撮影/加藤 岳
――品川監督、『異世界居酒屋「のぶ」』Season2が決定と聞いた時のお気持ちを教えてください。
品川監督「Season1の最終回の時にTwitterのトレンドに続編希望が入っていて、本当にその通りになったので、それはもう、みなさんがつぶやいてくれたおかげです。ちょっと僕も煽っていましたけど(笑)。僕が煽ったくらいで実現にはならないと思うので、それはドラマが届いたのかなと思います。嬉しかったですね」
――2年ぶりに『異世界居酒屋「のぶ」』が帰ってきました。Season2の出来栄えはいかがでしょうか?
品川監督「Season1よりも面白いものをというのが、僕の中にはありました。編集したものを観てあらためてSeason1よりパワーアップしたものが観ていただけるんじゃないかと思っています。お楽しみに!という感じです」
大谷「Season1よりパワーアップはもちろんしていますし、Season1の時もそうだったんですけども、とにかく観ていてごはんを食べたくなるような作品になっています。そしてストーリーがすごく面白いです。なかなか設定が難しいストーリーなのですが、そのストーリーをリアルに描いていて、楽しんで観ていただけるのでは、と自信をもって言える内容になっています。早く観ていただきたいなという気持ちです」
――Season2の脚本を読まれて、大谷さんはどんな感想を持たれましたか?また、品川監督は、どのようなことを意識して脚本を書かれましたか?
大谷「スケール感が、大きくなっているなということを感じました。自分が大将として営む居酒屋のセットの外がとんでもないことになっているなと(笑)。こんなことになるのかと思うくらい、華やかであり、そして居酒屋の店主として大きい小さいは関係ないところではありますが、目の前で巻き起こっていることなので、どうしてもその世界に入ってしまい、巻き込まれた感がすごくあったと脚本を読んでいて思いました。その気持ちは、観ている方にとても近い意識というか、そういう立場でもあるので、非常にドキドキワクワクしながらドラマを観ていただけると思います。常連客との距離感や、武田(玲奈)さん演じるしのぶとのやりとりが、Season1の時以上にコミカルで、愛されるものになるのではないかなと思います」
品川監督「原作が、Season1に比べて、政治的な要素や時世が多く加わってきています。小説で読む場合は自分のペースで読めると思うのですが、中世ヨーロッパのような世界観と政治の話をドラマのスピードにした時に、ついてこれなかったり、短い時間に詰め込むということが難しかったのですが、それを政治の話で視聴者の方が離れないようにキャラクターたちのユーモアや、料理、アクションだったりというまさに味付けをして、政治的要素のストーリーの重要なところを押し進められたんです。それに、キャストのみなさんが本当に魅力的だから、大将、しのぶをはじめ、新しいキャラクターのキャストも魅力的だったので、脚本を書く時は難しかったのですが、難しかった分Season1より要素が増えて面白くなっているかなと思います」
――お2人はSeason1以来の再タッグとなりましたが、Season1から少し期間が空いてお互いの印象に変化はありましたか?
品川監督「大谷さんが面白い人なんだなということを感じました。Season1の終わりのほうで、面白い人だなと思ったのですが、Season2で本当に大谷さんって面白い人なんだなと確信しました。役者さんのイメージがあるのでそれを出さない部分もあると思うんです、イメージがあるので。だけど、本当に面白い人で、その面白い大谷さんがSeason2の大将にも反映されているんじゃないかなと、Season1より2の大将のほうが、大谷さんが持つユーモラスな一面を乗っけられたのではないかと思います。プライベートな話も前作の時よりするようになりましたし、いい意味でチームというか居酒屋を作るチームになれたなと僕自身思っています」
大谷「Season1を撮っていた時にも感じたことなのですが、Season2を撮る間に、僕は品川さんをバラエティで観ているので、その時には芸人さんの顔に戻られる、僕もまたそっちに引き戻されるんです、品川さんのイメージが。ことドラマの現場に入られると、今回はキャストがものすごく多いのですが、一人ひとりに愛情をくださるなと感じます。これは僕一人だけではなく、みんなが感じていることだと思うのですが、出番の多い少ないにかかわらず気を配られていたと思いますし、参加してくれてありがとうという気持ちを乗せてコミュニケーションをとられている姿を見ているので、バラエティの印象とは違いますね。大好きな監督です」
――品川監督から演出面でこんな要望をしたということがありましたら教えてください。大谷さんは、あらためて大将を演じてみていかがでしたか?
品川監督「大谷さんに関してはSeason1で結構演出をしていて、1の最終回に向かって徐々に常連さんに慣れていくんですとか、調理シーンは僕はアクションシーンだと思っているので、思いっきりカッコいいシーンにしたいのでというお話をずっとして、Season2に入ったので、今回新たに付け足す部分があるとしたら、面白いという表現だけですと安っぽくなってしまうんですけど、それを出してほしくて。例えば、料理を出す間合いもそうですし、常連とのコミュニケーションの取り方が近くなったのもそうですし、新たに付け加えて大谷さんと話したことです」
大谷「僕は、Season1の時に、品川さんがおっしゃったようにキャラクターや大事にしなくてはならない部分は初めにガッツリ演出いただいたので、Season2でも自分で何かを変えるというよりは、新しいお客さんが入ってきたら新しい風を入れてくれる、むしろ自分から意図的に何かを変えないということが大事で、常連との距離感だったり、中世ヨーロッパのような異世界とつながって居酒屋を運営していく上での変化というのは基本さえしっかり持っていれば意図的に何かを変えるというより距離が縮んでいったり、フランクなお客さんとのラフなやりとりになったり、新しいお客さんが来て何か問題が起きているなら、そこに対するリアクションだったりと、根底になるものを大事にする気持ちをもっていました。なので、技術的に何か変えようということはせずに、むしろ今までと変わらない関係性を大事にして主張しすぎず、出しゃばらずにいるというのが、Season2の時に大事だなと思ったので、Season1の延長のつもりでその場にいました」
――Season2では原作でいう「魔女と大司教」のストーリーが描かれますが、印象に残っている出来事がありましたら教えてください。
品川監督「イングリド(水野美紀)の登場シーンです。中世ヨーロッパ・アイテ―リアのバテアロ通りでランタンを持って、イングリドが現れる時に、普通はドラマに魔女狩りなんてないじゃないですか、一見魔女のように見える人の登場シーンなので、要はエーファ(新谷ゆづみ)が見て、“え、魔女?”とひとこと言って説得力のある画づくりをするということをこだわりましたし、すごくみんなで作りこみましたし、安っぽくないカッコいい魔女の登場シーンになったかなと思います。対する台本には一行も書かれてはいないのですが、ロドリーゴ(松尾諭)の生ジョッキのビールを飲むスピードが、異常に速くて印象に残っています。“キュってなくなっちゃうんですよ”。それには驚きました(笑)。これはめっけものだな!これはいいぞと。“キュっと”(ビールが)なくなっていくのはすごいスピードで!Season2の“魔女狩り”という話は、しのぶも魔女ではないかと嫌疑にかけられるという内容ですが、原作がそもそも面白いので、面白くできていると思います。あとは、アクションシーンです」
大谷「魔女と大司教編」という作品では、品川さんがおっしゃったその通りで、1より2のほうが現場で思わず笑ってしまってのNGが多かったと思います。それくらいいい意味で緊張感がほぐれてきた撮影でもあります。イングリド役の水野(美紀)さんもちょくちょく噴き出したりされていたので、そんな風に笑ってしまうシーンが1より散りばめられています。シリアスなところはシリアスで、心温まるエピソードが多いのですが、現場で品川さんが思いついた動きやセリフも散りばめられていて、キャストのみんなも楽しみながら演じていました。そこも見どころだと思います」
――美味しそうな料理が毎話登場しますが、これは美味しそうだと印象に残っている料理がありましたら教えてください。
品川監督「アジフライです。アジフライが忘れられなくなっちゃって。僕、定食屋に行ってアジフライを頼んだことがないんです。例えば誰か一緒に定食屋に行った人がアジフライを頼んだら、“え、アジフライ!?、からあげでしょ、トンカツ、しょうが焼きでしょ”と思っていたんです。ところが、ドラマの中でとんでもなくうまそうなアジが手に入りまして、揚げてお客さんが食べるんですけど、バリッという音がうまそうで!そのアジフライの回のシーンの編集作業中、つらくて。食べたくて、食べたくて仕方なかったです。編集が終わって夜になって、アジフライを食べたかったんですが、お店が閉まっていたので、ランチ時にたまたま近所にアジフライの美味しい店があって、アジフライを食べましたが、こんなに美味しいんだと思いました。アジフライの回を観てみんなアジフライが食べたくなると思います。今回僕の1位はアジフライです。カキフライもうまそうだったなー」
大谷「今回の撮影は、コロナ対策でつまみ食いができなかったんです。Season1の時は、カットがかかったらちょっといただいたりしていたので、これはうまいなとか、みんなで話したりして。今回は食べられなかったので、強いて言うならローレンツ(庄司智春)が食べていた天ぷらです。その場で揚げて提供するシーンだったので、出来立てがうまそうで!」
品川監督「料理ができてから、“よーい、スタート”までを、僕たち命をかけているんで!」
大谷「熱いから気を付けてねというシーンもあったくらい、出来立てに勝るものはないなとこの現場で思い知らされました」
品川監督「料理ができた瞬間にはカメラが回っていて、“よーい、スタート”くらいで、料理が提供されるくらいの、出来立てのリアクションを撮りたいので、熱々なんです」
大谷「湯気がたっていて」
品川監督「もう1つ思い出した!アヒージョのパスタ。マッシュルームのアヒージョの残りで作ったパスタがあるんです。オリーブオイルとニンニクと鷹の爪と、それをマッシュルームと炒めて、シンプルなんですけど、これはうまかったですねー。これは撮影で自分が作ったりもするので、味見するんですけど、あれは本当に!」
――大谷さんは大将役ということで、ドラマに出てきた料理をご自分で作ってみるということはありましたか?
大谷「作ってみたりもしましたね。強烈に印象に残っているのはタコのアヒージョです。Season1の時は撮影中に味見ができたので、“これはうまい!”と思って、現場でレシピを教えてもらって。撮影現場ではカット割りで簡単にできているように見えて、できるなと思い込んじゃったんです。家で作ってみると火力なのか、なんなのか、全然ダメでしたね(苦笑)。台本に材料も載っていたので、見ながら作ったんですけどダメでした……」
――コロナ禍で最近はなかなか機会がなかったと思いますが、普段居酒屋でこれは絶対注文するという料理・メニューはありますか?
品川監督「昔は絶対からあげですね。今はお肉を控えているので、漬物です。渋いところで言うと、山芋です。山芋のぬか漬けはうまいですね」
大谷「季節係なく、まず絶対ビールからはじまります。飲みながら食べる派なので、小鉢というよりも結構ボリュームのあるものを。炭水化物を注文することもありますし、肉炒めなども。ほぼ肉系のメニューは頼みますね。チキン、豚、牛と結構ガッツリいきます。飲めば飲むほど腹が減っちゃうので、食べながら飲もうという感じです。食事してから飲みに行く場合でも、結局食べちゃいますね」
――今回たくさんのキャストのみなさんが出演されますが、印象に残っているキャストの方のシーンがありましたら教えてください。
大谷「武田鉄矢さん演じるクローヴィンケルの出演シーンでは、料理の味に迷いがあるんじゃないかと見破られるところがありました。これまではどのお客さんもまず料理に驚いて、その美味しさに感動し、また通い詰めてくれるというのが流れなんです。でも武田鉄矢さんが演じるクローヴィンケル役とのシーンは緊張感があって、食の吟遊詩人として大きな影響力をもつ役なので、迷いがあるんじゃないかというセリフをぶつけてくるという意味では、喜んでくれるお客さんばっかりだった中、初めてそこをつかれたという、役として衝撃のシーンでした。それによって成長させてもらうポイントにもなるんですけど」
品川監督「キャストが多いですが、それぞれのキャラクターが濃い。Season1からの常連組は芝居の上でも、設定の上でもリラックスしていて、新しいキャストといい意味で化学反応が起きていると思います。新しいお客さん対常連という構図が面白いです」
――ロバート秋山さんの演じる神様の役割としてはSeason2でも変わらずでしょうか。
品川監督「神様はアクセントというか、Season2では1ほどは出てこないのですが、政治の話が多くなってくるので、箸休めではないですけど、パワフルな箸休めのような感じです」
――Season1でもそうでしたが、ドラマではなかなかない舞台感のあるお芝居お芝居したドラマで珍しい作品でもあると思います。作品の魅力、見どころをお願いします。
品川監督「もちろん料理や衣裳にもこだわっていますし、ユーモアという部分も魅力なんですけども、役者さんには舞台のお芝居だと思ってやってくださいとお伝えしていたんです。舞台のお芝居は、腹式呼吸でのお芝居の感じだと思いますが、異世界チームにはそれでやってくださいと言っていました。デフォルメしたものは、普段ドラマですと抑えられると思うんです。でもこれが異世界居酒屋の異世界なので、舞台だと思ってやってくださいと言っているので、ある意味珍しいドラマだと思います。武田(玲奈)さんと、大谷さんだけは、ドラマのお芝居だと思って自然に演じてくださいと」
大谷「だからカウンター・調理場を挟んだこちら側は、舞台のお芝居を観ているかのような感じになっています。椅子がないだけで観劇しているような感覚に。それはキャストの中で唯一お客さん目線になれる見方ができるのが、僕が演じるのぶやしのぶだったりで、観ていて魅力があり楽しいです。これが画面を通して伝わればと思うと自信をもってこの作品の面白さだと感じるところがあります。このお芝居に、あの料理が出たら強いです。1つひとつ粗がないというか、ウソのない面白いドラマだなと思います」
――最後にメッセージをお願いいたします。
品川監督「本当にコロナ禍の2年半、みなさん窮屈な思いをなさったと思うので、『異世界居酒屋「のぶ」』を観て、最近親に連絡をとってないなとか、友達に会っていないなという人と美味しい料理を居酒屋で食べに行きたいと思っていただけたら嬉しいなと思います」
PROFILE
品川ヒロシ SHINAGAWA HIROSHI
1972年4月26日生まれ
東京都出身
大谷亮平
OTANI RYOHEI
1980年10月1日生まれ
大阪府出身
STORY
京都の街に出した、いたって普通の居酒屋の「のぶ」が、ある時、何故かお店の入り口が異世界の街・古都アイテーリアに繋がってしまう。アイテーリアの人に冷えたビール”トリアエズナマ”が大人気となり、たくさんの常連さんに愛されるお店になったのだが、突然、アイテーリアの市参事会議⻑・バッケスホーフからトリアエズナマが違法であるとの嫌疑をかけられピンチに陥るも、常連たちの助けで窮地を脱し「のぶ」は営業を無事に続けていた。
ある日、酒と甘味を愛する“魔女のような風貌の謎の女性”イングリドが居酒屋「のぶ」に現れる。魔女が「のぶ」をねぐらにしていると噂を耳にした大司教ロドリーゴが魔女と魔女に関係する者を連行しようと動きだし「のぶ」に思わぬ危機が襲うことに...。
『WOWOWオリジナルドラマ 異世界居酒屋「のぶ」Season2〜魔女と大司教編〜』
5月27日(金)午後11:00放送・配信開始(全10話)
【放送】毎週金曜 午後11:00[第一話無料放送]【WOWOWプライム】【WOWOW 4K】
【配信】各月の初回放送終了後、同月放送分を一挙配信[無料トライアル実施中]【WOWOWオンデマンド】
スタッフ・キャスト
原作:蝉川夏哉『異世界居酒屋「のぶ」』(宝島社刊)
監督&脚本:品川ヒロシ(『ドロップ』『サンブンノイチ』)
音楽:Y H A N A E L D O N
プロデューサー:山田雅樹 大沼知朗 古賀俊輔 城内政芳
製作・著作:WOWOW 制作協力:吉本興業 制作プロダクション:ザフール
出演:大谷亮平 武田玲奈 ほか
【WOWOWオンデマンド】
WOWOWがお届けするオンデマンドサービス「WOWOWオンデマンド」。BS視聴環境が整っていなくてもネット環境があればWOWOWにご加入いただけるようになり、放送と配信の垣根が消え、テレビでもスマホでもWOWOWのサービスが気軽にご利用いただけます。3チャンネルの放送同時配信、スポーツ・音楽・ステージ中継などのライブ配信、オリジナルドラマや海外ドラマなどのアーカイブ配信といった3つのカテゴリーでコンテンツをお届けします。
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