写真左上から:清塚信也、清水くるみ、鈴木裕美、今井翼、G2、小西遼生
今井翼の復帰後初の主演ミュージカルは、原案・脚本・作詞をG2が手がける、スペイン最大の画家・ゴヤの激動の半生を描くオリジナル作品。
日本ミュージカル史上初の画家・ゴヤを題材としたミュージカルの演出を担当するのは、G2からの指名を受けた鈴木裕美だ。さらにその鈴木裕美からの依頼を受けたピアニストの清塚信也が作曲・音楽監修を担当する。
主演の今井翼とともに作品を彩るキャストに、親友役の小西遼生、妻役の清水くるみ、王妃側近の伯爵役の山路和弘、資産家公爵夫人役の仙名彩世、宰相役の塩田康平、ゴヤの義兄役の天宮良、王妃役のキムラ緑子ら個性豊かなキャスト陣が揃った。
製作発表記者会見に登壇したのは、原案・脚本・作詞のG2、演出の鈴木裕美、作曲・音楽監修の清塚信也、主演の今井翼、小西遼生、清水くるみ。
冒頭の挨拶
G2「G2です。私とゴヤとの出会いは、小学生の時、家にあった百科事典で裸の絵を探していたところ、ゴヤの「裸のマハ」にぶつかりまして、大変な衝撃を受けました。ちょっとトラウマになっております。ただそこから8年前までまったくゴヤとのかかわりはなくて、いきなり8年前にちょっとしたきっかけで彼の人生のダイジェストを知ることになりものすごく魅せられました。ゴッホみたいなピュアなアーティストでなく、闘牛士的な闘う画家であり、最初はただの成り上がり者だった人間がスペインの動乱の時期で要するに価値観が変わる時代に、ロココという人間が創り出した調和の世界が尊ばれていたところから、だんだんはみ出していく。耳も聞こえなくなったり、ナポレオンに襲われたりする中で変動していくその様がとても魅力的で、一体この人の中で何が起きたのかということを知りたくて書きたいと思うようになりました。ようやく本も上がりまして、歌詞の修正なども終わりました。あとは鈴木裕美率いるとても優秀な寮長に子どもを預けたような気持ちです。稽古の映像を拝見してとてもエネルギッシュで生き生きとしたミュージカルになるような予感がしております」
鈴木裕美「G2さんから“僕が演出はしたいんけど、この時期忙しいのでやって”と言われて非常に光栄ながらやらせていただくこととなりました。私を呼んでくださったのがG2さんで、私が清塚(信也)さんに来てと言ってこのカンパニーが成立しています。この作品はまったくのゼロから創っているいるミュージカルなので、きっとこんな風になるんだろうなとみなさんがご想像がつかないと思います。もちろん大変ではあるんですが、ゼロから創る喜びを味わっています。楽しみにしていただければと思います」
清塚信也「見ての通りの音楽家でございます。またの名を最近おしゃべりピアニストとよく言われるので、あんまりしゃべりすぎないようにしたいなと思うのですが、まずはこんなに芸術的なアーティスティックな時間を過ごせていることに心から感謝です。(鈴木)裕美さん、G2さんとまずは3人でこの土台となるところを、コロナ禍という過酷な中リモートも使いネットも駆使してやってきているんですが、そんなこともものともせず、時間を忘れる一日中でもしゃべっていられるような楽しいアーティスティックな話ができまして、いろんなことを気にせず集中して作品を生み出させていただいておりました。そこにキャストのみなさんが入ってきて、今井翼さんのエキスパートなすごいスキル、(小西)遼生さんも(清水)くるみさんもものすごいタレント性をお持ちなので、誰も迷いがないというかゆるぎないものを持ち寄ってできているエキスパートが集まったエンタメだと思っております」
今井翼「この度フランシスコ・デ・ゴヤを演じさせていただきます今井翼です。僕自身、日本の次に愛するスペインを舞台に、世界を代表するゴヤを演じられることを本当にありがたく思っております。僕自身も病を経験し、おかげさまで今を迎えられる喜びを感じておりますが、紆余曲折したゴヤの人生を丁寧かつ大胆にまたアツくエネルギッシュに演じていきたいと思います」
小西遼生「ゴヤの親友サパテールを演じます小西遼生と申します。僕が演るサパテールは史実にも残っているゴヤの本当の親友なんですけども、ゴヤとは手紙でやりとりするシーンが本作では多くて、実際の歴史の中にもサパテールとゴヤの手紙のやり取りが残っています。ゴヤからサパテールに宛てた手紙が、ラブレターのような「君がいればあとは何もいらない」という文章が書いてあったりと、絵を描くことに貪欲な人間のアツい想いを語ってもらう役です。僕も今井翼さんとほぼ同世代ということで稽古の中でこれから親友という言葉を超えた見ようによっては危険な関係というか、心と心の通ったそんな役を創っていけたらと思います。ぜひ楽しみにしていてください」
清水くるみ「ゴヤの妻ホセーファ役を演じさせていただきます清水くるみです。ホセーファはここのお二人(今井翼、小西遼生)の関係性の愛情が強いあまりに、あまり愛されていない妻の役なのですが、けなげに支えるという役です。1ヵ月くらい稽古してきて本にも私の役が記載されていなかったのですが、本日衣裳を着てみてインスピレーションをいただいたのでもう1ヵ月稽古を頑張っていきたいなと思います」
出演が決まった時の心境
今井翼「お話をいただいた時はすごくうれしかったです。これまでスペインとのさまざまなご縁をいただいておりまして、フラメンコがつないでくれた今回の新たなる出会いを大事にしていきたいと思いました。昨年活動を復帰させていただきまして、今回こういった大役をいただきましたので感謝をして今このような時に舞台に立てる喜びをかみしめてしっかりやっていきたいと思います。もう1つ質問なんでしたっけ!?(記者:出演が決まった時の気持ちをお願いします)うれしかったです」
小西遼生「僕個人としてはG2さん、裕美さんのお2人とは以前も作品をやらせていただいていて。演劇愛が強いそのお2人がタッグを組んで何かモノを創ることに一緒に参加させていただけるのがうれしかったですし、そこにいまや話題沸騰の清塚さんが本気でミュージカルを創るというという初めての舞台に参加させていただける喜びもあります。世代としては翼くんはすっと見ていたスターなので、今回はコニツバと呼ばれるように頑張りたいと思います。うれしかったです」
会場「(笑)」
清水くるみ「初めて日生劇場に立たせていただくのですが、初めての日生劇場でこんな大役をいただいて大丈夫なのかな、最初間違いかなとビックリしました。ご一緒していいものかという素晴らしい方々に囲まれていて今もちょっと緊張しているんですけど、その中で足を引っ張らないように頑張らなきゃなという気持ちです。うれしかったです」
会場「(笑)」
フラメンコ
記者「今井翼さんにおうかがいします。フラメンコの特技を活かせそうなシーンは今回あるのでしょうか。そしてこれまで得てきたスペインに対する知識やイメージをどのように舞台に投影していくのか教えてください」
今井翼「まさに芝居から派生したフラメンコを今回踊らせていただきます。15年近く支えてくださっている僕のフラメンコの師匠・佐藤(浩希)先生も制作、出演もなさるのでそういう面でも心強く思っています。フラメンコというのは、怒り・喜び・悲しみそういったものが体の芯から湧き上がってくる1つの…ダンスではなく舞踊なんですよね。まさにゴヤというのは青年時代はほとばしった野心を持っている、そういった思いをうまく連動させていきたいと思っています。本来であればこの作品の準備期間を迎える前にスペインに行って、ゴヤのことやスペインのことを感じて準備に取り掛かりたいと思っていましたが、世界中が大変な状況を迎えてますので、僕自身がこれまでスペインで経験してきたことを今一度振り返りながらしっかりと匂いであったり空気感を表現していきたいと思います」
ゴヤのイメージ、ゴヤとの共通点
今井翼「スペインに行くとプラド美術館に行ったり、特にダリが好きで日常の中でも僕の家のトイレはダリの作品だらけで、通称ダリ便と呼んでます。ゴヤのことは造詣深かったわけではなかったですけど、こういった機会をいただきまして自分なりに資料など読んだり勉強していく中で、我が道を行く熱き魂というのは共感を得るのもがありました。自分なりに年表を作っては、彼がどうやって生きていったのか、彼が求めていたものを手にした末に迎える苦難の道の中で、簡単には這い上がれないけれども、人の力であったり見えなくなったものが見えてしまった分、彼には見えるものがあった。彼にしかない感性というものを僕は大事にしていきたいと思いました。ゴヤはとっくの前に他界されていますけど、ゴヤが残していったものが今僕が表現できるというのはこんなにもありがたいことはないので、敬意を表して大胆にアツくいきたいと思います!」
「ジャズもフラメンコも」「盟友はここに」
STORY
封建的な18世紀スペイン社会において、破天荒かつ進歩的な考えをもっていたフランシスコ・デ・ゴヤ(今井翼)。ひときわ野心の強いゴヤは、保守的なアカデミー会員である義兄バイユー(天宮良)とことごとく対立するが、宮廷画家になるために王妃マリア(キムラ緑子)やその側近のテバ伯爵(山路和弘)に近づき権力を利用するなど、あの手この手で出世を目論んでいた。そんな彼を心配し支えるのは、妻のホセーファ(清水くるみ)や同郷の親友であるサパテール(小西遼生)。だが、その助言には耳を傾けず、ゴヤは自分の信じた道を突き進んでいく‥‥‥。
そして、写実的なヌードである「裸のマハ」を描いたことで、保守的なスペイン画壇でスキャンダルを巻き起こし、さらに革命軍との接触を画策する宰相ゴドイ(塩田康平)の命により、使者として港町カディスに向かう途中、何者かに毒を盛られ、聴力を失ってしまう‥‥‥。
自暴自棄となり絵が描けなくなるゴヤだったが、資産家・アルバ公爵夫人(仙名彩世)との再会により、絵を描くことへの衝動を取り戻すきっかけを掴む‥‥‥。
ミュージカル『ゴヤ -GOYA-』
2021年4月8日(木)~29日(木・祝):東京・日生劇場
2021年5月7日(金)~9日(日):愛知・御園座
原案・脚本・作詞:G2
演出:鈴木裕美
作曲・音楽監修:清塚信也
振付:上島幸夫
フラメンコ振付:佐藤浩希
出演:今井翼 小西遼生 清水くるみ 山路和弘 仙名彩世 塩田康平 天宮良 キムラ緑子
製作:松竹