この舞台挨拶イベントに登壇したのは、主演の多部未華子をはじめ、岸井ゆきの、美村里江、岩田剛典、鶴見辰吾、永瀬正敏、岩下尚史、髙橋洋、青山真治監督。舞台挨拶の模様はYouTubeでも配信された。
作詞家・小竹正人が手掛けた小説「空に住む」(2013年刊・講談社)と共に誕生した三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEの楽曲「空に住む~Living in your sky~」が原作の映画化となる本作が、10月23日(金)に公開される。
現代日本に生きるすべての女性たちへのエールを贈る映画『空に住む』のメガホンをとったのは、長編映画7年ぶりの青山真治監督だ。
また、10月21日から30日に開催される第25回釜山国際映画祭 アジアの窓(ウィンドウ・オン・アジアンシネマ)部門に正式出品されることが決定している。
主演の多部未華子が、両親の急死により、叔父夫婦の住むタワーマンションの高層階で暮らすことになった主人公・直実を演じる。訳あり妊婦の後輩・愛子(岸井ゆきの)ら気心しれた仲間との仕事、直実を気にかけてくれる叔母・明日子(美村里江)らとの日常の中でもどこかに喪失感を抱えている。そんな彼女の前に日本を代表するスター俳優、時戸森則(岩田剛典)が突如として現れる。
仕事、人生、恋愛に日々揺れながら、それでも未来へ歩き出す女性たちへ、エールを送る物語。
主演の多部未華子、青山真治監督からの演出とは?
多部未華子「監督とは撮影中もほとんどコミュニケーションをとっておらず、いまだにどういう方なのかわかってないです... (苦笑)。そんな中で生まれた映画です(笑)(多部が演じた直実という女性は)一言で説明できない性格の持ち主。感情が表に出ないし、泣けない女性で難しかったですし、『何言ってんのかな?』という部分もいっぱいあったんですが、難しいながらも現場でつかんでいきました」
岸井ゆきの「青山さんの演出は直接的じゃなく、『もっとスッキリしてていい』という感じで、『こういうシーンなので、こうやって』というやり方じゃないんです。現場の空気や風、温度をくみ取って映画を作っていきました。(古民家をベースにした出版社での多部さんとの撮影では)私が(撮影を離れて)多部さんとして接してるのと、役として撮っているのと差がないんです。休憩時間に、岩田さんが演じたスター俳優の時戸が出ている(小道具の)雑誌を見たんですけど、それが映画のシーンなのか、多部さんとの時間なのか、 あいまいになるくらい、素の部分と撮影の差がなかったです」
鶴見辰吾「(青山真治監督は)何も言わないで、結局、相手のいいところを出させちゃう。もっと出さないと監督は喜ばないんじゃないかと思わせる数少ない監督なんです」
髙橋洋「台本に『出版社』とあったのですが、行ってみたら古民家で、そういう場所でできることが嬉しくて、自然と『こういう感じでしゃべるのかな?』とか『こういう風に働いているのかな』というのが、用意していただいた空気で決まりました」
青山真治監督「俳優さんがやりたいようにやっているのを、僕がニコニコ見ていることで成立していく現場を常に心がけています」
3~4度目の共演:美村里江と鶴見辰吾
美村里江「共演は 3~4 度目で、これまで叔父と姪だったり、金持ちと庶民という関係だったんですけど、2人でお金持ちの夫婦役を演じるのは楽しかったです」
鶴見辰吾「亭主として(妻を)幸せにしているとばかり思ってて、映画を見たら『こんなに悩んでたんだ?』と。夫婦ってそういうことあるんだな...と自分も注意しようと思いました」
スター俳優(時戸森則)役を演じた岩田剛典、役柄について
映画の中で独特の際立った存在感を放っているのが、直実と同じタワーマンションに住むスター俳優・時戸を演じた岩田
岩田剛典「(自身の役柄について)脚本を読んだ時から『変な人だな』って思いました。共通部分があると言いたくない役。ひどい奴だな...と思いながら読んでました(笑)。青山監督とクランクイン前にお会いした時、今でも記憶に鮮明なんですけど、お花を持ってきてて、いきなり『食べれそうな花ある?』と聞かれたんです(笑)。確かに脚本のト書きに『生きている花をちぎって食べる』とあったんで、どう表現するのかなと思ってたんですが、本当に花を食べるシーンが成立するとは...。見たことのないシ ーンになったなと思います」
難しい役どころを演じた岩田剛典について:青山真治監督
青山真治監督「人にはその人なりの聡明さがあるんですけど、岩田さんは人に“ほら、これが岩田だよ”と世間に教えさせるような不思議な才能を持っている人なんですよね」
岩田剛典「もったいないお言葉。これが岩田です(笑)!」
会場「(笑)」
エレベーターの中でのスター俳優との出会いについて、女性キャストは、、、
MC 「もし実際に時戸のような男性に出会ったら恋に落ちますか?」
多部未華子「難しい問題ですよ(苦笑)」
美村里江「岩田さんの風貌は誠実さがにじみ出ているので、大丈夫かなと思うけど、そうじゃないと怖くてセキュリティ ボタンを探しちゃう(笑)!」
多部未華子「(映画の中は)見た目が岩田さんだから(大丈夫)だけど...」
岩田剛典「どうリアクションしていいのか...(笑)。(時戸のような男には)ついていかない方がいいと思います」
ワンシーンの出演ながら大事な、重要な役割を:永瀬正敏
ペット葬儀屋役を務めた永瀬
永瀬正敏「原作者の小竹さんとは 数十年来の友人であり、物語の中に書かれている、実際に小竹さんが体験した事柄を間近で見ていたそうで「(小竹さんの)猫にも会ってますし、タワーマ ンションにも行ってるし、(猫をなくす)喪失感も直に見ています。そういう意味で、ワンシーンしか出てないけど、僕にとって特別な映画になりました」
多部未華子演じる直実の勤める出版社の代表を演じた作家の岩下尚史
岩下尚史「映画を見て、小竹さんは芸能界のこともよくご存じで、出版社の人のこともよく ご存じで。岩田さんが演じたスターのような人もよくいますし、多部さんが演じたああいう怖い編集者もいます」
最後に多部未華子からメッセージ
多部未華子「この映画のとらえ方は様々で、男女でも違うだろうし、いろんな見方があると思います。それぞれ、思い思いに観ていただけたらと思います。お体に気を付けて、万全の体調で映画館に足を運んでいただければ幸いです」
STORY
郊外の小さな出版社に勤める直実は、両親の急死を受け止めきれないまま、叔父夫婦の計らいで大都会を見下ろすタワーマンションの高層階に住むことになった。長年の相棒・黒猫ハルとの暮らし、ワケアリ妊婦の後輩をはじめ気心のしれた仲間に囲まれた職場、それでも喪失感を抱え、浮遊するように生きる直実の前に現れたのは、同じマンションに住むスター俳優・時戸森則だった。
彼との夢のような逢瀬に溺れながら、仕事、人生、そして愛の狭間で揺れ続ける直実。果たして彼女は、見失ってしまった自分を取り戻すことができるのか?そして葛藤を乗り越えた末に下した大きな決断とは─?
映画『空に住む』
2020年10月23日(金)全国ロードショー
出演:多部未華子 / 岸井ゆきの 美村里江 / 岩田剛典
鶴見辰吾 / 岩下尚史 髙橋 洋 / 大森南朋
永瀬正敏 柄本 明
監督・脚本:青山真治
脚本:池田千尋
原作:小竹正人『空に住む』(講談社)
主題歌:三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE「空に住む 〜Living in your sky〜」(rhythm zone)
配給:アスミック・エース
©2020 HIGH BROW CINEMA
公式サイト:soranisumu.jp
2020 年/日本/118 分/カラー/ビスタサイズ/5.1ch