撮影/加藤 岳、スタイリスト/[堀田]大和田ゆき [井上]小松嘉章、ヘアメイク/[堀田]小笹博美 [井上]杉本佳織
衣裳/堀田]ドレス¥148,500、ジャケット¥137,500、シューズ¥80,300/すべてPlan C(パラグラフ) [03-5734-1247 価格はすべて税込み
[井上]ブルゾン¥52,800、オーバーオール¥79,200/すべてグッド ルーザー(エウラ) 03-6455-1440、その他/スタイリスト私物 価格はすべて税込み
――SHE'Sさんの楽曲が入った完成作をご覧になっていかがでしたか?グッときた点もお願いします。
堀田「映像美も、音楽も、共演させていただいた声優さんも、スタッフさんもすべて、ステキな方々とご一緒できたんだなと思いました。空がメインの作品なので、どんな空の色になるのだろうと思っていたのですが、想像以上に空が青く、グライダーで空を翔ける時も、草や花が揺れているところを見て、自分自身がその場にいるような感覚になりました。温度感がこちらまで伝わるようなとてもリアリティのあるアニメーション映画ができたんだなと思いました」
井上「映画のラストに自分たちの曲が流れてきて、作中の景色が移り変わって描かれているのを観ただけでグッときました。メインキャラクター以外も、全員が大事なキャラクターで、愛おしく思え、全体を通してとてもいい作品だと感じました。誰ひとり嫌いになれなかったです。みんながそれぞれ事情を抱えていて、それぞれがいろんな思いを持って航空部にいるんだなと」
――堀田さんはSHE'Sさんの楽曲が入ったことで感じたこと、逆に井上さんは堀田さんがたまきを演じた印象を教えてください。
堀田「出演作では、いつも音楽に救われることが多くて、音楽も含めて1つの作品であると思っています。今回、作品に彩りを添えてくださったのが、以前ご一緒させていただいたSHE'Sさんだったので、ご縁も感じました。井上さんのとても透き通ったステキな歌声が映画館で、綺麗な映像美とともに観られるのは、幸せだなと思います」
井上「堀田さんの声は、とても落ち着いていますし、透き通っているというイメージを持っていました。映画で観た時に、いろんな表情の声を出される方だなと感動しましたし、同じ人なのかなと思ったくらいです。怒っている声もたまきの元気な感じが出ていて可愛かったですし、感情の表現がすごいなと観ていました」
――井上さんにお聞きしたいのですが、本作の挿入歌「Beautiful Bird」と主題歌「Blue Thermal」の2曲はどのように制作されていったのでしょうか。
井上「2曲ともに映画のサウンドプロデューサーの方と事前にミーティングをして、イメージをいただいていたんです。主題歌は明るく終えたいということでしたので、軽快にアップテンポで明るい感じで。挿入歌はここのシーンで挿し込まれますと伺った上で、そのシーンが大事なセリフ・空気感のシーンだと思っていたので、音数と言いますか、バントを出さないでおこうというのを自分の中で決めました。サウンドプロデューサーの方に「メロディの数は多いより少ないほうが空気に溶け込みやすいかもしれないですね」、というアドバイスをいただき、制作していきました。歌詞のほうも、仮で出したものから、例えば挿入歌の「Beautiful Bird」のほうは、「もう少し恋愛要素を薄めて」などディスカッションを重ねて作っていきました。主題歌の「Blue Thermal」は、原作者の小沢かな先生も一緒にメールでのやりとりで参加していただいていたので、面白かったです。というのも、グライダーはエンジンを使っていないのに、仮歌詞の段階で2番の歌詞に僕がうっかりエンジンというフレーズを使ってしまって、小沢先生から「ごめんなさい、井上さん。構造上、エンジン出てこないです」と直々にメールをいただき、「すみません!うっかりしていました」というやりとりがありました。そこからどの言葉に変えるかみんなで話し合いながら、最終的に天候やいろんな条件が大事な競技なので「条件良好でも」に変えたりしました。普段歌詞を一緒に考えることがなかったので、うれしかったですし、楽しかったです」
――どのようにイメージを膨らまして作っていかれたのでしょうか。苦労したことはありましたか?
井上「原作の漫画を読んで作っていったのですが、この作品は景色を一緒に見ているかのようで、一緒に体験しているような高揚感が感じられたので、サウンドトラックを作ること自体は苦労しなかったです。漫画を読みながら、浮かんでくるアイデアがたくさんあって、風景が見える作品だったので、イメージでスーッと書けました。主に歌詞の部分でのディスカッションが多く、小沢先生が散りばめている、大事にしているだろうなと思うセリフを歌詞に取り入れたりすることがあるのですが、セリフを入れることによって何を伝えたいのかという大枠とのバランスには苦心しました。プロデューサー、ディレクターの方と何回かメールでのラリーを繰り返して決定していったので、そこは簡単ではなかったです」
――楽曲制作の貴重なお話ありがとうございます。堀田さん、SHE'Sさんとの2度目のご縁ということですが、SHE'Sさんの楽曲にはどんな印象をお持ちですか。
堀田「どの曲も前向きで優しく包み込んでくれているようで、大丈夫なんだよという気持ちにさせてくれるので、大事なことがある前や不安な時によく聴くのですが、以前ご一緒させていただいた「追い風」のフレーズが私はとても好きで、そのフレーズを一緒に口ずさみたくなります。仕事に向かう前によく聴いています」
井上「うれしい」
――では井上さん、2曲の聴きどころ、ここに注目してほしいポイントを教えてください。
井上「挿入歌のサビで、僕が6回くらい歌っているのですが、ハモリの上のほうを右と左で2回、下のほうも同じく右と左で2回、メインの歌も2回歌っていて、それを全部重ねて空気が振動している感覚を作ったので、より広がりを感じられる曲になっています。そして、主題歌は、イントロから空を感じられる曲にしたいなと意識しながら、漫画を読みながら頭の中で作ったのですが、絶対にバイオリンやフルート(ピッコロ)が必要だなと最初から確信して作っていました。なかなかこういうことを思いながら作ることが今までなかったので、とても新鮮でした。自分の中で大きい空がバイオリンであって、その中で機体みたいに舞うように踊っているのが、フルート(ピッコロ)だったので、その2つの楽器で『ブルーサーマル』という作品を抽象的にでも表現できたらなと思って作っています」
――堀田さんは、オーディションで勝ち取られた主役の座ですが、オーディション、そして5日間のアフレコはいかがでしたか。特に感情の入ったセリフがありましたら教えていただけますか。
堀田「自分で言うのもおこがましいですが、お会いする方々に「声が素敵ですね」、とお褒めいただくことが多かったんです。だから、いつかは声優やラジオ、ナレーションなどのお仕事をさせていただきたいと思っていました。作品のテーマになっている“綺麗な空の青”をイメージして、オーディションには願掛けでブルーの服を着て挑んだのですが、結果を聞いて“本当に私が受かったのか”と信じられない気持ちでした。アフレコをしてとてもうれしかったのは、「堀田さんは、すごく耳がいいと思います」と言ってくださって。今まで言われたことがなかったのですが、「言ったことの音階をすぐに変えられる、声の音階を変えられるのが得意なんですね」と言っていただいた時に、うれしいなと。5日間同じブースの中でのアフレコでしたが、大変というよりも楽しいほうの気持ちが大きかったです。最後のほうのドイツでの倉持さんとのシーンは、通しで録ったのですが、そのシーンは緊張感がありましたし、そのアフレコは、できるだけ声優のみなさんが集まってその場で生まれる空気感を大切に録っていました。序盤に出てくる長崎弁は難しく、関西弁に似ている部分もあって大変でした」
――本作にちなんだお話も。劇中にはいろいろなキャラクターが登場しますが、ご自身に近いなと思うキャラクターはいますか。
堀田「私は“たまき”に近いと思います。たまきも私もあまり人見知りをしない、明るいところが似ていると思いました。たまき自身は自己肯定感が高くなく、出会う人によって自分を好きになっていく過程も共通点でした。私は役を演じている時だけは別の人になれますが、堀田真由という1人の人間になると自信がなかったり、不安になることも多く、演じるキャラクターに助けられている部分があるので、たまきと似ているところが多いのかもしれないと思いつつ演じました。共通点がたくさんあったので、演じていてとても楽しかったです」
井上「理想は監督なんですが、“空知”寄りかなと。空知は、意外と奥手というか、自分を表現するのが苦手なキャラクターで、僕も音楽の場以外で、自分の気持ちを誰かに伝えたり、自分の芯を持っているということがあまりない人生を歩んできたと自分でも思いますし、それが逆にコンプレックスになって曲を作れているということもあったりしたので、そういう面において空知に同感できると思っています」
――物語の舞台は、大学の体育会航空部ですが、お2人がこれまで経験した部活や夢中になったこと、そしてもし入れるなら入ってみたい部活はありますか?
堀田「中学生の頃は、バスケットボール部に入っていました。ですが、もう一度は……(笑)。外周を走ったり、朝練がしんどかったです。元々はクラシックバレエを習っていたので、主軸はバレエでした。高校では、バレエを活かした部活に入りたいと思っていたので、芸能活動をしていなければ、バトントワリングをやりたかったです」
井上「僕は小学1年生から中学3年生まで、ピアノと野球をやっていました。小学校6年間野球と同時にサッカーもやっていたりもして、いろいろ挑戦していました。中学生の時にピアノをしながら、ギターに出会ってよくギターを弾くようになって、高校では、軽音楽部に入ってバンドをするようになりました。音楽をやっていなかったら、そのまま野球をやっていたのかなぁ。でも坊主にしたことがなかったんです。坊主が嫌で、幸い強豪校ではなく野球未経験の顧問の先生だったこともあり、坊主にはならなかったんです(笑)。ギターというロックミュージックに出会っていなかったら、ピアノの道に進んで音大を目指していたりしていたのかなと。高校がピアノ専攻の学校もあったので、ピアノをそのままやっていたかなと思います」
――航空部はグライダーで高いところを飛行しますが、お2人は高所は得意ですか?グライダーに乗ってみたいですか?
堀田「高いところは、得意ではないです(笑)。足元がガラス張りになっているような建物から下を見るのは怖くて苦手なんです。でもジェットコースターは好きです。今回本作を通してグライダーには乗ってみたいなと思いました。彼女が見た景色や、どんな感覚になるんだろうと興味が湧いたので、経験してみたいです」
井上「僕は苦手でもないですけど、得意でもないです。スリル感にはワクワクします。メジャーデビューした時のジャケット写真を撮った場所が、何十階建てのビル屋上で、その屋上の縁に腰をかけて撮影しました。“怖っー”と言いながらドキドキしての撮影でした。冷静に考えたらビルの屋上だったので強風が吹いたらと思うと怖いですが、高いところは嫌いではないですね。グライダーは乗ってみたいですが、最初はたまきのように操縦席ではなく乗せてもらうほうがいいです。操縦はしたくないです、ちょっと怖すぎて」
――ありがとうございます。最後に好きなシーンを含め、メッセージをお願いします。
堀田「好きなのは、SHE'Sさんの挿入歌が流れる中、空知とたまきがちょっといい雰囲気になる雲海のシーンです。『ブルーサーマル』は空がとてもキレイなんですけど、空もいろんな表情を見せてくれるのだと、アフレコをしている時も完成作を観た時も、改めて感じました。今はなかなか前向きになれない人も多いと思いますし、携帯電話を見ながら歩いてしまう人もいると思います。私自身も“下ばかり向いて歩いているな”と反省することがあったのですが、この作品に出演させていただいてから、空を見上げる回数が増えました。見上げることで、自分の気持ちによって空の表情が変わりますし、空はたくさんのことを教えてくれるのだと、私はこの作品を通じて実感したんです。この作品をご覧になってくださった方々も、私のように空を見上げたくなると思うので、空を見て前向きになっていただきたいです。“とてもちっぽけなことで悩んでいたのかな”とも思わせてくれる作品です。ぜひ劇場でご覧いただけるとうれしいです」
井上「好きなシーンは、映画のラストシーン。原作と違う部分になっていてドラマチックでとてもステキです。ネタバレになるのであまり多く言えないのですが、ぜひ楽しみにしていただきたいです」
PROFILE
予告映像
映画『ブルーサーマル』
2022年3月4日(金)全国公開
出演:堀田真由 島﨑信長 榎木淳弥 小松未可子 小野大輔 ほか
原作:小沢かな『ブルーサーマル ―青凪大学体育会航空部―』(新潮社バンチコミックス)
監督:橘正紀
脚本:橘正紀 高橋ナツコ
主題歌:「Blue Thermal」SHE’S(ユニバーサル ミュージック)
挿入歌:「Beautiful Bird」SHE’S(ユニバーサル ミュージック)
アニメーション制作:テレコム・アニメーションフィルム
製作:「ブルーサーマル」製作委員会
配給:東映
映画公式HP:blue-thermal.jp
映画公式Twitter/Instagram:@eigabluethermal
© 2022「ブルーサーマル」製作委員会
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