直木賞作家・辻村深月のベストセラー小説を劇場アニメ化した映画『かがみの孤城』(現在公開中)で、浮世離れした雰囲気の少年スバル役で声優に初挑戦した板垣李光人。
落ち着きがありどこか掴みどころのないスバルを演じるにあたりどのようなアプローチをしたのか。初めてのアフレコ現場の思い出や泣けるアニメーションの名手・原恵一監督作品への思いを聞いた。

撮影/稲澤朝博 スタイリスト/伊藤省吾 (shogo ito) ヘアメイク/佐川理佳 文/タナカシノブ 衣裳/ベスト¥31,900 シャツ¥46,200/共にコグノーメン(サカス ピーアール 03-6447-2762) パンツ¥46,200/メゾン キツネ(メゾン キツネ カスタマーセンター 0120-667-588) シューズ¥59,400(参考価格) アワー レガシー(エドストローム オフィス 03-6427-5901)

画像1: 板垣李光人 インタビュー「僕は小柄なので、背が高くて落ち着きがある役柄は難しかったけど、それが伝わらないように心がけました」

——声優初挑戦の感想を教えてください。
「とにかく難しかったです。普段、主戦場としているのは動きあっての声の芝居。マイクの前で多少の動きはできても、基本は声だけで芝居しなきゃいけないし、アフレコも1人なので心細かったです。1人で掛け合いをしたことなんてないから、(掛け合いの)相手のセリフが入っていない状態で顔を想像してやるのは、同じ芝居でもアプローチの仕方が全然違っていて、本当に難しかったです。頼りになるのは想像力。かなり膨らませて挑みました」
——原監督の演出やアドバイスも、想像力の拠り所になったのではないでしょうか。
「相手の声が入っていないパートは高山みなみさんが演じるマサムネとの会話が多かったので、とにかく高山さんのあの声を想像して『こんな感じかな』みたいにいろいろと調整していきました。スバルの演じ方については、原監督が僕の出演作を観てくださっていて『いつも通りでいいよ』と言ってくださったので、いつもの芝居のやり方を大きく変えることは特になく、『アニメの声優だから』みたいに気負うこともなく臨めました」

画像2: 板垣李光人 インタビュー「僕は小柄なので、背が高くて落ち着きがある役柄は難しかったけど、それが伝わらないように心がけました」

——スバルの声をどのように探していったのでしょうか?
「ビジュアルだと、一番背が高くて落ち着きがある印象を受けます。僕は小柄なので、難しいことだったけど、声のニュアンスでそれが伝わらないように心がけました。スバルとアキは中学3年生で、他の4人よりも1つ年上です。大人になると1歳なんて歳の差に入らないけれど、中学の頃の1学年の差ってすごく大きいですよね。加えてスバルは達観しているところもありますし、達観しようとしているようにも感じました。ちょっと自分を大人に見せるというのかな。そういう部分は声の作り方で参考になりました。自分の殻の中に閉じこもりがちなところは、僕と似ている部分で割と掴みやすいキャラクターだったと思います」
——映画のスバルは原作よりもかなり削ぎ落とされている印象を受けました。
「削ぎ落とされることにより映画ではある種、余白が増している気がします。原作のスバルよりも削ぎ落とされることによって生まれる映画ならではの想像力の膨らませ方があるので、原作との違いを魅力として捉えたいし、そこを魅力に変えられればいいなと思っていました」
——ストーリーはどのように感じましたか?
「原作の辻村深月先生は僕と同じ山梨県出身で、先生が大きな賞を受賞したときに大々的に地元が盛り上がっていた記憶があって、身近に感じているところもあります(笑)。今回の作品で改めて感じたのは、ファンタジーでありミステリーであり青春でもある中で、人間関係がすごく新鮮に描かれていて、その塩梅はさすがだなと思いました。どれも邪魔し合ってないというのかな。例えば、ファンタジーとミステリーが強くなると、心情の描かれ方がかすみがちになってしまいます。逆に心情に焦点を置きすぎると、ファンタジーやミステリーが中途半端になりがちだけど、そこのさじ加減が素晴らしいと思いました」

映画『かがみの孤城』

直木賞作家・辻村深月の本屋大賞受賞作を劇場アニメ化。学校に居場所を無くし、自分の部屋に閉じこもっていた中学生・こころがが、ある日突然鏡の中の不思議なお城に迷い込み、そこで出会った6人の中学生たちと心を通わせていく。主人公こころの声をオーディションで選ばれた當真あみが務めるほか、北村匠海、板垣李光人、高山みなみ、梶裕貴、麻生久美子、芦田愛菜、宮﨑あおいらが声優陣に名を連ねる。

〈STORY〉
中学生のこころは学校に居場所がなく、部屋に閉じこもる日々を送っていた。ある日突然、部屋の鏡が光を放ち、吸い込まれるように中へ入ると城のような建物を見つける。そこにはいたのは見知らぬ6人の中学生。さらに「オオカミさま」と呼ばれるオオカミの仮面をかぶった少女が現れ、城のどこかに隠された鍵を見つけたらどんな願いでもかなえると告げる。7人は戸惑いながらも協力して鍵を探すうちに、互いの抱える事情が明らかになり、徐々に心を通わせていく。

画像3: 板垣李光人 インタビュー「僕は小柄なので、背が高くて落ち着きがある役柄は難しかったけど、それが伝わらないように心がけました」
画像4: 板垣李光人 インタビュー「僕は小柄なので、背が高くて落ち着きがある役柄は難しかったけど、それが伝わらないように心がけました」

〈CAST/STAFF〉
出 演:當真あみ 北村匠海
    吉柳咲良 板垣李光人 横溝菜帆 ・ 高山みなみ 梶裕貴
    矢島晶子 ・ 美山加恋 池端杏慈 吉村文香 ・ 藤森 慎吾 滝沢カレン / 麻生久美子
    芦田愛菜 / 宮﨑あおい
原 作:辻村深⽉『かがみの孤城』(ポプラ社刊)
監 督:原恵一
主題歌:優里「メリーゴーランド」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
配 給:松⽵
アニメーション制作:A-1 Pictures
公開中
©2022「かがみの孤城」製作委員会

PROFILE

板垣李光人
2002年1月28日生まれ。

〈近年の主な出演作〉
ドラマ「カラフラブル〜ジェンダーレス男子に愛されています。〜」(2021年)
大河ドラマ「青天を衝け」(2021年)
ドラマ『シジュウカラ』(2022年)
ドラマ「インビジブル」(2022年)
ドラマ「silent」(2022年)

〈待機作〉
映画『なのに、千輝くんが甘すぎる。』(2023年)
大河ドラマ「どうする家康」(2023年)

現在発売中のSCREEN+Plus vol.82では心待ちにしていたという事務所の先輩・北村匠海との共演の感想や悩める登場人物たちの姿で蘇った自身の中学時代について、さらにアニメーションが大好きだという板垣の今のイチオシなどを教えてもらっている。

SCREEN + Plus vol.82 発売中

画像: screenstore.jp
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