5月13日(金)より、ハン・ジミン×パク・ヒョンシクが主演を務めた短編映画『二つの光』が、世界初の劇場公開を迎える。本作は、徐々に視力を失っていくピアノ調律師と、視覚障害を持つアロマセラピストの温かな恋を美しいピアノの旋律に乗せて描いたラブストーリー。メガホンをとったのは、大人の恋愛をテーマにした感性豊かなストーリーと繊細な演出で評価が高い韓国恋愛映画の名匠ホ・ジノ監督(『8月のクリスマス』『四月の雪』)だ。韓国では国民的人気俳優たちによる共演に加え、サムスン電子の視覚障がい者支援VRアプリを題材にしたということで大きな話題となった作品でもある。日本での劇場上映を前に、恋愛映画の名手ホ・ジノ監督が、スクリーンで上映される心境や、制作秘話、撮影エピソードなどたっぷりと語ってくれた。

–––韓国で2017年に配信された本作ですが、今回、日本の劇場で上映となると聞いてどんなお気持ちでしたか?

画像: ホ・ジノ監督

ホ・ジノ監督

「実は韓国では正式に劇場公開されていないので、今回、日本で公開していただいて嬉しく思っています。俳優陣にもこの知らせを伝えたところ、“わー、生きているとこんなこともあるんですね”と言っていました」

–––本作は、徐々に視力を失っていくピアノ調律師と、視覚障がいを持つアロマセラピストのラブストーリーであり、恋愛映画の名手であるホ・ジノ監督が、これまで描いてきた作品と一線を画す題材でもありますが、演出する上で、違った点も多かったかと思います。どのように作っていったのでしょうか。何かご参考になさったことはありますか?

「『二つの光』というこの作品は視覚障がい者の物語ですので、私の想像だけで作れるものではないと思いました。ですから、インタビューをたくさんしました。実際に視覚障がいの方、同好会の方々にお会いして、一緒にお茶を飲み、そして、ご飯を食べながら、本当にたくさんのお話を聞かせていただきました。そのようにして、たくさんのエピソードを聞いて集めて作ったのが、本作となります。これまで作ってきた作品よりもとにかく実際の方にインタビューをすることが多かったですね」

画像1: ©Ho Film Co.,Ltd

©Ho Film Co.,Ltd

–––これまでにはない作品ということで、特に、制作にあたって苦心されたことはありましたか?

「なにせ撮ったのがかなり前ですので、記憶が定かではない部分もあるのですが(笑)。とにかく楽しく作れました。現場も楽しかったですし、キャストのみなさんとも楽しく撮影できました。苦労せずに、楽しく撮れた覚えがあります」

画像2: ©Ho Film Co.,Ltd

©Ho Film Co.,Ltd

–––主演のハン・ジミンさんとパク・ヒョンシクさんとは、作品を作り上げるにあたり、アドバイスやディスカッションを交わすなど印象に残っている出来事やエピソードはありますか?

「ハン・ジミンさんと パク・ヒョンシクさんに演じてもらうためには、私が今回インタビューをした方々に会ってもらうのがいいのではないかと思いまして、お2人も希望されたので、私が取材で出会った視覚障がいの夫婦の方に交えてかなり長い時間お会いしました。私が途中で中座しなければならなかった時でも、俳優のお2人は残ってそのご夫婦とお話していました。今回の視覚障がいのある役を想像で演じるよりも、実際に視覚障がいの方にお会いして、考え方や行動を間近で見て知ってほしいと思いましたので、そのように役作りをしていただきました」

–––ハン・ジミンさんの目の演技がとてもリアルだったので、ビックリしました。

画像3: ©Ho Film Co.,Ltd

©Ho Film Co.,Ltd

「ハン・ジミンさんは、片目だけ寄り目になっているような演技が多かったですよね。視力を失っていく人たちは、そういった傾向があるそうです。それを作品に活かしたいと思ったのですが、ただ果たして、目が見える俳優さんにできるのかなと思いました。やってほしいという気持ちはあったのですが、ある時ハン・ジミンさんがすでに練習して現場で見せてくれた時には、本当にビックリしました。どのようにできるようになったのですか?と聞くと、鏡を見て練習したと言っていました。女優さんでしたら可愛く映りたいという気持ちもあったと思いますが、“この演技でいいですか?”と聞いたら、本人がいいですよと言ってくれましたので、このようなかたちで劇中演技をしていただきました」

–––メイキング映像を拝見して撮影現場のよい雰囲気を感じました。実際に作品を一緒に作られて、主演のお2人にどのような印象を持たれましたか?

画像4: ©Ho Film Co.,Ltd

©Ho Film Co.,Ltd

「まずハン・ジミンさんは感情表現が豊かで、そして感性も豊かな俳優さんです。多彩な魅力があるなと思いました。明るい印象もありながら、ある時には悲しみも表現できる本当に幅広い多彩な魅力があるなと思いました。撮影中は、ハン・ジミンさんと、パク・ヒョンシクさんは本当に仲が良くて、本当の姉弟の様でした。そしてパク・ヒョンシクさんは、それまでドラマでしか見たことがなかったのですが、ドラマで観る限り少し冷たい男という印象もありました。ですが、実際に会ってみると爽やかで清らかな印象を持ちました。撮影が進むにつれて本当に賢明な俳優だなと思いました。というのは、作品に対する理解度も高く、こちらが何かを言う前に自分でアイデアを出して持ってきてくれるんです。若いのに、とてもいい俳優だなと思いました」

–––パク・ヒョンシクさんは、本作ではピアノの調律師を演じられましたが、ピアノの演奏について監督から何かお話されたことはありましたか?

画像5: ©Ho Film Co.,Ltd

©Ho Film Co.,Ltd

「まずはとにかくリズムに合わせること、それから上手に弾いているように見せることがポイントでした。実はパク・ヒョンシクさんのお母さんがピアノの先生だそうで、子供のころから弾いていたそうなんですね。ただしばらくの間、弾いていなかったので、それを取り戻してうまく弾いているように見せるというのが、一番のポイントでした。本人にたくさん練習してきてくださいとお願いしておきましたので、たくさん練習してきてくれました」

–––さらに本作のOST(オリジナルサウンドトラック:主題曲)をパク・ヒョンシクさんが担当されていますが、OSTについてはどのような経緯で決まったのでしょうか。

「パク・ヒョンシクさんは元々歌手(ZE:A)出身ですよね。今回、音楽監督のチョン・ソンウンさんが、エンディングでパク・ヒョンシクさんに歌を頼んでみてはとアイデアがでました。これまで私が手がけて、チョン・ソンウンさんが音楽を担当してくださった作品の中では、ハン・ソッケさんやユ・ジテさんも歌ったことがあるので、パク・ヒョンシクさんにもお願いしましょうということになりました」

–––ご本人は乗り気だったのでしょうか。

「断りはしませんでした(笑)」

–––劇中には、サムスン電子の視覚障がい者支援VRアプリが登場してきます。作品を通してこの存在を初めて知ったのですが、視覚に障がいをお持ちの方にとって非常に便利で画期的なものだと感じました。劇中に取り入れられたきっかけを教えてください。

画像6: ©Ho Film Co.,Ltd

©Ho Film Co.,Ltd

「サムスンが、VRゴーグルと言いますか、スマートフォンのVRアプリと連動させて、視覚障がいのある方がそれを付けると、視覚がもっともっと広がるという視覚障がい者のための補助装置を開発していました。視覚障がい者の中には、近くのものを間近で顔を近づけて見れば見えることがあるのですが、少しでも離れたり、遠くなってしまうと見えなくなってしまうんです。そういった不便を少しでも解消しようとアプリと連動させてカメラを通して見える装置をサムスンが作りました。視覚障がい者の中には遠くのものが見えない人もいれば、中間の位置のものが見えない人などいるので、そういう人たちのために、商業的な目的というよりも、公共の目的のために、開発者が作ったそうです。その開発者の方が作るきっかっけとなったのは、テレビドラマを観ていた時に、果たして視覚障がい者の方はどうやってドラマを観るのだろうというふうに思ったところから考えついたそうです。それを多くの人に知らせたいので映画を作ってほしいと依頼を受けて本作を制作することになったんです。このVRアプリは、「Relumino(リルミノ)」というのですが、この「Relumino」を使った人の資料映像がありました。その映像には、実際に装着しながら授業を聞いている人の様子や、自分の母親の顔を初めて見られた人、装着してピアノを弾いている人たちの姿をとらえていて、そういった資料映像も参考にさせていただきました」

–––最後に、見どころを含め、楽しみにしている日本のファンへメッセージをお願いいたします。

画像1: ハン・ジミン×パク・ヒョンシクW主演『二つの光』ホ・ジノ監督インタビュー

「日本で『二つの光』が公開されると聞いて、ハン・ジミンさんも、パク・ヒョンシクさんも本当に喜んでいました。もちろん私も嬉しかったです。コロナ禍でみなさんつらい時期を送っていると思いますが、この『二つの光』という作品は障がいを持ちながらも、明るく生きようとしている人たちの物語です。『二つの光』をぜひご覧いただいて、日本の観客のみなさんにとって少しでも癒しになってくれたら嬉しいです」

画像7: ©Ho Film Co.,Ltd

©Ho Film Co.,Ltd

予告映像

画像: 映画『二つの光』予告映像(5月13日公開) youtu.be

映画『二つの光』予告映像(5月13日公開)

youtu.be

STORY

この恋、見えますか? 見えない二人の不器用な恋が始まるー
徐々に視力を失っていくピアノ調律師インス(パク・ヒョンシク)は、視覚障害を持つアロマセラピストのスヨン(ハン・ジミン)と、写真同好会で出会う。何事にも前向なスヨンと悲観的なインスだったが、次第に二人は惹かれあっていく。気持ちを率直に伝えるスヨンに対して、背を向けてしまう孤独なインス。やがて、些細な言葉がすれ違いを生んでしまい・・・。

画像8: ©Ho Film Co.,Ltd

©Ho Film Co.,Ltd

画像9: ©Ho Film Co.,Ltd

©Ho Film Co.,Ltd

画像10: ©Ho Film Co.,Ltd

©Ho Film Co.,Ltd

画像2: ハン・ジミン×パク・ヒョンシクW主演『二つの光』ホ・ジノ監督インタビュー

映画『二つの光』

監督:ホ・ジノ『八月のクリスマス』『四月の雪』

出演:
ハン・ジミン「まぶしくて-私たちの輝く時間-」「知ってるワイフ」
パク・ヒョンシク「力の強い女ト・ボンスン」「花郎<ファラン>」

韓国/韓国語/30分/カラー/5.1ch/原題:두개의빛:릴루미노/英題:two lights:relumino/字幕翻訳:石井絹香/配給協力:ブリッジヘッド/配給・提供・宣伝:ハルシネマ  

©Ho Film Co.,Ltd

https://two-lights.themedia.jp
 
Twitter→@harucine1015

This article is a sponsored article by
''.