「東宝×ワールドメーカー短編映画コンテスト」大賞作品を映像化した短編映画『顔のない街』(日本での劇場公開現在調整中)が、北米の名門映画祭「ハワイ国際映画祭」とヨーロッパ最大級のSF映画祭「ユートピアル国際SF映画祭」にダブルで正式出品されることが決定した。キャスト、監督、原案者からの喜びのコメントが到着した。
第96回アカデミー賞®にて世界的な注目を集めた『ゴジラ-1.0』『君たちはどう生きるか』を送り出し、日本映画界を牽引し続ける東宝が展開する才能支援プロジェクト「GEMSTONE Creative Label」。本プロジェクトは、フォーマットやメディア、これまでの実績を問わず、すべてのクリエイターが自由に才能を発揮できる場を提供することを目的に、東宝の若手社員により立ち上げられた。
先日開催された「国際短編映画祭ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2025」でGEMSTONE Creative Labelによる新たな短編3作品の制作・完成が一挙に発表され、豪華キャストの登壇で大きな盛り上がりを見せた。
その注目が集まる中、2023年に集英社「少年ジャンプ+」編集部と東宝が共同開催した「東宝×ワールドメーカー短編映画コンテスト」大賞作を原案に、新鋭・村上リ子が監督・脚本を務め、映画『ルックバック』で注目を集め、本作で主演を務める吉田美月喜と、数々の名作に出演してきた香椎由宇が共演する短編映画『顔のない街』が、「第45回ハワイ国際映画祭(Hawai'i International Film Festival)」および「ユートピアル国際SF映画祭(Les Utopiales International Science Fiction Festival)」に正式出品されることが決定した。次世代クリエイターと実力派俳優のタッグが生み出した作品が、世界の舞台で評価される歴史的な瞬間となる。
ハワイ国際映画祭は1981年創設、アジア太平洋の映画にフォーカスする北米の名門映画祭。ハワイ州で唯一のアカデミー賞®公認映画祭でもあり、アジアと北米の才能が交わる“玄関口”として知られている。近年ではHIKARI監督『37 Seconds』(2019)が同映画祭の主要賞「Kau Ka Hōkū Award」を受賞するなど、日本発の新世代クリエイターが世界へ羽ばたく登竜門としても注目を集めている。
ユートピアル国際SF映画祭は、文学/科学/映画/コミック/ゲームを横断する“ヨーロッパ最大級のSFフェスティバル”。2000年にフランス・ナントで創設以来、SFを通じてテクノロジーと想像力を社会に接続する独自性で、欧州を代表するイベントとして確固たる地位を築いている。日本発の短編が同時に二大国際映画祭へ選出されたことは、本作の独創性と国際的評価を示す快挙。なお、『顔のない街』はユートピアル国際SF映画祭ではコンペティション対象作品として「国際短編映画コンペティション」にノミネート、ハワイ国際映画祭では「メタモルフォーシス短編プログラム」に選出されている。
「GEMSTONE Creative Label」としては、2024年にちな監督の『ファーストライン』が第28回ファンタジア国際映画祭でオフィシャルセレクションに選出&今敏コンペティションにノミネート、2025年に関駿太監督の『ソニックビート』が第29回ファンタジア国際映画祭で国際短編映画コンペティションにノミネートされており、今回で3作品目の国際映画祭正式出品なった。
そして、今回『顔のない街』のキービジュアルも解禁に。
映画祭への出品に先立ち、本作のキービジュアルが解禁された。本ビジュアルでは、主人公・ミサ(吉田美月喜)の背中合わせの姿が印象的で、洗練された世界観でありながら、ミサの表情からも作品の奇妙な雰囲気を漂わせる。

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コメント
〈吉田美月喜〉
今作が海外の映画祭にノミネートしていただいたと聞いてとても嬉しく思います。
この作品で描かれているのは「自由に顔を変えられる世界」です。もちろんフィクションですが、そう遠くない未来で起きるのではないかと思ってしまいます。
容姿を変えることで自分自身を見失ってしまうのか…
顔や容姿を変えることが身近になってきた今の時代だからこそ感じる怖さと深いメッセージに考えさせられる作品です。
今回、村上監督と初めてお仕事をさせていただいたのですが、監督の描く世界観が美しくも不気味で、私自身撮影をしながら沢山の学びがありました。村上監督とはしっかり話し合い、監督が頭の中で描いているものを丁寧にイメージしながら撮影させていただきました。是非観ていただきたいです。
〈香椎由宇〉
海外の映画祭へ『顔のない街』がノミネートされたと聞いて今まで味わったことのない高揚感でいっぱいです。
この作品のもつ独特な小気味悪さ、近い未来あり得てしまうのではないかという怖さ、それらを監督の持つ独特なテンポと繊細な色合いで閉じ込めた作品です。
言葉なくとも伝わる作品だと思うのでぜひ、日本人の織りなす繊細な作品、楽しんでいただけたらと思います。
〈監督:村上リ子〉
映画『顔のない街』の監督・脚本を務めた村上リ子です。
この度、本作がヨーロッパ最大級のSFの祭典であるLes Utopiales、アカデミー賞公認映画祭であるアメリカのHawaii International Film Festival に公式選出されたとのこと、大変光栄に思っております。
『顔のない街』に関わっていただいた皆様に、心から感謝申し上げます。
顔を自由に変えられる近未来の、同じ顔があふれる社会。美しくも奇妙な世界が、海を越えた先でどんな夢や悪夢となるのか。世界の方々に観ていただけることが、今から楽しみです!
〈原案:西田充晴(ペンネーム:奇多郎)〉
このたび『顔のない街』が国際映画祭に公式選出されたと聞き、原案者として関われたこと、大変ありがたく思います。本作は、あらゆるものを呑み込んで商品化していく運動が資本主義だとするなら、その終着駅は人間の商品化だろうし、人間の商品(カタログ)化は、新しい型の全体主義に至るだろうと、警鐘を鳴らします。
私自身、村上監督が手掛ける映像の世界に魅せられた一人です。
たくさんの方に、この映画が届きますように!
あらすじ
舞台は近未来の日本。顔を自由に変えられる時代、同じ顔をした人々が街にあふれる社会。“ナチュラルの顔”で生きる大学生・ミサ(吉田美月喜)は、自身の鏡に謎の×マークが描かれていたことをきっかけに、不穏な違和感と不安に飲み込まれていく。やがて彼女はレイ院長(香椎由宇)の経営する有名クリニック「レイ・フェイス・クリニック」の扉を叩き、顔を変えるという選択に向き合うが——。
『顔のない街』(英題:Faceless City)
■監督:村上リ子
■出演:吉田美月喜 香椎由宇
■原案:西田充晴(ペンネーム:奇多郎)「顔のない街」(東宝×ワールドメーカー短編映画コンテスト 大賞受賞作品)
■製作:GEMSTONE Creative Label (東宝)
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