東京芸術劇場・プレイハウスにて宮沢氷魚、大鶴佐助出演によって9月17日より23日まで上演される舞台『ボクの穴、彼の穴。 The Enemy』が初日公演を迎えた。
「戦争です。」
このことばから始まるデビッド・カリとセルジュ・ブロックの絵本。
戦場の塹壕に取り残され、お互いへの恐怖と疑心暗鬼にさいなまれる兵士の物語。 殺すか、殺されるか、じっと塹壕に身を潜め、互いに相手を「モンスター」だと信じ、「殺す」ことだけにコミットしている、しかし、その塹壕には自分一人。「戦争のしおり」が自分の正しさと信義のすべてである。お互いに「戦争のし おり」という大きな力に操られ、どんどん相手が大きなモンスターになり、疑心暗鬼と見えない敵への妄想が膨らむ 「ボク」と「僕」。孤独と死への恐怖の限界まできたとき、最後に彼らは何を選択するのだろうか・・・。
松尾スズキが初めて翻訳を手掛けて話題となった絵本をもとに、ノゾエ征爾が翻案、脚本、演出を手掛け、2016年、PARCO劇場の「クライマックス・ステージ」を飾った傑作舞台。
初演に引き続き、演出はノゾエ征爾。新たな「ボク」と「僕」には、新生PARCO劇場オープニング・シリーズ第一弾『ピサロ』にて、太陽の息子・インカ王アタウワルパを堂々と、神々しく演じた宮沢氷魚。そして同作品で将軍ピ サロの小姓マルテインを繊細に表現した大鶴佐助が演じている。
キャスト、演出コメント
宮沢氷魚
今年の春に、『ピサロ』という作品に出演して いたのですが、残念ながら 10 公演で中止と なってしまい、それ以来の作品ということですご く楽しみにしていました。このようなご時勢なの で、本当に幕が開くのか不安もありましたが、 今日こうして無事に初日を迎えられることを 嬉しく思っています。 最近は一人になることが簡単になってしまって、 一人でいても生活はできるし、人とコミュニケ ーションをとることや、他人の人生に関わると いうことがおろそかになる可能性が高い状況だと思うんです。個と個で、相手の存在という か、相手が生きていることを確かめて安心する。当たり前だからこそ忘れてしまうことに面と向かったこの作品に出演できて、光栄です。舞台は 5 作目ですが、こんな に肉体的にも精神的にも追い込まれたのは初めてです。2 人芝居で、セリフの量も想像以上でしたが、稽古はしんどいけど楽しく、稽古や演劇が好きなんだなと再確認しました。 僕、佐助、そしてノゾエさんで作品を作り、人前で披露する。その当たり前のことがやっと始動できるようになり、嬉しいです。でもまだ、観客の皆さんも感染予防に気を付けて来てくださると思いますし、僕たちも体調管理に努めて万全の状態で、毎回新しく楽しい公演をお送りしたいと思います。
大鶴佐助
今、やっと長い稽古の末にゲネプロが終わって、どれだけ稽古場で稽古をしていても、観てくれる人がいるって全然違うな って、感慨深いものがあります。今日の夜が初日ですので、実際にはここから(スタート)ですが、「ゲネプロ終わったな!」とほっとしています。 戦争を体験していない僕たちが演じて、観に来てくださるお客さんも戦争を体験していない方が多いと思います。目に見えないモンスターは、そんな僕たちがこの作品の中で共有できるものの一つだと思っていて。共有できるからこそ、目には見えないものを僕たちが実体をもって演じていないと、お客さんは納得してくれないんだろうなと、ノゾエさんと氷魚くんとディスカッションして稽古してきました。普段は舞台を観て、お芝居を観に行ったという感覚になるかもしれませんが、この作品は かなり現実と地続きになっていると思うので、お客さんに「そんなもん?」と思われたら僕たちの負けだなと思いますね。 舞台は毎回同じものがないというか、毎公演二人で役を生きて、その日のお客さんとその日の僕たちで作り上げる作品だと思うので、その一回限りの作品を毎回大事にしたいと思います。
ノゾエ征爾(演出)
ずっと公演が中止となっており、この公演が今年初めての本番ということでとても感慨深いです。劇場は、こうやって人が 集まることで息遣いが生まれてくるのだなと改めて感じました。いったい何が起きていて、何を信じればいいのか、そして人 と関われないという生活にみんなが追い込まれて行く時に、今作の穴の中に一人でいる状況がリンクして、4年前の初演 時は普遍的なテーマでみなさんに共感していただけるかなと思っていたのですが、この時期になった時に多くの方がどこかで似たような感覚を持ち、登場人物を見られるんじゃないかなと思いました。このような状況下で、一つの公演を立ち上げていくといった時に、演劇はこれだけ多くの大人たちが、色々なことに気を使 いながら、本気になって、模索して作り上げているのだと改めて肌で感じた稽古でしたし、キャストのお二人がその大人たちの期待を一身に背負って、舞台上で生きる生き様を毎回稽古の時から楽しみにしていました。(規制緩和を受けて) これから段々と客席が埋まっていくことで、彼らがどう息衝いていくのか千秋楽まで見届けたいと思います。
PARCO Production『ボクの穴、彼の穴。 The Enemy』
原作 :デビッド・カリ
イラスト :セルジュ・ブロック
翻 訳 :松尾スズキ(千倉書房より)
翻案・脚本・演出 :ノゾエ征爾
出 演 :宮沢氷魚 大鶴佐助
音 楽 :田中馨
美 術 :乘峯雅寛
衣裳・小道具 :下田昌克
照 明 :佐藤啓
音 響 :井上正弘
演出助手 :大江祥彦
舞台監督 :南部丈
プロデューサー :毛利美咲
製 作 :井上肇
企画製作 :株行会社パルコ
会 場 :東京芸術劇場 プレイハウス
公演日程 :2020 年 9 月 17 日(木)~9 月 23 日(水)
チケット料金:8,000円(全席指定税込) ※入場制限緩和に伴い、9月19日以降の公演で座席を追加販売いたします。
チケット発売:8月15日(土)
お問い合わせ:パルコステージ 03-3477-5858(時間短縮営業) https://stage.parco.jp /
「ボクの穴、彼の穴。」PARCOSTAGE@ONLINEにてライブ配信
東京芸術劇場での上演中の舞台をライブ配信。自宅で劇場にいるお客様と一緒に2人の熱い舞台を体験
ライブ配信日時:2020年9月21日(月祝)18時
※アーカイブ(見逃し)配信:9月24日(木)23:59まで
視聴チケット料金:3,000円(税込)
視聴は以下2つの方法が選べます。
Streaming+ もしくはPIALIVESTREAM
<販売期間>2020年9月14日(月)12:00~9月24日(木)20:00まで
<視聴チケット取扱い>
チケットぴあ(PIA LIVE STREAM) https:w.pia.jp/t/bokuana/ イープラス(イープラス「Streaming+」) https:eplus.jp/bokuana-st/
公演公式サイト:https://stage.parco.jp/program/bokuana2020/
PARCO STAGE@ONLINE詳細: https://stage.parco.jp/blog/detail/2335