11月6日(土)第34回東京国際映画祭にて、映画『名付けようのない踊り』が上映され、上映後トークとQ&Aイベントが実施された。

2022年1月28日(金)に公開の映画『名付けようのない踊り』が、公開を前に東京国際映画祭で上映され、上映後には主演の田中泯とメガホンをとった犬童一心監督がトーク・Q&Aイベントに登場した。

世界的なダンサーとして活躍する田中泯の踊りと生き様を、『ジョゼと虎と魚たち』『メゾン・ド・ヒミコ』『のぼうの城』などを手がけた犬童一心監督が追った本作『名付けようのない踊り』。
1978年にパリデビューを果たし、世界中のアーティストと数々のコラボレーションを実現した田中泯のダンスの公演歴は現在までに3000 回を超える。映画『たそがれ清兵衛』(02)から始まった映像作品への出演も、ハリウッドからアジアまで広がっている。そんな田中泯のダンスを、『メゾン・ド・ヒミコ』(05)への出演オファーをきっかけに親交を重ねてきた犬童一心監督が、ポルトガル、パリ、東京、福島、広島、愛媛などを巡りながらカメラに収めた。そして『頭山』でアカデミー賞短編アニメーション部門に日本人で初めてノミネ ートされた山村浩二によるアニメーションによって田中泯のこども時代が情感豊かに点描され、ぶれない生き方が紐解かれてく―。
どのジャンルにも属さない唯一無二の田中泯のダンスを、息がかかるほど間近に感じながら、見るものの五感を研ぎ澄ます――

画像: 田中泯& 犬童一心監督『名付けようのない踊り』東京国際映画祭上映後トーク、Q&Aイベントに登壇

上映後大きな拍手に迎えられ登壇

犬童 一心監督「撮影を始めてから3年ぐらいが経っていて、編集もとても長い期間がかかり、編集しても編集しても完成しなかった映画でした。ですので、やっとお客さんに観てもらえて、ようやく完成したんだと今日思いました」

田中泯「終わってよかったと思う気持ちもありますが、いつ区切りがつくのかな?というぐらいに、踊る場所すべて監督やチームの方が来ていたので、それがなくなってしまって、少し寂しい気持ちもします。ですが、こうして皆さんに観て頂けたのは、これからの僕には、さらに先に進めるという事なので、嬉しいことだと思っています」

制作のきっかけ

田中のポルトガルでの公演に監督が同行した事がきっかけで出来上がった本作

犬童監督「『メゾン・ド・ヒミコ』のシナリオを読んでもらった時に、“僕は演技はできないけど、撮影する場所に一生懸命いる事はできる。それがダンスでやってきたことだから、それでもいいならやります”と言われて、ずっとその言葉が心に残っていて、その意味を確かめたいと思っていました。ポルトガルでの踊りを作品にするつもりはなかったけど、撮った結果、あの時の言葉を自分の作品の中で確かめみたいと思ったんです」

田中泯「映像の為に踊るという事をしたつもりはなかったけど、私の踊りは、踊った場所の為のもの。映像の中の踊りは全くの別物ですが、踊りを見た犬童さんが、皆さんに面白く見えるように、目を惹きつけ、くぎづけになるように蘇らせてくれた。映画の中でも確かに僕が踊っていますが、映像の中の踊りは間違いなく犬童さんに踊りとして作りあげられたものなんです。そしてそれがかっこいい。踊りは見た人の中で生まれ変わりますが、犬童さんが映画作品として蘇らせてくれたのが、本当に嬉しい。これが今日一番伝えたかった事です」

アカデミー賞®︎受賞歴を持つ山村浩二のアニメーションも本作の重要な要素の一つ

犬童監督「撮影した踊りを見ている間、泯さんの踊りがどういう風に作られているのか考えていました。泯さんの踊りはイマジネーションが連なって、常に変化していくもの だと捉えていました。山村さんのアニメーションも同じで常にメタモルフォースしていて通じるものがあると思いました。他の人のアニメだと無理だと思いましたが、山村さんのアニメと泯さんの踊りが噛み合って面白いものができると感じました」

写真家の操上和美が撮り下ろしたポスター

“顔で踊る”事をテーマに撮影

田中泯「操上さんのカメラが、顔から10cmぐらいで物凄く近くて、撮られながら顔の中の自分を探していました。操上さんに“旅に出ちゃったね”なんて言われながら、すごく長い時間撮影していましたが、それがとても楽しかったです。操上さんのフレームに切り取られている場所を強烈に感じながら、その中で踊っている感覚がありました」

観客からのQ&A

Q.「1シーン1シーンものすごく豊かな時間が流れていると感じました。多様な時間の重要性が劇中でも語られていますが、時間について編集するうえで意識されたことは?」

犬童監督「泯さんの踊る場所に行って踊りを見る、そしてその場所から帰ってくる。その感覚を一本の映画で表現したいと考えて編集しました。きっと、滝に打たれ浄化される感じに近いです」

最後にメッセージ

犬童監督「泯さんは“ダンスを踊るために農業で体を作る”という考え方はしていなくて、“農業をして出来上がった体、生まれた体で踊る”という考え方をしていて、ものすごく時間をかけて物事を進めている人だということに気づきました。効率で進めるのではなく、時間をかけないと生まれないものの輝きや重さを考えて踊りを作る。その泯さんのやり方が今一番大事なことだと作りながら思いました」

作品概要

なぜ今、彼に惹かれるのか。
田中泯が、76年の生涯をかけ探し続ける踊りとは...
見るものの五感を研ぎ澄ます、120分の旅にでる
1978年にパリデビューを果たし、世界中のアーティストと数々のコラボレーションを実現し、そのダンス歴は現在までに3000回を超える 田中泯。映画『たそがれ清兵衛』(02)から始まった映像作品への出演も、ハリウッドからアジアまで広がっている。
40歳の時、田中泯は“畑仕事によって自らの身体を作り、その身体で踊る”ことを決めた。そして74歳、ポルトガルはサンタクルスの街 角で踊り、「幸せだ」と語る姿は、どんな時代にあっても好きな事を極め、心のままに生きる素晴らしさを気付かせてくれる。そんな独自の 存在であり続ける田中泯のダンスを、『メゾン・ド・ヒミコ』への出演をきっかけに親交を重ねてきた犬童一心監督が、ポルトガル、パリ、山 梨、福島などを巡りながら撮影。また、『頭山』でアカデミー賞短編アニメーション部門に日本人で初めてノミネートされた山村浩二による アニメーションによって、田中泯のこども時代が情感豊かに点描され、ぶれない生き方が紐解かれてく―。 どのジャンルにも属さない田中泯の〈場踊り〉を、息がかかるほど間近に感じながら、次第に多幸感に包まれる―― そんな一本の稀有な 映画を、ぜひスクリーンで体験してほしい。

映画『名付けようのない踊り』

2022年1月28日(金)より ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿バルト9、Bunkamura ル・シネマ他にて全国公開

田中泯
石原淋 / 中村達也 大友良英 ライコー・フェリックス / 松岡正剛

脚本・監督:犬童一心
エグゼクティブプロデューサー:犬童一心 和田佳恵 山本正典 久保田修 西川新 吉岡俊昭 プロデューサー:江川智 犬童みのり アニメーション:山村浩二 音楽: 上野耕路 音響監督:ZAKYUMIKO 撮影:清久素延 池内義浩 池田直矢 編集:山田佑介

助成:文化庁文化芸術振興費補助金
協賛:東京造形大学 アクティオ
配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ 制作プロダクション:スカイドラム
製作:「名付けようのない踊り」製作委員会(スカイドラム テレビ東京 グランマーブル C&I エンタテインメント 山梨日日新聞社 山梨放送) 2021/日本/114 分/5.1ch/アメリカンビスタ/カラー/G
© 2021「名付けようのない踊り」製作委員会
公式サイト:https://happinet-phantom.com/unnameable-dance/
公式 Twitter・Instagram:@unnameabledance

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