1973年の「死ぬのは奴らだ」から85年の「美しき獲物たち」まで7作に渡り、007=ジェームズ・ボンドをスクリーン上で演じてきた英国俳優ロジャー・ムーアが2017年5月23日、療養先のスイスで死去したことが家族によりツイッターで発表された。がんを患っていたという。享年89歳だった。
ムーアは1927年10月14日ロンドン生れ。王立演劇学校で学び、舞台から映画界へ。56年のTV「アイバンホー」、57年の同『マーベリック」で知られ、63年「セイント」、71年「ダンディ2華麗な冒険」にも出演。73年にショーン・コネリー、ジョージ・レーゼンビーに次ぐボンド役に抜擢され、以降「黄金銃を持つ男」「私を愛したスパイ」「ムーンレイカー」「ユア・アイズ・オンリー」「オクトパシー」「美しき獲物たち」と7作品でボンドを熱演した。
映画はほかに「雨の朝巴里に死す」「大逆転」「ゴールド」「ワイルドギース」「北海ハイジャック」「シーウルフ」「キャノンボール」などにも出演し、人気を呼んだ。
私生活では4度の結婚で子供は5人いるという。初代ボンドのコネリーとも親交が深く、コネリーと仲の悪かったイオン・プロとも良好な関係を築いていた。ユーモアのセンスもあり、誰からも愛される人柄だったことがわかる。またコネリーより遅れてボンドになったが、実際はコネリーより三つ年上。ボンドを演じる際になるべくコネリーの真似はしないように気を付けていたという。
ユニセフの親善大使なども務め03年にはナイトの称号も授与された。故人の遺志により、葬儀は密葬で行われるという。ご冥福をお祈りしたい。