ハリウッドの名匠マーティン・スコセッシ監督が、日本の遠藤周作の小説「沈黙」を完全映画化した「沈黙 サイレンス」が2017年1月21日より日本公開となる。スコセッシとこの原作の出会いは28年も前といい、執念の映画化となったが、並々ならぬ熱意が映画本編からも伝わってくる。本作のキャンペーンでスコセッシが二回目の来日会見を16日に行なった。
「この映画を日本で公開するという夢がかなった」というスコセッシは、映画化に28年を費やしたことについて「原作に出会った時にはまだ、どうやってこれを映画にできるか、そのすべがわからなかった。人生経験を経て、次第にそれが可能になる時期を待っていたんだ」と機が熟したことを語る。「日本のかくれキリシタンの信念や勇気には感心せざるをえなかった。主人公のロドリゴも最初は傲慢な考えをもって日本にやってくるが、かくれキリシタンたちと生活を共にし、一度それを空っぽにする体験を経て、真の信仰に目覚めていく」と続けるスコセッシ。
「登場人物のキチジローが問う、弱い人間の居場所はこの世にはないのか? という言葉も重要。イエスは決して権力者と一緒にいることはなく、どちらかといえばはじかれ者、のけ者といったたぐいの人々と一緒にいた。弱さも取り込んで抱擁すること、そこからもしかすると新たな強いものが生まれるかもしれない」と年月を経てたどり着いた境地を披露した監督。会見の最後に現在もなお続いている(今はもう3グループしかないとか)かくれキリシタンの代表、村上茂則さんがゲストで登壇し、固い握手を交わした。