神宮寺勇太単独初主演舞台『葵上』『弱法師』―「近代能楽集」より―11月8日開幕！

国内外で評価の高く全八編の短編戯曲から成る三島由紀夫の代表作「近代能楽集」。その中の『葵上』『弱法師』二編が、東京と大阪で上演となる。
三島由紀夫は、小説家としての活動にとどまらず、劇作家としても『鹿鳴館』や『サド侯爵夫人』など数多くの作品を生み出し、早くから謡曲にも親しんでいた。「近代能楽集」は【能楽の自由な空間と時間の処理や、露わな形而上学的主題などを、そのまま現代に生かすためにシチュエーションを現代化】したといわれる作品だ。能の物語を現代の設定へと落とし込みながら、現実世界を超越した能の幽玄さが違和感なく融合する独特の世界観が、 演劇的にも最大の魅力となっている。
その中の一編『葵上』は、「源氏物語」を原典に、能楽、そして近代劇へと移り変わりながらも時代を超えても変わることのない、嫉妬や欲望、情念など、心の内に秘められた闇を生々しくも幻想的に描いた作品。三島自身が「一番気に入っている」と語る魂魄の劇。
そして『弱法師』は終末観に腰を据えた青年が、いかに大人の世界に復讐するかを軸に、滑稽にも見える両親とのやり取りと、主人公がこの世の終わりを語る長台詞、現実的なもの全てに対する敗北を表す最後の台詞が印象的な作品。この二作品を連続上演する。
演出を担当するのは、ストレートプレイからミュージカル、近代古典など多方面にわたる作品を手掛け、確固たる演出力で作品を創り上げてきた宮田慶子。

本作で主演を務めるのは、舞台単独初主演かつ、ストレートプレイ初挑戦となるKing & Princeの神宮寺勇太。 『葵上』では美貌の青年・若林光役を、『弱法師』では戦火で視力を失った二十歳の青年・俊徳を演じる。
共演の中山美穂は、『葵上』では光のかつての恋人・六条康子、『弱法師』では俊徳を救おうとする調停委員・桜間級子に扮する。
さらにに『葵上』には、佐藤みゆき、金井菜々、『弱法師』には篠塚 勝、木村靖司、加藤 忍、渋谷はるかといった個性豊かなキャストが揃った。

初日を迎えての心境

神宮寺勇太「1つは楽しみにしています。こういう姿を僕自身もみなさんに観ていただくのはなかなかない機会なので、ぜひ足先から頭の上まで堪能していただけたらなと思います」

レポーター「ファンの方はビックリするのではないでしょうか」

神宮寺勇太「どうですかね。僕も自分のことを鏡であんまり見ていないので、どんな動きをしているかあまり想像がつかないです」

初の単独主演舞台

レポーター「難しい作品だと思いますが、作品の印象はいかがですか？」

神宮寺勇太「本当にみなさんにご迷惑をたくさんかけてきて、キャストのみなさん、スタッフのみなさんに。いろんな方に支えていただいてやっと、みなさんに支えてもらいながら僕もレベルアップさせていただきました。1人だと立ち向かえないくらいの難しい、大きい壁という印象がありました」

レポーター「宮田慶子さんから何かアドバイスはあったんですか？」

神宮寺勇太「たくさんいただきました！葵上と弱法師のサブストーリーではないですけど、宮田さんと一緒に作らさせていただいて、ここはこういう感じのドラマがあるんじゃないっみたいなものを、昨日もちょうど話していました」

レポーター「宮田さんからの言葉で心に残っている言葉は？」

神宮寺勇太「これは絶対聞かれると思ってました（笑）。僕、1個あるのは、何個もあるんですけど、「役を纏う」とよく言うと思うんですけど、「役を食べちゃえ」というふうな言葉はすごく印象に思って。自分の中に落としこんで、発する言葉なんだというのをあらためて。食べちゃえという表現が新しくて僕の中で印象に残っています」

演出からみた神宮寺勇太

宮田慶子「とにかく吸収がよくて、日々いろんなツッコミを入れてみると、ことごとく返ってきて、次第に底なしのポテンシャルを持っているなとこの人はと思って。いろんなことを投げて、投げて投げてきました。昨日も作戦会議といいながら言っていたんです、作戦立てながらいくんですけど、本当に難しい戯曲に対して、非常に知的に論理的に分析もしつつ、いざ演じていく時にはすごく動物的勘というんですかねそういうものを全部使ってくれるので、毎日楽しいです、私は。日々アップデートと言っているんです、毎日探していこうね、更新しながらいこうねと言っています。掘れば掘るほどいろんなものがでてきます」

レポーター「最初に会った印象からガラッと変わったんですか？」

宮田慶子「そうですね、初対面でスタートさせていただいたので。でも最初の時から全身できてましたので、すごい集中力だなと思って。これはいろんな顔が隠れてるなと、ちょっと稽古しただけでわかったので、いろんな顔を持ってるぞとひとつひとつ引っ張りながら。でもゆっくりお稽古させていただいたので、そういう意味では、彼も日々アップデートを重ねながら、時には寄り道も経験しながら、戻る余裕もありながらここまできたような気がします」

苦労や落ち込みむことは？

レポーター「アップデートをする中で、苦労したり、落ち込んだりすることはありました？」

神宮寺勇太「落ち込むはないですね、僕は。言っていただけたほうが僕は助かりますし、それをウソでごまかしてもらったら自分が困っちゃうので、正直にここはこうなんじゃない、ここは違うんじゃないって言っていただけたほうが、僕は落ち込むというより、いかに取り入れられるかとか、バージョンを更新できるかというのを目標にやらせていただきました」

中山美穂との共演

レポーター「お互い初共演ですが、印象はいかがですか？」

神宮寺勇太「本当にお稽古中もたくさん助けられました。お芝居の経験も多くないので、引っ張っていただきながら、お芝居をしていただいて本当に助かりました。僕は、初めて座長としてやらせていただいているんですけど、本当に美穂さんに支えていただきながら今日迎えています。頼もしいです」

中山美穂「お稽古もすごく頑張ってきて、その中でしっかりとブラッシュアップして。ものすごく驚くほど素直な方なんです。直感力も働いて、すぐ自分の中でスマートに変換して動いてらっしゃるので、逆に私もその姿をみて刺激になりましたし、先輩とは言え私も舞台経験が豊富ではないので、ごめんね、と思いながら先輩みたいに言ってと心の中でずっと思いながら」

レポーター「素直だなと思ったエピソードはありますか？」

中山美穂「何に対してでも「はい」って全部受け止めるんですよ。次の瞬間から切り替える。なんでとか違うとかそういう隙もみせない。そこが初々しかったです」

神宮寺勇太「（笑）」

レポーター「かわいらしいなという感じですか？」

中山美穂「まあ、そうですね。だってかわいいですもん」

神宮寺勇太「（笑）。ありがとうございます」

レポーター「かつての恋仲だったりという関係を演じますが、男性とみていかがですか？」

中山美穂「まだそんなにお話してないんです」

神宮寺勇太「そうですね」

中山美穂「食べ物何が好きなのというそんな会話すらしてないんです。なので、役の中でどうくるかなこうくるかというような感じでみています」

レポーター「本番が始まってからお話する時間があるかもしれませんね」

神宮寺勇太「そっちだなと思っていました。毎日長い期間稽古をさせていただいていたんですけど、あまり僕自身余裕がなくて、ずっと台本に向き合ってましたので、本番が始まってからにしようと思ってました。僕、好きな食べ物はカレーです」

中山美穂「知ってました（笑）それ」

レポーター「座長として差し入れとか何か考えているんですか？」

神宮寺勇太「考えてます、考えてます。でも言わないですよ」

レポーター「教えてくれないんですか」

神宮寺勇太「教えてほしいですか。マイク付いているので館内にバレちゃうじゃないですか。元気のでるようなものですかね」

三島作品の難しさ

神宮寺勇太「覚えられる自信がなかったです」

宮田慶子「短い作品なんですけど、二作品を同じキャストでやったのは初めてかもしれないです」

レポーター「いろんな方がやってらっしゃるけど」

宮田慶子「立て続けにこのヘビーな役を二つやっていただくってなんてことをお願いしてしまったんだろうと途中からちょっと悩みましたけど。でもこの二人なら大丈夫と思いました」

レポーター「でも大変でしたよね」

神宮寺勇太「そうですね、最初の頃は夜も寝れなかったです。これは本当に自分に覚えられるのかというのも思いました。でもたくさん稽古を重ねていただいたので、僕としてはありがたかったです。そこで自分の中に落とし込む作業ができたので、助かりました」

レポーター「どのように覚えてるのですか」

神宮寺勇太「みなさんと一緒だと思います。読む。読む、コレにつきます。声に出して読んでという感じです。ひたすら読んでという暗記ですね。家でないと僕できないです。誰かがいると集中力が減っちゃうので」

メンバーからのエールやアドバイスは？

神宮寺勇太「どうやってセリフを覚えてるとか。僕メンバーにはそういうのは聞かないんですけど。みんなはリズムで覚えてると言ってもらったり、俺は家で覚えてるとか、岸くんは具体的なことでなくて神宮寺ならできるみたいなふうに言ってくれました。心強かったですね」

ファンのみなさんへのメッセージ

中山美穂「上演がはじまりますけど、頑張ります。観ていただいた方に少しでも伝わってくれればいいと思います。最後まで頑張ります」

神宮寺勇太「初めて読んだ時に難しい作品だなと思ったんですけど、読めば読むほど、演じさせていただけばいただくほど、三島さんの作品へに対するの興味が僕自身惹かれていったので、もし観にこられる方がいれば、三島さんの世界観をこの作品の世界観をこの機会に知っていただけたらなと思いますし、今回残念ながら来れなかったという方は、小説、本を読んでもしかしたら神宮寺くんが演じる光はこういうふうにやるのかなという妄想もしていただきながら楽しんでください、頑張ります」

あらすじ

『葵上』

深夜の病院の一室。若林光は入院する妻・葵の元を訪ねる。看護婦から、真夜中になると見舞いにやってくるブルジョア風の女のことを聞かされる。光が病室にいると、かつて光と恋仲であった六条康子が現れた。毎晩、葵を苦しめていたのは康子の生霊であった。康子の生霊は、再び光の愛を取り戻そうと昔の思い出を語り出す。次第に、光は葵のことを忘れそうになるが、葵のうめき声で我に返り・・・

『弱法師』

晩夏の午後。家庭裁判所の一室。2組の夫婦が、俊徳の親権を争っている。 高安夫妻は俊徳の生みの親である。俊徳が戦火で両親とはぐれ、火で目を焼かれて失明し、物乞いをしていたところを川島夫妻に拾われた。それぞれに権利を主張するも、俊徳はそれを嘲笑し、育ての親は奴隷、生みの親は救いがたい馬鹿だと言い放つ。平行線をたどる話し合いに業を煮やして、調停委員である桜間級子が俊徳と二人だけで話をすることになり・・・