アイナ・ジ・エンド インタビュー／映画『BiSH presents PCR is PAiPAi CHiNCHiN ROCK'N'ROLL』「“1歩踏み出してみるか”と誰かのきっかけになったらいいなと」

–––心に悩みを抱えるダンサーを演じられましたが、どのように演じていこうと思われましたか？

アイナ「2020年の撮影当時の自分が演じたのですが、あの女の子は当時の自分よりももう少し年上で、ちょっと行き詰まっている人だと思ったんです。だからあの時の自分の年齢よりもちょっと上の女の子の気持ちではいました。役作りかどうかわかりませんが、精神的に年齢が上なのかなと思って演じました」

–––本作『リノベーション』は、普段BiSHのミュージックビデオも撮っている田辺秀伸監督がメガホンをとりましたが、撮影では演出面で監督とディスカッションされたり、監督からリクエストなどありましたか？

アイナ「それが、全然なかったんです。MV監督なので、お芝居の面で演出はありませんでした。ただ、それはたぶん信頼してくれているからであって、信頼関係があるからこそ、何も言わなかったのかなと思っています。私はそのおかげで、共演の坂口（涼太郎）さんとのお芝居もできた気がします。私はほぼお芝居の経験がなく、一度あるもののリモートでのお芝居だったので、戸惑いはあったのですが、坂口さんと田辺監督のおかげで、最後まで撮り切ることができました」

–––不動産屋を演じた坂口涼太郎さんと共演されましたが、撮影現場の雰囲気はいかがでしたか？

アイナ「短い撮影期間ではあったのですが、私が坂口さんに“セリフってどうやって覚えるんですか？”というような、初歩中の初歩の質問をいろいろお聞きしたりしていました。例えば、私、お芝居だとしても、車で男の人の隣に座ることがないので、シンプルにドキドキしていたんですけど、芝居ってこういうことかと、これに慣れていって役の気持ちで向き合って、緊張しなくなるところまでいかないといけないんだというようなことまで、お芝居についてのことを嫌がらずに答えてくださり、いろんなことを教えてくださいました。短い期間ながらもすごく濃厚でした」

–––撮影中の印象に残っている出来事やハプニングはありましたか？

アイナ「タイトなスケジュールで撮影したこともあって、眠いというレベルを通り越して気絶寸前でした。私だけではなく、スタッフ・キャストみんな。ハプニングというか過酷でした」

–––完成作をご覧になってみていかがでしたか？どんな感想を持ちましたか？

アイナ「6人の映画の中でも一番謎まみれで、でもその謎まみれな映画がトップバッターにきたからこそ“今から何の世界がはじまるんだろう”という幕開けにはなっていると思うので、6作品全体をみた時にいいスパイスな気はします。だからぜひトイレに行かずに観てほしいですね」

–––今回演じてみて、お芝居への興味関心は湧いてきたり、強くなりましたか？

アイナ「そうですね。大好きな監督の作品でしたら挑戦してみたいなと思います。演技の勉強をしてきたわけでもないので、起用していただけるとしたらありがたいお話なんですけど、自信はないかもしれません。以前先輩の女優さんに俳優業について相談したことがあるんですけど、アドバイスの内容が深くて、“お芝居やりたいです！”と言ってやれるような感じではないかなと感じました。覚悟をもってキャリアを積んでいかないと軽々とは言えませんが、気持ち的にはとってもやりたいです」

–––劇中では、不動産屋に連れられ物件を内見しますが、アイナ・ジ・エンドさんは内見されたことはありますか？内見の際に重要視するポイントがあれば教えてください。

アイナ「めっちゃします。内見の知識や押さえたほうが良い点をわかっていないので、絶対に内見には友達を連れていきます。メンバーのハシヤスメ（・アツコ）と一緒に行ったこともありますし、何カ所もついてきてくれるんです。都度都度、ここは車が走っているから排気ガスが飛んでくるよと教えてくれたりします。私、そういうのが本当にわからないので、引っ越し以外の生活的な面でも欠落しているところがあるので、友達やメンバーに相談します。ちなみにユニットバスは嫌ですね。これまでユニットバスの物件に住んだこともあるんですけど、カビるので、できればお風呂とトイレは別のほうがいいです」

–––タイトルの『リノベーション』は日本では建物の改修を差すことが多いですが、英語では心を入れ替える、改心するという意味があります。心を入れ替えたいなと思うことはありますか？

アイナ「ありますね。人との接し方です。自分が大切だと思う人のことは、しっかり大切にしたいなと年々思います。年々素直になれているようで、どんどん素直になれていない気がしますし、生きていることが照れ隠しの連続のような気がして、人との付き合いが億劫になったりしていて、まるごと自分をさらけ出すのは子どもの頃のほうが楽だったなと思います。だからそういう意味でも、さらけ出す勇気や向き合う勇気を付けていきたいので、そこは改心していきたいところです」

–––では、最後に見どころを含めたメッセージをお願いいたします。

アイナ「本作はダンサーのルーツを探る話なんですけど、ダンスに限らず、人って同じ仕事をしていると行き詰まることがあると思うんです。そういう時に部屋で1人、タバコを吸っていても何も変わらないので、この作品では引っ越しだったわけですけど、新しい1歩を踏み出すことが何かのきっかけになる気がするので、この映画を観て“アイナの映画で引っ越ししていたし、1歩踏み出してみるか”と誰かのきっかけになったらいいなと思います」

PROFILE

アイナ・ジ・エンド
“楽器を持たないパンクバンド” BiSHのメンバー。

映画『BiSH presents PCR is PAiPAiCHiNCHiN ROCK'N'ROLL』6作品ラインナップ

#1『リノベーション』 〈主演〉アイナ・ジ・エンド×田辺秀伸監督
心に悩みを抱えるダンサーの女性が、不動産屋に連れられた内見先で不思議な出来事を経験していく。踊りと映像で魅せる、一人の女性が自身のルーツを探る物語。

#2『レコンキスタ』 〈主演〉ハシヤスメ・アツコ×大喜多正毅監督
鬱屈した日々を送る OL が、ある日社内のエレベーターで奇妙な時空のループにはまる。
エレベーターの停止先に見つけたものとは。過去の自分をぶち抜く爽快ムービー。

#3『オルガン』 〈主演〉アユニ・D×エリザベス宮地監督
「山に行ってくる」と言って、遠くへ去っていった兄の竜一。山小屋に向かったあーこは、竜一が撮った一枚の写真と自分宛の手紙を見つける―。

#4『VOMiT』 〈主演〉リンリン×山田健人監督
どこでもない夜道を千鳥足で歩く一人の女性。彼女の不思議な旅路の終着地は―。人間の感情を圧倒的な映像美と音楽で魅せる異色のトリップムービー。

#5『PEACH CHAOS PEACH』 〈主演〉モモコグミカンパニー×渡辺淳之介監督
普通の高校生桃子がある朝目覚めると。。。これ以上はネタバレするとなんも面白くなくなってしまうような青春ドタバタコメディ。

#6『どこから来て、どこへ帰るの』 〈主演〉セントチヒロ・チッチ×行定勲監督
チヨはアキオのことを2番目に好きだといつも言った―。許されない関係にある男女の濃厚な文学的恋愛物語。

映画
『BiSH presents PCR is PAiPAiCHiNCHiN ROCK'N'ROLL』

企画・制作：WACK
配給：松竹 映画営業部 ODS 事業室 / イノベーション推進部新領域コンテンツ室
映倫：PG-12

主題歌：I have no idea.(BiSH/avex trax)

公式 HP：bish-movie.com
©WACK INC.

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