貧困、暴力、ドラッグ、エイズ……あまりに困難な環境の中で、それでも未来を切り開こうとする三姉弟の姿を描くルーマニア発のドキュメンタリー映画。
寂しさの中、ヒップホップに出会うトト。彼の未来には何が待っている?
主人公の三姉弟が暮らしているのはルーマニアのロマ・コミュニティー。アレクザンダー・ナナウ監督は社会から切り捨てられた彼らの暮らしに14カ月も密着し、その現実を記録した。
10歳の甘えん坊少年トトには、17歳の美しいアナと14歳の活発なアンドレアの二人の姉がいる。母親は麻薬売買で刑務所に服役中、父親はいない。
保護者のいない三姉弟が暮らすボロアパートは、近所の不良たちのたまり場だ。小さく丸まって眠るトトのとなりで男たちが首や腕に注射針を刺している。
そんな苦境に耐えきれず、いつしかアナもドラッグに手を出してしまう。気の強いアンドレアはすぐ姉と口論になるため、友達の家を泊まり歩いて家にあまり寄りつかない。
その間、トトは児童クラブで勉強を教わる。そんなある日、ブカレスト麻薬捜査部隊が突入してきて、アナと親代わりの叔父さんを逮捕してしまう。アンドレアはたった一人でトトの面倒をみることに。
アンドレアはトトを連れて孤児院に入ることを決めた。寂しさの中、トトは児童クラブでヒップホップダンスと出会い、その楽しさに夢中になる。やがて国際大会に出場を果たすまでになったトト。彼の未来には何が待っているのだろうか?