9月3日(土)より神奈川・KAAT 神奈川芸術劇場<ホール>ほかにて上演の、 KAAT神奈川芸術劇場プロデュース ミュージカル「夜の女たち」の製作発表会が行なわれた。

ミュージカル「夜の女たち」は、溝口健二監督映画「夜の女たち」を舞台化。演出の長塚圭史が創る初めてのオリジナルミュージカルだ。忘れてはならない時代、占領下を生き抜いた日本人たちのドラマが描かれる。

7月15日(金)、出演の江口のりこ、前田敦子、伊原六花、前田旺志郎、大東駿介、北村有起哉、演出の長塚圭史が製作発表会に登壇した。

画像: (上段左から)長塚圭史、前田旺志郎、大東駿介、北村有起哉 (下段左から)伊原六花、江口のりこ、前田敦子 撮影:田中亜紀

(上段左から)長塚圭史、前田旺志郎、大東駿介、北村有起哉
(下段左から)伊原六花、江口のりこ、前田敦子
撮影:田中亜紀

登壇者コメント

長塚圭史(演出)
1948年に公開された溝口健二監督の映画「夜の女たち」を観た時の衝撃が忘れられません。アメリカの占領下にあった時代に、実際に大阪釜ヶ崎で撮影された、劇映画でありながらもほとんどドキュメンタリーのような印象を受けました。第二次世界大戦後、日本がアメリカの占領下におかれた時代が確かにあって、それが私たちの現在に脈々と繋がっている。このことが忘れ去られてしまっているような現在に対して違和感を感じたのが、この作品を舞台化するきっかけでした。 日本人の価値観が真っ逆さまにひっくり返るような敗戦の時代を描く時に、どうしてもただ暗い側面にばかり引っ張られて行きがちです。けれどミュージカルなら、言葉にならない心の内を歌いあげることも出来れば、その時代の空気そのものを歌にすることも 出来る。そして、何よりも、困難な中でも、力強く生きた庶民の姿を鮮やかに描き出せるのではないか、と思ったのです。今年のメインシーズン<忘>の最初の作品として、時代の変換期に、庶民がエネルギッシュに生き抜いた姿を、荻野清子さんの素晴らしい音楽と共に描きたいと思います。

江口のりこ
ミュージカルは初めてですので、毎日稽古場で楽しいと思ったり楽しくないと思ったり、あっち行ったりこっち行ったり頑張っているのですが、一緒に演じる俳優の皆さんがミュージカル畑の方ではなく、私と同じような俳優の皆さんなので心強く、大丈夫だと思います。様々な取材で、この作品が今の時代に問いかける意味や社会に対してのメッセージを聞かれましたが、まずは台本に書かれていることをやるのに必死というかそれが今の正直なところです。この映画を見たときにすごくエネルギーのある作品で静かな作品だ、と思ってどこに音楽が入るんや、どこで歌うんやと思って謎でしたけど、実際稽古をしてみると、台本にある部分のシーンやセリフを歌うことによって底上げされるんです。それを感じたときにストレートプレイではなく、ミュージカルにする意味が腑に落ちまし た。そこが“セリフを歌う”という楽しさかなと思います。

前田敦子
ミュージカルは初めてなので、お稽古が始まってみたらあまりにも本気でちょっとびっくりしました。 歌の練習から入って、セッションをする形で台本を読み合わせながら歌に入っていくという流れを作っていただいています。歌には パワーがあると実感しています。まずは音程にそって歌えるようにならないといけないのかな、と思っているところで、そこからどうやっ てセリフとつなげて落とし込んでいくんだろう...とまだわからないことだらけなんですけど、でも皆さんがいるから自然とその役になって いく...その作業はとても楽しいです。私個人としては、AKB48でポップスを歌っていましたが、実は楽譜が読めないので、読み方を教えていただくところから始めています。いまは新しいことをやっているな!という気分です。(江口)のりこさんが大好きなので、共演できてとっても嬉しいです。のりこさんが歌っている姿がとても愛おしいので、早くみなさんに観ていただきたいです。

伊原六花
長塚さんもお話しされていましたが、この作品を初めて見たときは衝撃がすごく、この作品をミュージカルでどう表現されるのかなと思っていました。楽曲を聞いたときに台詞のイントネーションがそのまま楽曲になったものばかりで、心境だったりを音楽にのせて届けることが出来る作品になるんじゃないかとすごくワクワクしています。今本読みをしていますが、フラットで自由なキャストの皆さんばかりなのでこれからの稽古がすごく楽しみだなと思っています。事実としてこのような時代があるなか で、自分が思っている感覚とその当時生きていた方の感覚のとらえ方が違うなと思います。久美子は夏子さんにすごく憧れがあるし、明るい力のある女の子だなと思うので、この時代だからこそ、新しく流れてくるものに憧れる気持ちとかをもっと皆さんと話し合って作り上げていけたらと思います。

前田旺志郎
僕はミュージカルに出演するのが初めてなんですが、歌稽古でみんなで歌っているとものすごく楽しいです。たくさんの人の声の力というか、歌の力だと思いますが、歌っているとワクワクしてきて、気持ちが上がります。 ほぼ毎日、お風呂場で歌うくらい歌うことは好きなのですが、ミュージカルの歌唱と普段のポピュラーな歌とはやはり全然違うので、難しいなと感じています。役の生きてきたバックグラウンドや感情が、歌にまっすぐに書かれているので、歌うことより も大切なものがたくさんある気がしていて、それを表現するのが難しくもありますが、キャストの方々と挑戦できるのは幸せで す。一人で歌うのは不安で、まず人前で歌うことに慣れていないので、稽古場でも声が出ないほどめちゃくちゃ緊張してい ますが、みなさんにお届けするときには、自信をもって、胸を張って、歌えるようにできればと思います。

大東駿介
初日までまだ 1 か月半ありますが、すでに沢山稽古をしていて、譜面を見ながらの歌稽古をしていたかと思うと、圭史さんに「ち ょっと立ってみようか」と言われ、すぐ立ち稽古が始まりました。歌稽古の時から楽曲が素晴らしいなと思っていたのですが、立ち稽古をしてみると、キャストの方々が歌を役に重ねることで、言葉と歌のはざまのような、血が流れている気がしてきて、ドキュメン タリーのような原作映画の情景が歌に乗って見えてくるので、ミュージカルってすごいなとめっちゃ思っています。この映画は本当に静かな映画で、これがミュージカルになるってどうなるんだろうと思っていたのですが、難しいようなセリフでも歌にすることで、音楽として届けられるようなメッセージがあったりして、歌うことのハードルは高いですが、すごく希望を持ってやっています。素晴らしい楽曲が個々のキャストに作っていただいたので、9月を楽しみにしていてください。

北村有起哉
「夜の女たち」というタイトルから想像していましたが、台本を読んでみて、これを舞台でやるの?大丈夫なのか?できるの?という思いがすごくありました。でも、そういう時に限って火が付くんですよね。これはどうなるか本当にわからない、という作品の匂いにつられてしまう本能的なものが役者にはあったりする。まさにこの作品はそんじょそこらのエネルギーじゃ太刀打ちできない、戦後間もないころのカオスを我々の肉体で歌い上げて表現しなければならない、想像力をふんだんにふくらませて......。もともと歌は好きなのですが、歌稽古してると、学校の音楽の教室の授業を思い出したりします。今は音程やテンポをちょいちょい間違える日々ですが、自分が楽しくないと観ているお客様に伝わってしまうと思うので、まずは自分が楽しめればと思っております。

主な登場人物、配役

大和田房子:江口のりこ
君島夏子(房子の妹):前田敦子

大和田久美子(房子の義妹):伊原六花
川北清(学生):前田旺志郎
富田きく(古着屋の女主人) 他:北村岳子
大和田健作(房子の夫):福田転球

栗山謙三(栗山商会社長):大東駿介
院長:北村有起哉
刑事 他:石橋徹郎
警官 他:中山義紘
女たち:入手杏奈
女たち:山根海音
女たち:**篠崎未伶雅
女たち:山口ルツコ
女たち:小熊綸
女たち:加瀬友音
※配役は追加及び変更の可能性がございます

【ミュージシャン】
バンドマスター・ベース:岸徹至
リード:近藤淳
トランペット:奥村晶
ギター :阿部寛
ドラム&パーカッション:BUN Imai

あらすじ

戦後すぐの大阪、釜ヶ崎。「日没後、この付近で停立または徘徊する女性は闇の女と認め、検挙する場合があります」と札が立っている。大和田房子は焼け出された後、病気の子を抱えて困窮していた。夫は戦地からまだ帰っておらず、両親や妹・夏子は終戦を迎えたものの消息不明になっている。姑や義理の妹・久美子と同居しながら、着物を売り払ってなんとか暮らしている。そこに届いたある知らせに絶望する房子。その後、ダンサーとなった夏子と偶然再会する。房子、夏子、久美子、3人の女たちの壮絶な人生と、凄まじい生命力を描いた人間ドラマ。

KAAT 神奈川芸術劇場プロデュース
ミュージカル『夜の女たち』

原作:久板栄二郎
映画脚本:依田義賢
上演台本・演出:長塚圭史
音楽:荻野清子
振付:康本雅子

出演:
江口のりこ 前田敦子/伊原六花 前田旺志郎 北村岳子 福田転球/大東駿介 北村有起哉 石橋徹郎 中山義紘 入手杏奈 山根海音 篠崎未伶雅 山口ルツコ 小熊綸 加瀬友音

スタッフ
美術:二村周作 照明:大石真一郎 音響:佐藤日出夫 衣装:伊藤佐智子 ヘアメイク:稲垣亮弐 アクション:前田悟 歌唱指導:満田恵子 伊藤和美 稽古ピアノ:森本夏生 大阪弁協力:山内圭哉 方言指導:杉宮匡紀 演出助手:西祐子 舞台監督:大垣敏朗

<神奈川公演>
会場:KAAT 神奈川芸術劇場〈ホール〉
日程:2022年9月3日(土)〜19日(月・祝)
チケット料金(全席指定席・税込):
S 席:10,000円
A 席:9,000円/平日夜割:6,000円(9/8,9/15)
B 席:7,000円/平日夜割:4,000円(9/8,9/15)
U24チケット(24 歳以下):5,000円、高校生以下割引:1,000円、シルバー割引(満65歳以上):9,500円
※U24、高校生以下、シルバー割引はチケットかながわの電話・窓口・web にて7月23日(土)より取り扱い (前売のみ、枚数限定、要証明書)
※車椅子でご来場の方は、事前にチケットかながわにお問い合わせください。
※未就学児の入場はご遠慮ください。
※営利目的の転売禁止。

神奈川公演チケット発売:
一般発売:7月23日(土)
KAme(かながわメンバーズ)先行発売:7月2日(土)
チケット取り扱い:
チケットかながわ https://www.kaat.jp 0570-015-415(10:00〜18:00)
チケットぴあ
イープラス
ローソンチケット
窓口:KAAT 神奈川芸術劇場 2 階(10:00~18:00) https:pia.jp/t/kaat/ (Pコード:513-092) https:eplus.jp/kaat/ https://l-tike.com/play/kaat/ (Lコード:31947)
【ポータブル字幕機提供サービスの内容】
・メガネ型ポータブル字幕機による字幕表示
・受付での手話通訳と筆談対応
・開演前のミニレクチャー(手話通訳あり)※9 月 9 日公演のみ(要事前予約・詳細は後日案内) ※公演チケットが必要です。(有料)
※座席位置、提供数に限りあり
※チケット購入前に要事前予約
【予約・お問い合わせ】
・予約期間:7月23日(土)〜8月31日(水)
・予約・お問い合わせ先:一般社団法人 日本障害者舞台芸術協働機構(JDPA)
KAAT サポート窓口 kaatsupport@jdp-arts.org(受付時間:10:00〜17:00)
※ ポータブル字幕機は台数に限りがございますので、お申込み1件につき1台のお貸出しとなります。
※ 付添者を含め、字幕機を使用しなくても観劇ができるお客様によるお申込みはご遠慮下さい。
※ なお、ポータブル字幕機をご利用いただける座席の関係で、付添者とお隣の席にお座りいただくことが できない場合があります。あらかじめご了承ください。

全国ツアー
9月24日(土)18:00、25日(日)13:00
主催:公益財団法人北九州市芸術文化振興財団 共催:北九州市
お問合せ:北九州芸術劇場 093-562-2655

穂の国とよはし芸術劇場 PLAT 主ホール
9月30日(金)18:30、10月1日(土)13:00、10月2日(日)13:00
主催:公益財団法人豊橋文化振興財団
お問合せ:プラットチケットセンター 0532-39-3090

山口市民会館 大ホール
10月6日(木) 18:00
主催:公益財団法人山口市文化振興財団
お問合せ:山口市文化振興財団チケットインフォメーション 083-920-6111

まつもと市民芸術館 主ホール
10月10日(月・祝)15:00
主催:一般財団法人松本市芸術文化振興財団
お問合せ:まつもと市民芸術館チケットセンター 0263-33-2200

兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
10月14日(金)18:00、15日(土)13:00、16日(日)13:00
主催:兵庫県、兵庫県立芸術文化センター
お問合せ:芸術文化センターチケットオフィス 0798-68-0255

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