全米メディアが“2016年・ベスト1ムービー”に選出。
自分の居場所を探し求める主人公の姿を、色彩豊かに圧倒的な映像美と情緒的な音楽で綴ったこの物語は、北米で大ヒットを記録し、第74回ゴールデン・グローブ賞で作品賞(ドラマ部門)を受賞、第89回アカデミー賞では作品賞・監督賞を含む8部門にノミネートされ、本年度の賞レースを席巻、熱狂的な賛辞が贈られている。
特に注目を集めているのが、実際の映像に色を足して加工していく、カラーリストの存在。黒人全員がブロンズのように光り、これほど、アフリカ系の人の体を美しく撮った映画は前代未聞であり、今後の映画界の常識が変わると言われている、革新的な作品でもある。
本作は戯曲「In Moonlight Black Boys Look Blue(月の光の下で、美しいブルーに輝く)」が原案となり、長編2作目となるバリー・ジェンキンス監督によって映画化された。偶然にも戯曲家と監督は同じマイアミ出身で、麻薬中毒者の母親に育てられるという過酷な環境で育つ。エグゼクティブプロデューサーはブラッド・ピット。自身が創設したプランBエンターテインメントで製作している。キャストには、主人公の母親を『007』シリーズのナオミ・ハリス、少年の面倒を見る麻薬ディーラーを人気ドラマ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」に出演するマハーシャラ・アリ。そして、主人公シャロンのそれぞれの時代を3人の俳優が演じ、同じ内面を感じさせる“目”を持つ3人が選ばれている。印象深く力強い目によって、シャロンというキャラクターが完成された。
自分がなにものかを探し、そして自分を愛する事ができたとき、初めて誰かを愛する事が出来る。
主人公シャロンのあまりに純粋すぎる一途な想いに、世界中が瞬く間に虜になった、愛の物語。
名前はシャロン、あだ名はリトル。内気な性格で、学校では“オカマ”とからかわれ、いじめっ子たちから標的にされる日々。その言葉の意味すらわからないシャロンにとって、同級生のケヴィンだけが唯一の友達だった。高校生になっても何も変わらない日常の中で、ある日の夜、月明かりが輝く浜辺で、シャロンとケヴィンは初めてお互いの心に触れることに…
なぜここまで『ムーンライト』が世界中を魅了しているのか―。それは人種、年齢、セクシュアリティを越えた普遍的な感情が描かれているからだ。本作の大きなテーマは“アイデンティティ”を探し求めるところに他ならない。タイトルである“ムーンライト(月光)”とは、暗闇の中で輝く光、自分が見せたくない光り輝くものを暗示している。誰もが一度は人生のどこかのタイミングで同じようにもがいたことがあるだろう。
どうにもならない日常、胸を締め付ける痛み、初恋のような切なさ、いつまでも心に残る後悔…思いもよらぬ再会により、秘めた想いを抱え、本当の自分を見せられずに生きてきたシャロンの暗闇に光が差したとき、私たちの心は大きく揺さぶられ、深い感動と余韻に包まれる。
提供:ファントム・フィルム/カルチュア・パブリッシャーズ/朝日新聞社
配給:ファントム・フィルム
【2016/アメリカ/111分/シネマスコープ/5.1ch/R15+】
原題:MOONLIGHT
日本語字幕:稲田嵯裕里
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