10月15日公開の人気作家・窪美澄×監督・今泉力哉による映画『かそけきサンカヨウ』の完成報告会が9月27日都内会場で行われ、キャストと監督が登壇し、演じた役柄や思いを語った。

人気作家・窪美澄の短編集『水やりはいつも深夜だけど』(角川文庫刊)所収の現代の「父と娘」そして 「家族」の姿を描いた「かそけきサンカヨウ」が映画化。
家庭環境のせいで早く大人にならざるを得なかった高校生・陽の葛藤と成長の物語で、同級生・陸との“恋まではたどり着かないような淡い恋愛感情”を交えて描かれている。
主演には、「ドラゴン桜」(TBS)、「ゆるキャン△2」(TX)に出演の若手女優・志田彩良が務める。そして陽をやさしく見守る父親・直役を井浦新が演じる。同級生の陸役には「ドラゴン桜」でも志田と共演した鈴鹿央士。

メガホンをとったのは、『愛がなんだ』をはじめ、『アイネクライネナハトムジーク』、『mellow』、『his』、『あの頃。』『街の上で』を手がけた今泉力哉監督。窪美澄の短編集から自ら映画化を希望し実現に至った。

9月27日に開催された映画『かそけきサンカヨウ』の完成報告会に参加したのは、主演の志田彩良をはじめ、井浦新、鈴鹿央士、中井友望、菊池亜希子、今泉力哉監督の総勢6名。

映画化、主人公(志田彩良)のキャスティングについて

今泉監督「小説を読んでいて、そこにある家族の関係性だったりとか、普通ならあまり描かれないような部分での、小さな衝突や、小さな気持ちに焦点を当てた作品で。家族のありかたとか、恋愛と呼べるのかというぐらいの距離感の、高校生の時間などもすごく繊細に描かれていて。そして特に惹かれたのは、父親と娘の時間と、そこに父親が再婚することによって新しい家族になっていく奥さんと子どもと、主人公の陽との距離感とか。そういう部分に惹かれて、この作品を映画にしたいと思いました。(志田彩良のキャスティングについて)何度かご一緒していたので、プロデューサーとも、志田さんならできるんじゃないかという話をしていました」

主演を務めた志田彩良

志田彩良「脚本をいただく前に小説を読ませていただいたんですが、その時に陽の強い部分も、弱い部分も含めて、すべてが本当に愛おしい女の子だなと感じて。もし私だったら、その場から逃げたくなるようなことも、逃げずにちゃんと向き合って。前に進む姿が魅力的だなと思いました。今泉監督と初めてご一緒したのが『パンとバスと2度目のハツコ イ』だったんですが、そのときに、監督から『いつか志田さん主演で映画を撮りたいと思っているので、その時はよろしくお願いします』と言っていただいて。そこからわたしも、いつか今泉組で主演することが目標となっていたので、まさかこんなに早くそれが実現するとは。私は今泉さんの現場が大好きなのでうれしかったですし、事務所(テンカラット)の 25周年記念という大切な作品で、今泉組の主演という大役をいただけて、本当にありがたい気持ちでいっぱいです」

画像: 主演を務めた志田彩良

主人公の父親役を演じた井浦新

井浦新「監督が、現場で生まれてくる俳優のお芝居をすべて受け止めてくださったので。先ほど、監督がおっしゃられた通り、小さなできごとを繰り返していく物語なので、俳優のお芝居にも繊細さが求められていたと思います。その繊細さを共演者と確かめ合いながら、やっていけた現場でもありましたし、父親の作り方もそういう風にやらせてもらってありがとうございます」

志田彩良演じる陽が淡い恋心を抱く同級生の陸を演じた鈴鹿央士

鈴鹿央士「陸くんは自分の家族だったり、陽のことだったり、自分の身体もそ うですが、いろいろなところに進む中でいろいろな壁がどんどんできていたんですけど、その壁に当たった時にも、人に当たらな いというか。ものすごくやさしい人だったので。誰かに背中に押されて、自分で解決しに行く、その姿がすごく優しいし、ステキな男の子だなと思いながらやっていましたね」

画像: 志田彩良演じる陽が淡い恋心を抱く同級生の陸を演じた鈴鹿央士

志田演じる陽の新しい母親・美子を演じる菊池亜希子

菊池亜希子「(鈴木咲さん演じる娘の)ひなたちゃんが、いい意味で本当に子役っぽくないというか。どう動くか分からない場面がたくさんあって。予測できないというか。子どもらしさがさく裂している子だったので。お芝居をしている最中でもどこかへ行ってしまうこともあったんですけど、それがひなたっぽくて。それでオッケーになったんですけど、すでにひなたができあがっているなと思いました」

陽(志田)と陸(鈴鹿)と三角関係となる同級生・沙樹を演じる中井友望

中井友望「陽と陸ほどは描かれていないんですけど、沙樹も家庭環境に何かしらのコンプレックスがあって。 二人の男女の間に入る女の子がいたとしたら、すごくドロドロしたりすることも多いと思いますけど、そうならないのは、陸と陽 の関係性を見ていると、納得できましたし、私自身、沙樹を演じて、強さだったり、優しさだったりを知りました」

最後にメッセージ

志田彩良「私は、けっこう SNS が主流になっている環境で育ってきたので、陽みたいに、自分の気持ちを相手に、顔と顔を合わせて、言葉で伝えるという経験がなかなかなくて。最近はこういう状況下ということもあって、そういうことがさらに制限されてしまっていますが。時代の流れとともに、いろんなものがどんどん便利 になって、なくなってしまうものもありますけど、でも人のぬくもりだったりとか、優しさだけはほかの何ものにも変えられないなと実感することが最近多くて。『かそけきサンカヨウ』を通じて、自分よがりではない、相手を思う気持ちの大切さとか、そういう当たり前の大切さを伝えられたらなと思っています」

STORY

高校生の陽(志田彩良)は、幼い頃に母・佐千代(石田ひかり)が家を出ていき、父・直(井浦新)とふたり暮らしをして いたが、父の再婚によって、その穏やかな日々は終わりを告げ、再婚相手である美子(菊池亜希子)とその連れ子で 4 歳のひなたとの 4 人家族の新たな暮らしが始まる。そんな新しい環境への戸惑いを、同じ美術部に所属する同級生の陸(鈴鹿央士)に打ち明ける陽。実の 母・佐千代への想いを募らせていた陽は、絵描きである佐千代の個展に陸と一緒に行く約束をする。

映画『かそけきサンカヨウ』

10月15日より全国公開

志田彩良 / 井浦 新
鈴鹿央士 中井友望 鎌田らい樹 遠藤雄斗
石川恋 鈴木咲 古屋隆太 芹澤興人
海沼未羽 鷺坂陽菜 和宥 辻 凪子 佐藤凛月
菊池亜希子 / 梅沢昌代 西田尚美 / 石田ひかり

監督:今泉力哉
主題歌:崎山蒼志「幽けき」(Sony Music Labels)
原作:窪美澄『水やりはいつも深夜だけど』(角川文庫刊)所収「かそけきサンカヨウ」
脚本:澤井香織 今泉力哉
音楽:ゲイリー芦屋
配給:イオンエンターテイメント

©2020 映画「かそけきサンカヨウ」製作委員会

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