近年は「マン・オブ・スティール」などで活躍するダイアン・レインが6月4日来日。今回は最新主演作「ボンジュール、アン」のキャンペーンで、この作品で長編劇映画デビューを飾ったエレノア・コッポラ監督と一緒。名前からもわかるように、エレノア監督のご主人は名匠フランシス・フォード・コッポラで、娘はソフィア・コッポラ。ご主人コッポラ監督と「アウトサイダー」「ランブルフィッシュ」「コットンクラブ」などで仕事をしてきたダイアンは、エレノアさんにとっても旧知の間柄。『ダイアンほどプロフェッショナルで芯の強い女優は他にいない』と賞賛する彼女は、ダイアンを最初の演出作のヒロインに抜擢した。
インタビュー・ルームに入って来るや『SCREEN、もちろん覚えているわ!』と嬉しい言葉をかけてくれたダイアンは、50代になったいまも美しく輝いている。こんなに長くハリウッドで生き残ってきた秘訣を聞いてみると、
『私もよくわからないけど幸運もあったのでしょうね。確かにハリウッドで女優が残れるスペースは狭いと思う。ルックスの維持とか、名脇役になることを期待されたりするものね。いつか女優卒業とか、スタッフに回ることも考えるかも?(笑)』
と謙遜を。まだまだ女優で行けますよ!と声をかけるとにっこり微笑んでくれた。そんなハリウッドでは珍しい女性監督による、女性が主役の映画「ボンジュール、アン」はやりがいのある役だった様子。
『アンは妻であり、母であり、他の人の面倒を見たりしてここまで来た女性。強く私というものを出さずに来たのだけど、ある日ずっと避けてきた自分に問いかけることになるの。自分自身の未来的な構図がなかった彼女は、いま自分にワクワクしているところなのよ。アンは写真が趣味だけど、私は絵を描くのが好き。ただ準備にとても時間がかかるので、なかなか描けないのが残念ね』
ひょんなことから夫のフランス人のビジネスパートナーとカンヌからパリへ車で二人旅をすることになったアンは、その道中でこれまで気づかなかった自分を発見していく。
『撮影で一番気に入ったのは小川のほとりでピクニックするシーン。都会過ぎない田舎風の場所が好き。一緒に旅をするジャックは、アンを誘惑しているようにも見えるけど本気ではないと思う。私自身もアンと同じ立場になったら、ジャックの振る舞いを真剣には受け止めないわ。ただいわゆる“色っぽい駆け引き”は、楽しいことよね(笑)』
そういって微笑む姿がアンその人のように大人の余裕に溢れているダイアン。かつて彼女が飾ったSCREENのカバー写真をいくつか持参して見せると、大喜びで『娘に見せたいわ!』と屈託なく笑う姿が何ともチャーミング。誰もがこんな風に年を重ねたいと思うような女性に成長した彼女の魅力を劇場で味わってほしい。