本作の舞台は1960年代初頭、有色人種への差別意識がまだ色濃く存在していたアメリカ。今回公開された映像はそんな時代においても、ハイウェイで故障車とともに立ち尽くす3人の黒人女性が、アメリカの威信を懸けた一大プロジェクトである宇宙開発競争を推進するNASAの職員だとわかれば、白人警官さえも彼女たちをパトカーで先導してしまう奇跡的な光景からはじまる。ただそのNASAでも彼女たちの扱いは劣悪そのものながら、男性社会の中で決して卑屈になることなくひたむきで、キャサリン(タラジ・P・ヘンソン)は”人間コンピュータ”とも呼ばれる天才的な計算能力を発揮し、誰よりも鋭い観察眼を持ち合わせ設計に携わるメアリー(ジャネール・モネー)は「君が白人男性ならエンジニア希望かね?」という嫌味たっぷりな上司の問いにも「別に。もうエンジニアですから」と強気の反撃、また多くの女性職員たちのお手本であり続け管理職への昇進を夢見るドロシー(オクタヴィア・スペンサー)の頼もしい姿も垣間見れる。
映像と共に初公開となった場面写真は、黒板にギッシリと数式を書き込むキャサリン、同僚の女性たちを引き連れ自信をみなぎらせるドロシーに加え、宇宙特別研究本部のボスとして史上初めて黒人女性のキャサリンを登用するハリソンに扮したケヴィン・コスナー、悪意はなくともドロシーの昇進の障壁となる上司ミッチェルに扮したキルステン・ダンストという対照的な上司を演じた二人の、味わい深い好演にも期待が高まるショット。
「ムーンライト」で見せた熱演により第89回アカデミー賞(R)助演男優賞の栄冠に輝いたことが記憶に新しいマハーシャラ・アリーも共演。監督は、日本でもスマッシュヒットを記録した「ヴィンセントが教えてくれたこと」のセオドア・メルフィが務める。