ルー・ウォーレスの原作はこれまで度々映画化されてきたが、中でも最も有名なのは1959年に製作されたウィリアム・ワイラー監督版だろう。アカデミー賞でも史上最多となる11部門での受賞を果たしている。その原作に「それでも夜は明ける」でアカデミー脚色賞を受けたジョン・リドリーが手を入れて、1959年版の4時間の上映時間を2時間強にコンパクトにまとめている。
主役のベン・ハーには「高慢と偏見とゾンビ」「アメリカン・ハッスル」のジャック・ヒューストンが抜擢され、宿敵メッサラには「ウォークラフト」のトビー・ケベルが扮している。他にモーガン・フリーマン、ロドリゴ・サントロ、アイエレット・ゾラーらが共演。監督は「ウォンテッド」「リンカーン/秘密の書」などビジュアル・センスに長けているティムール・べクマンべトフ。戦車競走のシーンもCGを極力使わず実写で迫力たっぷりのシーンを作り上げている。
ローマ帝国が繁栄を誇っていた時代
エルサレムの名家に生まれたベン・ハー(ヒューストン)には義兄弟メッサラ(ケベル)がいたが、メッサラは名誉と地位を求めてローマ軍に入隊、戦功を挙げて凱旋する。だがエルサレムはローマの支配に対して好意的ではなく、総督ピラトが訪れた際にベン・ハーが匿っていた急進派の若者がピラトに矢を射かけた。ベン・ハーは家族を守ろうと自分がやったと言い出し、メッサラによって奴隷としてガレー船の漕ぎ手にされてしまった。
5年後、海戦で船が沈み漂流していたベン・ハーはイルデリム(フリーマン)という族長に命を救われ、数年ぶりに故郷に戻る。妻はイエス・キリストを助け人々に救済を与えようとしており、メッサラへの復讐を誓うベン・ハーを止めようとする。だがイルデリムがピラトに戦車競走の賭けを持ちかけ、メッサラとベン・ハーを含む8台の戦車競走が開催されることになった……