営んでいる熊井のじいちゃんの養子・大和(竜星涼)と出会う。
大和のことを「馴れ馴れしくてウザい奴」と思っていた光臣だが、父親に実家の家具店を継ぐ事を拒絶され、農園の手伝いをはじめると、大和と過ごす時間が増えていく。
ふさぎこんでいる光臣を励まし、心の痛みに寄り添う優しい大和。次第に、自分の弱さも受け入れてくれる大切な存在に変わっていく。
ある夜、酔いつぶれた二人だったが、目が覚めた光臣は寝ている大和に思わずキスをしてしまい・・・抱いている感情にハッとする。
大和の高校の同級生で親友の上田(佐野岳)から、「アイツには秘密がある」と耳打ちされたことを思い出した光臣の前に、親しげに大和と話す年上の女性が現れて・・・。
光臣は大和へ想いを伝えることはできるのか?
そして、親との確執を乗り越えて、自分の夢と向き合う事ができるのか?

映画『リスタートはただいまのあとで』

2020年9月4日（金）シネ・リーブル池袋ほか全国順次公開

出演：古川雄輝 竜星 涼
　　　村川絵梨 佐野 岳 ／ 中島ひろ子 螢 雪次朗 甲本 雅裕
監督：井上竜太
脚本：佐藤久美子
原作：ココミ著書「リスタートはただいまのあとで」（プランタン出版 刊）
配給：キャンター
©2020 映画「リスタートはただいまのあとで」製作委員会

映画『リスタートはただいまのあとで』

映画『リスタートはただいまのあとで』 9月4日(金)よりシネ・リーブル池袋ほか全国公開

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