7月15日~18日に大阪ですでに開幕した本作だが、7月28日(水)より東京公演が上演となる。
物語の舞台は、衛生的=正義という考え方が蔓延した社会。主演の橋本良亮は、「衛生」の象徴である白い服を着る若い男・レンジョウ役を務める。
上演台本・演出を手掛ける鈴木勝秀は、SixTONES京本大我主演『BOSS CAT』(2018年)、A.B.C-Z塚田僚一主演『Mogut』 (2020年)等の台本・演出をはじめ、翻訳劇からオリジナル戯曲まで数多くの演出作品を手掛けている。
2020年7月上演の音楽朗読劇『日本文学の旅』(上演台本・演出 鈴木勝秀)以来、鈴木と橋本良亮が約一年ぶりの再タッグを組む。
そして、ウォーター・バーの経営者・オカモト役を、篠井英介が演じる。
この舞台は、朗読劇だが、ミュージシャンの大嶋吾郎(ギター、キーボード)、グレース (パーカッション)を迎え、オリジナル音楽との融合で、一味違った朗読劇が展開される。
大阪公演を終え、東京開幕に向けて
ーー東京公開、開幕を迎えますが、心境は?
橋本良亮「大阪公演から少し期間があいたので、新鮮な気持ちで挑めるんじゃないかと思っております、はい」
――大阪公演での反響はいかがでしたか?
橋本良亮「反響、反響は、(スズカツさん)どうですか?」
鈴木勝秀「いいんじゃないですか」
橋本良亮「(笑)。いいらしいです!(大阪公演に)知り合いの方々が観に来てくださったりしたんですけども、“朗読劇なの?”という反応はありましたね。朗読劇じゃなくて、劇なんだという感想をいただきました」
――もしかして橋本さん、役のため、役作りで痩せられました?
橋本良亮「毎年この時期になると痩せられます(笑)。今、A.B.C-Zのライブ中ということもあって。役柄的にはベジタリアンの役なので、ちょうどいいなと」
――篠井さんは、橋本さんと初共演ですが、印象はいかがですか?
篠井英介「ご覧の通り真面目で」
橋本良亮「いえいえ」
篠井英介「実際は知りませんよ(笑)。きっちりしていて、本当に。息子位歳が離れてますから、敬っていただいてという感じです」
ーー橋本さんは篠井さんの印象は?
橋本良亮「本当にステキな方で。落ち着くんですよ。初対面の時から、フワァーというオーラがあって、安心感と言いますか、ですね」
――鈴木さん、今回の作品は今の社会を映しているように受け取れたのですが。
鈴木勝秀「この作品は25年も前に書いていた本で。でもそんなに世の中って変わってないということですね」
――少し今の時代仕様という風に考えられたのですか?
鈴木勝秀「僕は芝居とかこういうものは、現在とつながっていなければならないなと思っているので、頭にはもちろんあって、でも具体的にセリフで説明して起こすということはしていないです。それはこの2人が現在につながるような芝居をしてくれているということだと思います」
――スズカツさん、橋本良亮さんとは、昨年に引き続き2作目となりますが、本作でもタッグを組んで。
鈴木勝秀「そうですね」
ーー橋本さん、いかがですか?
橋本良亮「去年に比べると免疫が付いたと言いますか」
鈴木勝秀「(笑)」
橋本良亮「稽古の仕方が、独特なんですよね。食べ物を食べないですし、飲み物も飲まないですし。でも2~3時間くらいで稽古が終わるんです。1回通して終わりみたいな。こちら的にはもう少し稽古したいなという。だけどスズカツさんの中に作戦があるんでしょうね」
鈴木勝秀「それくらいでちょうどいいです。いつでも余力を残して、そこで考える時間が生まれて、どういう風にしたらいいかなって、はっしー自身が考えて、それが何より。それが考えない人だったら5時間、6時間くらい(稽古します)。はっしーは、ずっと考えてから稽古場に来るので、とても進行が早くていいです」
橋本良亮「ありがとうございます」
――考えるにあたって、アドバイスみたいなことはあるんですか?
鈴木勝秀「なんとなくは言います。こういうこと言うと考えてくるかなみたいことは、1日1個は言います」
橋本良亮「考える時間も楽しいんですよね。このことを言っているのかなとか。シャンプーしてる時とか、“スズカツさん、このこと言ってるのかな”って考える時間がすごい楽しいです。いつも風呂入る時考えるんです」
鈴木勝秀「歯を磨いたりする時とか考えたりするよね」
――鈴木さんは、「はっしー」と呼んでらっしゃるんですね。はっしーのここがよかったという点はありますか?
鈴木勝秀「全部よかったと思いますけどね。僕が言いたかったことをここまで拾い上げてやってくれているので、もうどれをとってもいいと思います。これは演出家もそうで、2人とも僕がどんなものを目指したいとかどんなことをしてほしいとか言うことをご自分たちで考えてそれがほぼ僕に刺さってくるので、とっても稽古が楽しくて、大阪公演中もすごく楽しかったですし、今日も楽しかったですし。はっしーはセリフも含めて前回もそうだったんですけど、本番に入ってからさらに伸びるタイプで、伸びるというかどんどん広げていく技術をもっていて、密度を濃くしていくことができるので、回数観ていただけると楽しめます、はい」
――篠井さんと鈴木さんは長いお付き合いなので、阿吽の呼吸なのではないですか?
篠井英介「はい、もう30数年の盟友で、とりあえずお任せして、委ねて。またある種スズカっちゃんが、僕に委ねてくれることもあって、お互いに。まあ、割と野放しにしてくれるので。やり過ぎたら言ってくれるだろうと。スズカっちゃんから、橋本くんがスポンジのようにどんどん吸収してすごいんだよというふうに聞いていたので、毎回スリリングに。割と毎日僕なんて毎回違わないとダメなタイプというか、フレッシュにやりたいので、もちろんぐちゃぐちゃに変えませんけど、ちょっとずつその日の体調とか、お客様との呼吸とかで変わっても、その対応が本当にスズカっちゃんがおっしゃった様にすごくて、“おー、今日はそういう風にやるんだ”とそういう意味ではセッションとして楽しくやらせていただいているのは、感謝というか、お力ですね」
――橋本さん、作品中にMっ毛があるというセリフがありますが、実際はどうですか?
橋本良亮「僕はどちらかというとSですね。この質問、何かあります?」
――ドンドン言われるほうが伸びていくというところがあるのかなと思ったのですが
橋本「実際は褒められて伸びるタイプなので。うーん、どっちかと言ったら、ドSです。そうなんですよ、叱られると沈んじゃうので、はい」
――橋本さん、スズカツさんと篠井さんからお褒めの言葉がありましたけれど、それを受けていかがですか?
橋本良亮「千穐楽までドンドンいろんなことに挑戦して、ドンドン変えていきたいと思いました」
――そういう意味では自由にできるところもあるんですか?
橋本良亮「そうですね、このチームだからこそ、スズカツさんチームだからこそ、こうやって生き生きできていると思いますね、はい」
――朗読劇ということではありますけど、ファンの人からすると水槽に潜った橋本さんの顔が美しくて、そのあたりのビジュアルというのは意識した点はありますか?
橋本良亮「自分では観たことがないので、観たいんですよ。客席側に行って」
鈴木勝秀「もう狙い通りです。この2人はビジュアル的には完成されているので、あとはそれをいかに心がけているだけです。それができていて満足しています」
――本作には“革命”という言葉が何度も出てきますが、革命を起こしたいと思うことはありますか?
篠井英介「僕らコロナ禍でね、ちょっといわゆる演劇、ミュージシャンがしんどいので、日本のみなさん、芸術に革命を起こして。生きる源になればいいななんてね。芸術革命が起きたらいいなと思っております」
橋本良亮「その通りだと思います。エンタメでいろんなことをしていきたいですし、やらせていただいていますけど、もっと厳しい状況の中にいてもみなさんを幸せにできる何かを探していきたいなと思っています。やれることはいろんなことをやっていきたいですね」
――最後にあらためて意気込みをお願いします
橋本良亮「初日を迎えますけども、オリンピックで盛り上がっている中、国立競技場の真隣でアツい演劇をしていますので、最後までみなさまにあたたかく見守っていただきながら千穐楽を迎えたいと思っております。みなさま応援のほどお願いいたします。ありがとうございました!」
配役
橋本良亮(A.B.C-Z)
1993年7月15日生まれ、千葉県出身。A.B.C-Zのメンバー。
【レンジョウ役】衛生的=正義という考え方が蔓延した社会で、「衛生」の象徴である白い服を着る若い男。
篠井英介
1958年12月15日生まれ、石川県出身。
【オカモト役】世界中の名水を愉しむウォーター・バーの経営者。
舞台の模様
STORY
近未来。全体主義的政治が市民を支配し、衛生的=正義という考え方が社会に蔓延している。国家に忠誠を誓う人間は、「衛生的」の象徴である白い服を着た。健康でいることが奨励され、病原菌の撲滅は国家の目標であった。禁酒、禁煙が徹底され、ベジタリアンになることが求められた。また、「犯罪者は社会の病原菌」とされ、犯罪者の排除、社会からの隔離が、徹底的に行われた。
犯罪の告発は美徳とされ、さらに犯罪を報告すると、警察から報奨金が与えられた。防犯カメラはあらゆる場所に設置され、一般市民がおたがいを監視している。
そんなご時世のなか、ウォーター・バーを営む男がいた。オカモト(篠井英介)である。ウォーター・バーは、文字通り世界中の名水を愉しむバーである。まさにこの時代を象徴するようなクリーンな店。だが、店内は黒く塗られていた。そして黒い服を着るオカモトには、過去があった。その店の常連になりかけの、白い服を着る若い男、レンジョウ(橋本良亮)との会話の中で、オカモトの過去が次第に明らかになってくる。
オカモトは、過去に政府転覆を狙う、革命運動に参加していた。とは言っても、革命グループのリーダーは無血革命を目指す学者。市民の協力なくして、革命の成功はない、と説いていた。
しかし、活動は頓挫。
グループのリーダーは逮捕され、獄中で自殺した。善良な市民は、革命より安定、そして支配されることを求めたのである。そしてオカモトは、その結果を受け入れ、はたから見ると世捨て人のように、日々を読書に費やし、漫然と暮らしていた。一方レンジョウは、株のデイトレードで稼いでいるとうそぶき、その正体は不明。だが、ある日レンジョウは、自分が革命グループのリーダーの息子であることを明かすのだった──
「今の世の中、おかしいと思いませんか?ひっくり返してやりましょうよ」だがレンジョウの真意は、別のところにあった──
朗読劇『ピース』-peace or piece?-
【出演】橋本良亮/篠井英介
演奏:大嶋吾郎、BAN、Grace
【上演台本・演出】鈴木勝秀
【東京公演】
日程:2021年7月28日(水)〜8月8日(日祝)
会場:紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA
※開場時間:開演60分前 ※未就学児童入場不可
【チケット料金】全席指定 9,000円(税込)
※ご購入後の返金・クレーム及びお席の振替は一切お受けできません。予めご了承ください。
【企画】クオーレ
【主催】エイベックス・エンタテインメント、クオーレ
【お問合せ】
キョードー東京 0570-550-799 (オペレーター平日11:00~18:00/土日祝10:00〜18:00)
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【公式twitter】@peaceorpiece_st