撮影/加藤 岳 スタイリスト/中村:戸倉祥仁(holy.)、山田:森田晃嘉 ヘアメイク/中村:Emiy、山田:星野智子 文/丸山あゆみ
衣裳/中村:(全て税別)ノーカラーシャツ24,000円、クラシックベスト29,000円、ワイドイージーパンツ20,000円/すべてNEPLA.(TEENY RANCH 03-6812-9341)、その他スタイリスト私物
――中村さんはネズミをどのように声で演じようと思いましたか?
中村「特に何も意識せず、自分のままで演じました。アニメーション映画で声を担当するのは初めてだったのですが、役者の仕事とあまり変わらず、作品全体のことを考えて演じました。ネズミの他に、ゲーム大会のシーンに登場するキャラクターの声も担当したんですよ。ネズミってボケのセリフも少ないですし、淡々としているのですが、リュウ(神木隆之介)に乗っかってふざけたんです。あのシーンだけは何をやっても許されたので印象に残っています」
――山田さんが声を務めるカエルは、原作には出てこない映画オリジナルのキャラクターですよね。
山田「100日前の出来事から100日後に現れる緑色をしたワニではなくカエルは、少し口が長くフォルムも似ていてワニを思わせますよね。きっと、そこにメッセージ性があると思います。ワニを失ったネズミやモグラなど残されたキャラクターに、カエルはどのように絡んでいき、どのような風を巻き起こしていくのか。最初は、ネズミに“なんだあいつ”など言われていて、まさにそうだなと共感しながら声を入れていました。ですが、そんなカエルにもいろいろ表に出ていない部分があることを感じ取ってご覧いただけたら嬉しいです」
――カエルを声でどのように演じようと思いましたか?
山田「台本を読んで、僕が担当するカエルは、はじめは“無理をしない”ということをひた隠しにしていて、明るく周りの人に喋りかけるようなキャラクターだと思いました。そのため、底抜けの明るさや積極的な感じが出せるように意識し、最終的には“頑張りすぎなくていいんだよ”というところに落ち着かせたいと思い演じました。カエルもそうですが、最近自分が演じている役と今、自分が感じていることがシンクロすることが多いです」
――中村さんは、山田さんが担当されたカエルのキャラクターの声を聴いていかがでしたか?
中村「カエルはオリジナルキャラクターですが、台本を読んでいる時から、“裕貴のまんまじゃん”と思いました。彼が持っている声質だったり息遣いや間だったりが、自分が知っている裕貴に近いものがありましたね。現場で一緒にアテレコをした時に、“うざいなー”と思いましたが(笑)。」
山田「ネズミと同じような感じですか?」
中村「裕貴は“うざい”演じ方が上手い(笑)。カエルは、すごく邪魔になる登場の仕方なのですが、裕貴の持つ愛嬌でカエルというキャラクターは魅力的になると感じました」
――では、山田さんは中村さんのネズミのキャラクターの声を聴いていかがでしたか?
山田「ネズミの落ち着いた声を聞いて、僕は“今日、倫也さんいてくれて良かった!”と安心しながらアフレコをしていました。共演シーンは多くはないのですが、過去に同じ作品に出演していたこともあり、何度か食事をご一緒させていただいたことがあるんです。倫也さんは距離感を近く持ってくださるので、その安心感と声の落ち着きが相まって、今回のカエル役を演りたいように演ってみようと思えました」
――それぞれの演じたキャラクターの印象と、お互いのキャラクターの印象をお聞かせください。
中村「ネズミは山登りをする時に一番後ろにいるタイプですね。ふざけている時もあるけれど、実は全体を見ている“気遣い屋さん”。カエルは距離感だったりテンションだったりが少しずれていて、僕も生活の中で“ちょっと、この人ギアいれすぎてない?”と感じる時があります。ネズミがどこまで感じていたかは分かりませんが、僕からしたら“いるよな”と思えるキャラクターでした」
――中村さんご自身は周りのことに気づくタイプなのでしょうか?
中村「僕も17、18歳の時に“山登りをする時に後ろにいるタイプ”と言われたことがあるんです。そういう性格なんだろうなと。最近思うのは、来世があるのならいろいろなことが見えたり、気付いたりしない人間に生まれ変わりたい。考えなくてもいいことを考えたり、気にしなくてもいいことを気にしてしまったりするので疲れてしまうんですよね」
――では、山田さんはいかがでしょうか?
山田「さっき、僕も同じようなことを取材の時に言っていました。気づかなければいいのにと……」
中村「裕貴は僕よりも不器用だから、気付いた時に自分の方があたふたしたりするよね。その様子を俺が見ていたり」
山田「倫也さんがおっしゃったフレーズを引用させていただくと、カエルは山登りをする時に一番前にいるタイプ。ずんずんずんずん一人で先に行きすぎて、みんなが付いてきていないとか」
中村「誰も頼んでいないのに“あそこまで行ったら休憩しよう!”と言ったり(笑)」
山田「ネズミは落ち着きがいいですね。しっぽりお酒飲みながら話を聞いてくれそうな、仏のような優しさや思いやりがあります。それがベースとなっていて、楽しむ時ははしゃいで楽しめるし、そばにいてほしい存在ですね。ネズミは倫也さんのようなキャラクターです」
中村「そういえば、数年前にしっぽり飲もうとしているのに、裕貴がカラオケでMr.Childrenさんの真似を始めたことがあって」
山田「そうでしたね(笑)」
中村「“あんまり上手くないな”とか言っていましたね、カエルのまんま」
――山田さんはカエルのようなところもあるということですね。
山田「そうですね。そのようにしたくはないのですが……してしまうんですよね」
中村「でも、カエルよりはメンタル弱いよね。カエルは強心臓でへこたれない」
山田「カエルは心が強すぎます」
――大切なものを見つめ直すきっかけにもなる本作ですが、ご自身に対して、あの頃の自分にこんな助言をしてあげたいということはありますか?
中村「4年ぐらい前に“朝ドラ”の撮影をしていて、同時に他の作品も撮影していたのですが、あの日の僕に“明日、遅刻するから気を付けろ”と言いたいです。“朝ドラ”の撮影の時、後仕事があり自分の出し時間があるのにも関わらず、2時間遅刻しました。しかも、撮影現場がすごく遠く、飛び起きて電車に乗りましたが、時すでに遅し。生まれて何回目かの土下座をしましたね。何回遅刻しているのかという感じですが……」
山田「この仕事を初めて2、3年経った自分に“人と比べるな”と言いたいです」
中村「気にしていた節があるもんね」
山田「戦隊もののレッドではなくブルーを担当していたのですが、注目されるのはレッドというのが王道で。“僕はあの人よりも劣っているのでは……”と自分にグサグサ言っていました。今では明るいとか熱血だとか言われることが多いですが、あの頃の僕の性格はひん曲がっていたので、“早く光の道に来い”と言いたいです」
PROFILE
中村倫也 TOMOYA NAKAMURA
1986年12月24日生まれ、東京都出身。
第22回読売演劇大賞優秀男優賞受賞、2019年エランドール賞 新人賞受賞。
〈近年の主な出演作〉
映画『ファーストラヴ』(2021年)
映画『騙し絵の牙』(2021年)
ドラマ「この恋あたためますか」(2020年)
ドラマ「珈琲いかがでしょう」(2021年)
〈待機作〉
2021年劇団☆新感線41周年興行 秋公演
いのうえ歌舞伎『 狐晴明九尾狩』(2021年9月17日~上演)
〈その他〉
エッセイ集「THEやんごとなき雑談」発売中
山田裕貴 YUKI YAMADA
1990年9月18日生まれ、愛知県出身。
第74回文化庁芸術祭 演劇部門新人賞受賞
〈近年の主な出演作〉
舞台「終わりのない」(2019年)
ドラマ「SEDAI WARS」(2020年)
ドラマ「ホームルーム」(2020年)
ドラマ「先生を消す方程式。」(2020年)
ドラマ「青のSP―学校内警察・嶋田隆平―」(2021年)
ドラマ「ここは今から倫理です。」(2021年)
ドラマ「ハコヅメ~たたかう!交番女子!~」(2021年7月7日〜放送中)
映画『噓八百 京町ロワイヤル』(2020年)
映画『ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち』(2021年)
〈待機作〉
映画『東京リベンジャーズ』(2021年7月9日公開)
映画『燃えよ剣』(2021年10月公開)
映画『100日間生きたワニ』
きくちゆうきによる4コマ漫画「100日後に死ぬワニ」を『100日間生きたワニ』としてアニメーション映画化。『カメラを止めるな!』の上田慎一郎と、アニメーション監督としても活躍するふくだみゆき夫妻が本作の監督・脚本を手掛ける。100日間のワニの日常と、そこから100日後、大切なものを失った仲間たちのその後の姿を描いている本作の主人公・ワニの声を務めるのは、神木隆之介。そのワニの親友・ネズミ役に中村倫也、同じく親友のモグラ役に木村昴、ワニが恋するセンパイ役に新木優子、そして映画オリジナルキャラクターのカエル役に山田裕貴と俳優陣がキャラクターに命を吹き込む。
STORY
桜が満開の3月、みんなで約束したお花見の場に、ワニの姿はない。
親友のネズミが心配してバイクで迎えに行く途中、満開の桜を撮影した写真を仲間たちに送るが、それを受け取ったワニのスマホは、画面が割れた状態で道に転がっていた。
100日前―――
入院中のネズミを見舞い、大好きな一発ギャグで笑わせるワニ。毎年みかんを送ってくれる母親との電話。バイト先のセンパイとの淡い恋。仲間と行くラーメン屋。大好きなゲーム、バスケ、映画...
ワニの毎日は平凡でありふれたものだった。
お花見から100日後――
桜の木には緑が茂り、あの時舞い落ちていた花びらは雨に変わっていた。
仲間たちはそれぞれワニとの思い出と向き合えず、お互いに連絡を取ることも減っていた。
変わってしまった日常、続いていく毎日。
これは、誰にでも起こりうる物語。
映画『100日間生きたワニ』
2021年7月9日(金)より全国公開
神木隆之介 中村倫也 木村昴
新木優子 / ファーストサマーウイカ 清水くるみ Kaito 池谷のぶえ 杉田智和 / 山田裕貴
原作:きくちゆうき「100日後に死ぬワニ」
監督・脚本:上田慎一郎 ふくだみゆき
音楽:⻲田誠治
主題歌:いきものがかり「TSUZUKU」(Sony Music Labels)
製作:市川南 大田圭二
共同製作:藤川克平 中尾恭太 春山ゆきお 辻野学 五老剛
エグゼクティブプロデューサー :山内章弘 上田太地
プロデューサー:臼井真之介 山中一孝
コンテ・アニメーションディレクト:湖川友謙 美術監督:徳田俊之
色彩設計:池田ひとみ
撮影監督:簡佳瑩
製作:「100日間生きたワニ」製作委員会
アニメーション制作:TIA
配給:東宝
©2021「100日間生きたワニ」製作委員会
公式サイト:100wani-movie.com
Twitter:@100waniMOVIE (https://twitter.com/100waniMOVIE)
Instagram:@100wanimovie (https://www.instagram.com/100wanimovie/)
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