脚本家・小説家の内館牧子が「源氏物語」を題材に、奔放で強い女性によって成長していく青年の姿を描いた長編小説「十二単衣を着た悪魔 源氏物語異聞」を元に実写映画化。メガホンをとったのは黒木瞳監督だ。
煌びやかな源氏物語の世界と現在を舞台に、フリーターだった青年の成長と、彼に関わる登場人物の生きざまを描く異世界トリップエンターテインメント。
主演は、就職試験 59 連敗中の実家暮らしのフリーター・伊藤雷を演じる伊藤健太郎。そして、自身の美しさと比類なき意思の強さでまるで“悪魔”と例えられることもある弘徽殿女御を三吉彩花。そのほかに伊藤沙莉、戸田菜穂、ラサール石井、山村紅葉、笹野高史、田中偉登、沖門和玖、細田佳央太、MIO、YAE、手塚真生、LiLiCo、村井良大、兼近大樹(EXIT)ら個性豊かなキャストが顔を揃えている。
今回の報告会イベントに参加したのは、主演の伊藤健太郎をはじめ、三吉彩花、伊藤沙莉、山村紅葉、笹野高史、黒木瞳監督、LiLiCo(イベントMCも兼務)の総勢7名が登壇した。
キャストでもあるLiLiCoがMCを担当。
ーー(黒木瞳監督、)原作に惹かれた点は?
黒木監督「内館牧子さんが高校生の時に既に考えられていたということがまずすごい所なんですけれども、「源氏物語」桐壺帝の正妃でありながらも、悪役として描かれている、弘徽殿女御はこういった人だったのかもと考えられて書かれた物語で、現代に生きる自分の居場所がない、人と比べてうまくいかない、自分って何なんだろうと、ちょっとダメンズな男の子が、ひょんなことから源氏物語の世界にトリップ、弘徽殿女御をはじめとする様々な登場人物の輝く人生を見て成長するという希望のお話に惹かれました」
ーー伊藤健太郎さん、主人公・雷との共通点は?
伊藤健太郎「あの平安時代に急に飛び込んで、意外とすんなりと対応していく姿は、今自分が平安時代にタイムスリップしたら、最初は驚くだろうけど、対応するだろうなというところはちょっと似ているかも」
黒木監督「最初からスタッフの中で、伊藤健太郎さ んでという想いがありまして、受けて下さるかしらと不安がありました。たまたま私が出演しているラジオ局の番組の収録にいく際に、エレベーターのドアが開くと、真正面にポスターが貼られていまして、エレベーターが開くと伊藤健太郎さんがい らっしゃる。この方が雷ちゃんを演じてくれたらなぁと思っておりましたが、念願かなって嬉しかったです。ずっと見つめて、いいえ、見つめられてて良かったです。」
伊藤健太郎「見つめててよかったです」
ーー三吉彩花さん、悪魔”とも言われた弘徽殿女御を演じてみていかがでした?
三吉彩花「弘徽殿女御は最初、すごく強くて一見怖く見える女性ではあるんですけれども、ここまで強い女性を演じたのは初めてなんですけれ ども、だんだん自分の息子の為にとか誰かのためにとか愛情をもって何を犠牲にしてでも貫いていく姿勢に、この人につい ていきたいなと自然に感じることができて、弘徽殿女御への熱い想いを聞かせていただいて愛着がわいてきました。監督か らセリフの発声の仕方から、滑らかさ、強さ、高さなど、細かく指導していただきました」
黒木監督 「ヘア、十二単衣が似合う三吉ちゃん以外、弘徽殿女御はいないと思いました」
ーー伊藤沙莉さん、黒木監督がテレビをみていて(伊藤健太郎演じる)雷の妻・倫子役にとオファーしたそうですが。
伊藤沙莉「凄くシンプルで嬉しかったです。現代を生きる女性は演じてきましたが、 時代を超えて生きる女性を演じることが少なく、経験として踏まなければならないと思っていた時期にオファー頂いて、黒木組でその経験が出来たのがすごく嬉しかったです」
黒木監督「連ドラに出ている沙莉ちゃんをみて、倫子がいると思ってテレビ画面を写メっていました。後日制作プロデューサーに沙莉さんを提案してみると、なんと制作プロデューサーも私に提案しようと思ってくださってたみたいで。(撮影中のハプニングとして)とあるシーンで、ハプニングが起こりまして、めちゃくちゃ驚きました。お芝居でするのはずかしいと思いますし、 是非そのシーンを探してほしいですね。でも、そのシーンの撮影の直後は、健太郎、ふざけた?本番なのに、何やってんの?とは思いました」
伊藤健太郎「台本に書かれてなく、黒木監督に撮影前に指示されて、『え??』って戸惑いまして、やるべきかやらないか迷ってたんですけど、後ろのベースから、何度も『いけ!いけ!』って黒木監督が......、ずーっと言ってくるんですよ」
黒木監督「中々行ってくれなかったんですよ!」伊藤沙莉「結果いいシーンでした!」
伊藤健太郎「黒木監督に言えないから、俺にクレームいれてたじゃん」
ーー山村紅葉さんは、弘徽殿女御の身の回りの世話を任されている梅命婦を演じましたが。
山村紅葉「本格的な衣装を着たのは初めてで嬉しかったです。心を込めて主に寄り添った役はほぼやったことがなく、これが私の本当の姿だと知ってほしいです。現場では、こういうやり方もあるけどと、黒木監督がすっと実演してくださってとてもやりやすかったです」
ーー宮中の警護を担当する良喬を演じた笹野さんのあのシーンは……
笹野高史「(携帯をなめるシーンやイヤホンを鼻に突っ込むシーン・芝居を)重厚な演技をしたまでです。監督がダメって言わないし、留められなかったので……」
伊藤健太郎「結構、ノリノリでやってましたよね!!」
伊藤健太郎演じる雷が源氏物語の世界へタイムスリップする前と後に絡む通称・ヤマンバ役のLiLiCo
LiLiCo「とあるインタビューの時に黒木監督に声をかけられて、私何かしてしまったかなぁ、どうしようと思ってたら、ぴったりの役があります、オバサンの……。とオバサンのところだけ小声で言われまして。トリップする前後の雷の成長っぷりに、健太郎くんの表情が全然違っていて、自分が 1ヵ月前に演じたヤマンバと同じようにできるか心配になってました」
ーータイトルにちなんで、この人、こういうところが悪魔だなと思った経験がある方は?
山村紅葉「普段監督は天使だと思っているのですが、撮影中、ダイエット企画であと3kg痩せないといけない状況なのに、監督は寒いのでと気遣ってくださって、温かい豚汁、おどん、炊き込みご飯などご用意くださってたのに、私は冷たいサラダを食べてまして、この時監督が“悪魔”に見えました」
最後に主演の伊藤健太郎からメッセージ
「こういった時期に、公開が近づいてきて、能楽堂という場所で、皆様に完成を報告する機会を設けられたことを、光栄に思 っています。主人公の雷の様に、映画の中にタイムスリップしていただき、ちょっとした非現実的体験をご体験頂ければと思っております。公開しましたら、是非劇場に足を運んでくださればと願っています」
役どころ
伊藤健太郎:伊藤雷(いとう・らい)
就職活動 59 社連続失敗中の実家暮らしのフリーター。何でもできる弟に対して劣等感を持つ彼が、ひょんなことから「源氏 物語」の世界にトリップしてしまう
三吉彩花:弘徽殿女御(こきでんのにょうご) 桐壺帝の正妃。美しさと比類なき意思の強さでまるで“悪魔”と例えられることもあるが、息子を帝にするために力を注ぐ
伊藤沙莉:倫子(りんし) 源氏物語の世界で、伊藤雷の妻となる女性
山村紅葉:梅命婦(うめのみょうぶ) 弘徽殿女御の身の回りのお世話をしている
笹野高史:良喬(よしたか) 源氏物語の世界で、宮中の警護をしている
LiLiCo:山下元子(やました・もとこ) 通称・ヤマンバ 雷一家のご近所さん
あらすじ
現在、就職試験 59 連敗中!フリーターの伊藤 雷は文武両道な弟に引け目を感じていた。そんなある日、『源氏物語』に関するイベント設営のバイト帰りに、家の付近で激しい雷雨に見舞われ、バイト先でも目撃した不思議な光に吸い込まれて気を失った。目が覚めるとそこは何と平安時代、あの紫式部によって書かれた『源氏物語』の世界だった!タイムスリップしてしまった雷は、皇妃・弘徽殿女御と息子の一宮に出会う。口から出まかせで陰陽師“雷鳴”を名乗り、息子を帝にしようと野心に燃える弘徽殿女御に翻弄されながらも次第に触発され、一念発起するー。
映画『十二単衣を着た悪魔』
2020年11月6日(金)公開
出演:伊藤健太郎 三吉彩花
伊藤沙莉 田中偉登 沖門和玖 MIO YAE 手塚真生 / 細田佳央太 LiLiCo 村井良大 兼近大樹(EXIT)
戸田菜穂 ラサール石井 伊勢谷友介 / 山村紅葉 笹野高史
監督:黒木瞳
内館牧子「十二単衣を着た悪魔 源氏物語異聞」(幻冬舎文庫)
脚本:多和田久美
音楽:山下康介
雅楽監修:東儀秀樹
主題歌:OKAMOTO’S 「History」 (Sony Music Labels)
制作・配給:キノフィルムズ
制作:木下グループ
Ⓒ2019「十二単衣を着た悪魔」フィルムパートナー
公式サイト:juni-hitoe.jp 公式 Twitter:12hitoe_movie 公式インスタグラム:12hitoe_eiga