日本の放送文化の質的な向上を願い、テレビ、ラジオの番組、関係者を顕彰する放送批評懇談会運営の「ギャラクシー賞」。歴史は古く、今年で59年の歴史を誇る。
「ギャラクシー賞」活動の一環として、ギャラクシー賞テレビ部門では、毎月自主的に番組を推奨する「月間賞」を選定し月間賞を発表している。
ギャラクシー賞テレビ部門は、この日常視聴に基づく「月間賞」と、各社からの応募作品を併せて審査を重ね、毎年の受賞作を決定。2022年6月初旬開催予定の贈賞式にて、大賞をはじめとする各賞が決定、表彰する。
2021年12月度ギャラクシー賞月間賞
◆水曜ドラマ「恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜」
10月6日〜12月15日放送 22:00〜23:00 日本テレビ放送網 日テレアックスオン
感動路線一択と思われた視覚障害の題材を、とびきりのラブコメディで見せた快作。一歩間違えば不謹慎と背中合わせの挑戦。いい原作のもと、脚本、演出、俳優が志をひとつにし、恋をした若者の馬力と輝きを画面いっぱいに届けてくれた。弱視のヒロインの「見えない」世界を可視化した演出も物語をアシストした。
◆理想本箱 君だけのブックガイド 「もう死にたいと思った時に読む本」「同性を好きになった時に読む本」
12月9日、16日放送 22:55〜23:20 日本放送協会 オッティモ NHKエデュケーショナル
それぞれの本の特色に合わせて趣向を凝らした「映像の帯」が素晴らしい。活字メディアと映像のコラボとしても効果的で、これまでの書籍紹介番組とははっきり一線を画している。多彩な才能が腕を競える 「Eテレ」というユニークな教育、教養の舞台を持つ幸せを感じた。押し付け感のないスタジオも魅力。
◆金曜ドラマ「最愛」
10月15日〜12月17日放送 22:00〜22:54 TBSテレビ TBSスパークル
毎回、緊密な構成と吉高由里子、松下洸平、井浦新のそれぞれに繊細な演技に引き込まれ、息を止めて見てしまうほどだった。奥寺佐渡子、清水友佳子の脚本のうまさに加えて、過去と現在という時間を行き来するドラマを得意とする塚原あゆ子の安定の演出は、情感豊かで、とんでもなく完成度の高いドラマを作り上げた。
◆BS1 スペシャル「歩兵第 11 連隊の太平洋戦争」
12月19日放送 22:00〜23:50 日本放送協会 テムジン
太平洋戦争開戦80年に当たる12月、見応えのある戦争関連の番組が並んだが、なかでもこの番組は中国侵略から始まった日本の戦争の本質に迫る視点と内容を備えた傑作。マレー半島に進軍した歩兵第11連隊の人々の証言が戦争の真実を明らかにしている。戦争体験者が語る貴重な証言の蓄積が生かされ、われわれに迫ってくる。