新進女優と次世代監督がタッグを組み、「不器用に、でも一生懸命“いま”を生きるヒロインたち」をそれぞれの視点で映画化するプロジェクト“(not) HEROINE movies”=ノット・ヒロイン・ムービーズの第一弾『わたし達はおとな』(6月10日公開)。演出家・脚本家の加藤拓也のオリジナル脚本による監督デビュー作で主人公・優実(木竜麻生)の恋人、直哉を演じている藤原季節に、撮影裏話や理想のヒロイン像について教えてもらった。6月6日発売の本誌SCREEN+Plus vol.79では好きな恋愛映画についても語ってくれた。
撮影/加藤 岳 スタイリスト/八木啓紀 ヘアメイク/須賀元子 文/タナカシノブ

――本作はノット・ヒロイン・ムービーズということで、藤原さんの理想のヒロイン像を伺いたいです!

「ヒロインが綺麗になっていく映画が好きです。最初に登場した時は“綺麗”という印象がなくても、ラストあたりにはすごく美しくなっている、目が離せなくなって魅了されている、そういうヒロインが理想です。この理想像は子供の頃からずっと変わっていません。今回の映画でも、木竜さんが最初と最後では表情が全然違います。そういう変化を見るとワクワクします」

画像1: 映画『わたし達はおとな』藤原季節インタビュー「ヒロインが綺麗になっていく映画が好き」

――木竜さんとの共演はいかがでしたか?

「木竜さんは撮影中ずっと悩んでいました。“ちゃんとできているかな”“これでいいのかな”といつも自分のことを疑っていて。ガラスのハートの持ち主で、役者としては素晴らしい素養だなと感じました。真剣に悩むことって意外と誰にでもできることではないので」

――芝居をする中で感じた木竜さんの印象を教えてください。

「ガラスのハートは演技にも投影されていました。優実の繊細な部分や、母親として生きていくと決意した人間としての強度は、木竜さん自身が持っている強度に由来していると感じました。繊細でありながら強いというのは彼女にしか持ち得ない魅力だと思っています」

画像2: 映画『わたし達はおとな』藤原季節インタビュー「ヒロインが綺麗になっていく映画が好き」

――加藤監督の作品ではエモーショナルな部分で戦うことを求められ、文字通り“ボロボロ”になってきたとのこと。今回はそのボロボロ具合がいつもとは比にならなかったそうですが…。

「恋愛がテーマであることが大きな理由の一つだったと思います。恋愛は喜怒哀楽をものすごく注ぎ込むので、行くとこまで行ったなという感じがしています。実は、監督と初めてやった演劇も恋愛の話でした。6年ぶりくらいにガッツリ恋愛をテーマにやりましたが、今回もモレなくボロボロになりました。でも、これこそが加藤監督作品の醍醐味なので(笑)」

画像3: 映画『わたし達はおとな』藤原季節インタビュー「ヒロインが綺麗になっていく映画が好き」

――脚本を読んだ時に今回も“ボロボロになりそうだな”と想像しましたか?

「監督の脚本は、シンプルに“面白い”と言いたくなります。それは映画になっても同じでした。僕は、脚本を読んで何かを学び取るとか、深い意味は捉えないようにしています。というよりも、監督の脚本を読むと“面白いから、やっちゃおう!” という気持ちになるような体にさせられちゃった気がします(笑)。これは最初からずっと変わらない感覚です。基本、監督の物語に乗っかるなら、あとは身を任せよう、染められてしまおうという気持ちでいます。監督が描きたいものを僕らは表現する立場なので、主観で考える、感じる、読み取ることはなるべくしないようにしています。これまでもそのやり方で毎回監督に新しい景色を見させてもらっているので、今回は加藤さんと映画という初めてのフィールドでしたが、スタンスはいつもと同じでと心がけていました」

画像4: 映画『わたし達はおとな』藤原季節インタビュー「ヒロインが綺麗になっていく映画が好き」

――演劇と映画。監督とのやりとりの中で違いを感じた部分はありましたか?

「僕とのやりとりに関しては、基本は一緒でしたが、監督としては技術的な点での違いはあったようです。例えば、映画はOKとNGの判断をその場で下さなければならない。演劇は稽古で積み上げ、作り上げてから本番に臨むので、取捨選択のタイミングが全然違います。その場で決断しなければいけないことがたくさんあった、そういう意味で、本人はめちゃくちゃ疲れているように見えました。監督の撮りたいものは監督の中にしかないですし、監督と役者とは役割が違うから、悩んでいるように感じても、僕にはどうすることもできません。ただ、監督が僕(の芝居)を面白がっているのを感じる場面がしばしばあったので、いつも通りかなとも思いました。監督は自分が書いたものが逸脱していく瞬間を楽しむ節があるんです(笑)」

画像5: 映画『わたし達はおとな』藤原季節インタビュー「ヒロインが綺麗になっていく映画が好き」

本誌SCREEN+Plus vol.79では、本Web記事とは別カットで、藤原さんの恋愛映画に求める要素や、藤原セレクトの恋愛映画についても掲載しています。

藤原さんの見どころコメントはこちら▼

画像: 藤原季節さん:映画『わたし達はおとな』コメント youtu.be

藤原季節さん:映画『わたし達はおとな』コメント

youtu.be

PROFILE

藤原季節
FUJIWARA KISETSU
1993年1月18日生まれ、北海道出身。
第42回 ヨコハマ映画祭 最優秀新人賞受賞
第13回TAMA映画賞 最優秀新進男優賞

〈近年の主な出演作〉
ドラマ「監察医 朝顔」(2019・20-21年)
ドラマ「西荻窪 三ツ星洋酒堂」(2021年)
大河ドラマ「青天を衝け」(2021年)
ドラマ「それでも愛を誓いますか?」(2021年)
ドラマ「海の見える理髪店」(2022年)
Huluオリジナル「あなたに聴かせたい歌があるんだ」(2022年)
映画『くれなずめ』(2021年)
映画『明日の食卓』(2021年)
映画『のさりの島』(2021年)
映画『空白』(2021年)
映画『DIVOC-12』「よろこびのうた Ode to Joy」(2021年)
映画『MIRRORLIAR FILMS Season3』「Good News,」(2022年)
舞台「サンソン -ルイ16世の首を刎ねた男-」(2021年)
舞台「ぽに」(2021年)

画像6: 映画『わたし達はおとな』藤原季節インタビュー「ヒロインが綺麗になっていく映画が好き」

映画『わたし達はおとな』

画像: 映画『わたし達はおとな』

メ〜テレと、制作会社ダブのタッグでおくる等身大の女性のリアルをつむぐ映画シリーズ(not) HEROINE movies。もがいて生きている“ヒロイン”になりきれない“ヒロイン”たちの物語を、次世代を担う映画監督と俳優たちが描く。(not) HEROINE moviesの第一弾となる本作の監督・脚本を「劇団た組」の主宰であり、人気ドラマの脚本を手がけた加藤拓也が担う。主人公・優実を演じる主演の木⻯麻生をはじめ、藤原季節、菅野莉央、清水くるみ、森田想、桜田通、山崎紘菜らが出演。

STORY

大学でデザインの勉強をしている優実(木⻯麻生)には、演劇サークルに所属する直哉(藤原季節)という恋人がいるが、ある日、自分が妊娠していることに気付く。悩みながらも優実は直哉に妊娠とある事実を告白する。直哉は将来自分の劇団を持ちたいと願っていた。現実を受け入れようとすればするほどふたりの想いや考えはがすれ違っていく……。

画像7: 映画『わたし達はおとな』藤原季節インタビュー「ヒロインが綺麗になっていく映画が好き」
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画像9: 映画『わたし達はおとな』藤原季節インタビュー「ヒロインが綺麗になっていく映画が好き」

映画『わたし達はおとな』

2022年6月10日(金)より、新宿武蔵野館ほか全国公開

木⻯麻生藤原季節
菅野莉央 清水くるみ
森田想 / 桜田通 山崎紘菜
片岡礼子 石田ひかり
佐戸井けん太
鈴木勝大 山脇辰哉
上村侑 中山求一郎 諫早幸作 伊藤風喜 鳥谷宏之 平原テツ

監督・脚本:加藤拓也
音楽:谷川正憲
製作:狩野隆也 松岡雄浩 宇田川寧
エグゼクティブプロデューサー:服部保彦
プロデューサー:松岡達矢 柴原祐一
撮影:中島唱太 照明:土山正人(JSL)録音:小野川浩幸 紫藤祐弥
美術:宮守由衣 装飾:桑田真志 編集:田巻源太
衣裳:加藤みゆき ヘアメイク:内城千栄子 助監督:土岐洋介 ラインプロデューサー:谷川詩織
製作幹事:メ〜テレ 配給:ラビットハウス 宣伝:フィノー 製作プロダクション:ダブ
(not)HEROINE movies 第一回作品 メ〜テレ 60 周年

©2022「わたし達はおとな」製作委員会

公式HP:https://notheroinemovies.com/

【(not) HEROINE movies とは】
『勝手にふるえてろ』『寝ても覚めても』『愛がなんだ』『本気のしるし』を手掛けたメ〜テレと、制作会社ダブがタッグを組み、“へたくそだけ ど私らしく生きる”、等身大の女性のリアルをつむぐ映画シリーズであり、次世代を担う映画監督と俳優たちを組み合わせ、それぞれの感覚と才能 を思う存分発揮できる場を生み出し、輩出するプロジェクトです。
何ドンもされない。
胸キュンもしない。
恋とか愛とか生きるとか自意識とか、考えすぎてこんがらがって。 それでももがいて生きている“ヒロイン”になりきれない“ヒロイン”たちの物語。

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