凪良ゆうによる「流浪の月」(東京創元社刊)は、2020年の本屋大賞を受賞し、同年の年間ベ ストセラー1 位(日販単行本フィクション部門、トーハン単行本文芸書部門)に輝いた傑作小説。主演に広瀬すずと松坂桃李を迎えその原作を実写映画化し、5月13日に公開となる。
さらに、第23回全州(チョンジュ)国際映画祭※(韓国)「ワールドシネマ」部門へ出品され、公開を前に話題となっている。
※第23回全州(チョンジュ)国際映画際
(開催期間:2022年4月28日~5月7日)
10歳のときに誘拐事件の“被害女児”となり、広く世間に名前を知られることになった女性・家内更紗 (かない さらさ)を広瀬すずが、その事件の“加害者”とされた当時19歳の大学生・佐伯文(さえき ふみ) を松坂桃李が演じる。
家内更紗(広瀬すず)の婚約者・中瀬亮を横浜流星が、そして癒えない心の傷を抱える佐伯文(松坂桃李)に寄り添う看護師・谷あゆみを多部未華子が演じる。加えて、趣里、三浦貴大、白鳥玉季(子役)、増田光桜 (子役)、内田也哉子、柄本明らが顔を揃えた。
恋愛、友情、家族愛......そんな既存の言葉ではくくれない、限りなく稀有な2人の関係性を描き出すのは、『悪人』『怒り』などで知られる李相日(リ・サンイル)監督。
また、『パラサイト 半地下の家族』『バーニング 劇場版』『哭声/コクソン』『母なる証明』など、韓国映画史に残る作品を次々手がけてきた撮影監督・ホン・ギョンピョ、『キル・ビル Vol.1』『ヘイトフル・エイト』『フラガール』『悪人』『三度目の殺人』など、世界を股にかけて活躍する美術・種田陽平ら、国境を越えた才能が集結した。
今回解禁された場面写真は、広瀬すず演じる“誘拐事件の元被害女児”・更紗の現在の恋人・亮を演じる横浜流星を捉えたもの。
更紗の横で微笑む幸せそうな表情、そしてそれとは対照的に病みやつれた表情の2枚から、亮と更紗の関係がどう変化していくのか、想像が膨らむ。
横浜流星は、2022年だけでも、日曜劇場「DCU」(TBS系)やNetflix製作のドラマシリーズ「新聞記者」、映画『嘘喰い』と出演作が連続して 公開され、下半期も池井戸潤原作の『アキラとあきら』(三木敬浩監督)、『線は、僕を描く』(小泉徳宏監督)と主演映画が続々と公開予定で飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍をみせている。
本作で更紗の恋人である亮は、“誘拐事件の元被害女児”という特殊な過去を抱える更紗を、守ろうとするがゆえにきつく束縛し、やがてその強すぎる愛情が支配、そして暴力へと変わっていく激しさと脆さをあわせ持つ強烈なキャラクターなのだ。これまでの横浜の硬派で正統、そして紳士的なパブリックイメージを覆す役どころ。
また、横浜は原作「流浪の月」が本屋大賞を受賞する前からのファンだと公言しており、映画化権を李相日監督が取得したという噂を聞きつけると、なんとしてでもその世界観の一部になりたいと、直接李に会って、未決定だった亮役のオファーを受け挑んだ役柄。
横浜はオファーを受けて改めて原作を読み返した印象をこう振り返る。
「亮目線で読むとまた違う見方ができました。文目線で読んでいた時は『この男、なんなんだよ』と思っていましたが、亮目線で読むと亮にも悲しい過去があり、だからこそ更紗を精一杯に愛して守り抜きたいと思っている、共感で きる人間らしい部分がありました。僕自身が誰よりも亮を愛しました」と単純に善悪では断罪できない生身の人間臭さを備えた横浜自身の亮というキャラクターを受け止めた。
ところが、自身を“人見知り”だという広瀬と“甘えることが苦手”だという横浜の初共演、しかも結婚を目前にした恋人どうしという設定には、準備段階から高いハードルがあったよう。クランクイン前のリハーサルで、いつまでも打ち解けない二人を見て監督とやりとりした裏話をこう語る。
「李監督から『形は出来ているけど中身が見えない。まずは広瀬すずと横浜流星として二人の距離感を縮めた方がいいんじゃないか』という指摘があり、二人きりで話し合う時間を持ちました。クランクイン直前にロケ地の松本で二人で街巡りをして、 蕎麦を食べたりゲームセンターに行ったりと、普通の人どうしが過ごすような日常を体験し、自然と亮と更紗になっていけたような気がします」
さらに前半から後半にかけて感情も風貌も驚くほどに変化していく亮の撮影が、 可能な限り劇中の時系列通りに撮影を進めていく“順撮り”(予算やスケジュールの都合でなかなか成立が難しいとされる)で行われたとも明かし、李組の撮影をこう語る。
「順撮りで撮影したことで役の感情が作りやすく、贅沢な現場だと思いました。監督は役者を第一に考えてくれる人だと感じました。すごく幸せな環境の中でお芝居ができて感謝しています」
数多の現場経験を糧に急成長を遂げる横浜が、役作りへのの環境づくりの努力を惜しまない李組でいかなる新境地を切り拓き、花開かせたのか。
いつまでも消えない“被害女児”と“加害者”という烙印、そして事件の契機となったそれぞれの秘密を抱えたまま、15年後に再会した更紗と文の選んだ道とは?
映画『流浪の月』は、5月13日全国公開。
STORY
雨の夕方の公園で、びしょ濡れの10歳の家内更紗に傘をさしかけてくれたのは19歳の大学生・佐伯文。引き取られている伯母の家に帰りたがらない更紗の意を汲み、部屋に入れてくれた文のもとで、更紗はそのまま2か月を過ごすことになる。が、ほどなく文は更紗の誘拐罪で逮捕されてしまう。それから15年後。“傷物にされた被害女児”とそ の“加害者”という烙印を背負ったまま、更紗と文は再会する。しかし、更紗のそばには婚約者の亮がいた。一方、文のかたわらにもひとりの女性・谷が寄り添っていて...
映画『流浪の月』
5月13日(金)全国ロードショー
原作:凪良ゆう「流浪の月」(東京創元社刊)
出演:
広瀬すず 松坂桃李
横浜流星 多部未華子 / 趣里 三浦貴大 白鳥玉季 増田光桜 内田也哉子 / 柄本明
監督・脚本:李相日
撮影監督:ホン・ギョンピョ
製作総指揮:宇野康秀
製作幹事:UNO-FILMS(製作第一弾)
共同製作:ギャガ、UNITED PRODUCTIONS
配給:ギャガ
(c)2022「流浪の月」製作委員会