(撮影・取材・文/柳真樹子)

――初めての映画出演となる『君の顔では泣けない』。髙橋海人さんが演じる15年間体が入れ替わったままのヒロイン・まなみの15歳を演じます。本作のご出演はどのように決まったのでしょう。
オーディションを受けました。男女が入れ替わる作品だったので、自分が女性になることを想像したんですが、まったく想像がつかなくて焦っていました。オーディションの前に、動画選考があったので、自分で撮影しなければならなくて、演じる前にお姉ちゃんの仕草などを観察しました。
――オーディションを経て本作に決定。決まった時の心境を教えてください。
初めての演技のお仕事でしたので、本当に自分ができるのか?と思いましたが、嬉しかったです。僕が所属するEBiDAN NEXT NAGOYAでのイベント終わりに、マネージャーからお手紙をもらってというサプライズ方式でした(笑)。呼ばれた時に怒られる覚悟だったんです(笑)。僕なにかライブでやらかした?ってドキドキしていました。「あの時、マイクを強くぶつけたから、それで壊したのかな……」と完全に怒られるつもりでいたのでまさかのサプライズでした!突然お⼿紙を渡されて、坂下組の映画出演決定って!びっくりしました。ドキドキとワクワクでいっぱいになりました。
――原作はご存知でしたか?
はい! このオーディションを受ける前から、読んでいました。すごく当たり前のことだったのが当たり前ではなくなることに興味を持ちました。その時は男女の価値観のズレとかを面白く感じて読んでいました。
――15歳の頃に入れ替わったところから演じました。細やかに演じ分けはあったのでしょうか?
監督から「男性、女性として演じるのではなく、まなみと陸として演じて」と言われました。中身がまなみならまなみの性格を理解し、女性の仕草というよりまなみの仕草を意識して演じました。
――入れ替わる前の陸ってどんな男の子だと思いましたか?
元気で男子高校生らしい子です。クラスメイトとの接し方のシーンを読んでそう感じました。また、弟とも仲が良く、優しくて面白い男の子だと思います。
――まなみは、本来はどういう少女時代を過ごしたのかな?
絶対、少女漫画とか好きで読んでいるタイプなんだろうなと思いました。女子を楽しんでいる女子という感じでした。部屋もかわいいし、かわいいものが好きな子なんだと思っています。
――まなみを演じていて、面白いと感じたことはありますか?
男の子は、幼い頃だとありのままの感情を前に出せるんですが、女の子には内に秘めた感情もあるし、逆に感情をパッと出すこともあるので、より心情を表すのが難しいなと感じました。女子って常にいろんな事を考えているので。
――まなみを演じたことで、参考にしていたお姉ちゃんは理解できた?
全然、理解できなかったです(笑)。
――大人になったまなみを髙橋さんが演じます。髙橋さんのシーンを観た感想は?
最初に髙橋さんの演技を観て、男性として生きるのが馴染んだ女性だとすぐに分かりました。髙橋さんは、陸と入れ替わってから15年も経っているので、その15年を背負っているようでした。本当にそう生きてきた人物だと感じました。
――もし、武市さんが同じような状況になったら、主人公たちのように受け入れられますか?
自分なら戸惑います。性格が中性的って言われることもあるのですが、実際に自分がそうなったら、すぐには馴染めないと思います。
――本当の家族に会えないのも辛いですよね。自分なら家族に伝えます?
状況によってですが、もう戻れないと分かってしまったら伝えずにいます。少しでも戻れる希望があるなら、信じてもらえるかは別として、真っ先に家族に伝えに行くと思います。
――家族とのシーンは、子どもの頃も大人になってからも切ないです。
予告にも出てきますが、陸がまなみに「俺の顔で情けなく泣かないでくれる?」というセリフが切なくて。陸は、悲しくても我慢していたんです。僕なら人目を気にせず泣いてしまいます。
――今ちょうど演じた役と同じ15歳。もし15年後、30歳になった時を想像してみてください。
今の自分は「子どもっぽいね」って言われるんですが、少しは大人になってて欲しいな(笑)。
――理想の大人像はありますか?
クールで、子どもたちに優しく接するような……。近所で子どもたちと一緒に鬼ごっこしたいです。
――それはまだ子どもでは…(笑)?
あれ(笑)?でも、近所の子どもたちからも人気者でありたいです。
――本作は俳優として初めての一歩です。お芝居のお仕事ですが、大人になった時はどんな俳優さんになっていたいですか?
僕は俳優としては、10人くらいの自分を作れるようになりたいです。顔と名前は同じ人間なのに、まるで別人のようにいろいろな人物を演じることができる俳優さんになりたいです。
