心臓発作を起こしたのに働けると判断された中年男が理不尽な国の制度と戦う姿を描き、2016年のカンヌ国際映画祭でパルムドールに輝いた社会派ドラマ。英国の名匠ケン・ローチ監督は前作「ジミー、野を駆ける伝説」(2014)後に引退を宣言していたがどうしてもこの物語は作らなければと復帰した。主演のデーヴ・ジョーンズはコメディアン出身、共演のヘーリー・スクワイアーズは脚本も書く新進で、共にオーディションで抜擢された。
ニューカッスルに住む大工のダニエル・ブレイク(ジョーンズ)は59歳。心臓発作を起こし国から雇用支援手当を受けていたが、継続審査で就労可能と裁定され、手当を打ち切られてしまう。そんな中で出会ったのが、二人の幼い子どもを抱えたシングルマザーのケイティ(ヘーリー)。彼女もまた仕事がなく、複雑に入り組んだ理不尽な国の制度に押しつぶされそうになっていた。やがて彼らの間に家族のような絆が芽生えるが、容赦のない現実が二人を待ち受けていた。
社会的弱者の人生に寄り添い、その過酷な現実と尊厳を描き続けてきたローチ監督。主人公ダニエルの姿を通して、どんなに厳しい状況の中でも忘れてはいけない大切なことを教えてくれる。
「わたしは、ダニエル・ブレイク」
2017年3月18日(土)、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
配給:ロングライド
©Sixteen Tyne Limited, Why Not Produc@ons, Wild Bunch,Les Films du Fleuve,Bri@sh Broadcas@ng Corpora@on, France 2 Cinéma and The Bri@sh Film Ins@tute 2016