80年代に映画デビューし、50代となった今もハリウッドを代表するスターとして君臨するジョニー・デップ。「パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち」(03)が世界的なヒットを記録しシリーズ化されたことで、孤高の海賊ジャック・スパロウはデップにとって一世一代の当たり役になった。
しかし、この風変わりな海賊をはじめ、デップはいわゆる典型的なヒーローよりも、社会からはみ出したアウトローや弱者を描いた作品に目を向け、時には人生の負け犬のようなキャラクターを演じることで魅力を放ち、映画ファンの心をわしづかみにしてきた。そんな彼がたどってきた俳優人生を振り返ってみたい。

前編はこちら

俳優として新たなステージに立ったデップ

相変わらず個性的な監督たちと仕事を続けながらも、2人の子どもを持つ良き父親というイメージも手伝って、子供や家族向けの作品が増えていく。04年「ピーター・パン」の原作者ジェームス・バリーを描いた「ネバーランド」に主演し、再びアカデミー賞主演男優賞にノミネート。ビッグバジェット作品も次々と舞い込み、盟友ティム・バートンとのコラボも続く。

画像: 「チャーリーとチョコレート工場」

「チャーリーとチョコレート工場」

さらに「スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師」(07)では初のミュージカル映画に挑戦。同作でゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞する。10年にはフォーブス誌で“最も高額なギャラを獲得したハリウッド俳優”として第1位にランクイン。

「アリス・イン・ワンダーランド」(10)とアンジェリーナ・ジョリーと共演した「ツーリスト」(10)で5000万ドル(約42億5200万円)以上を稼いだ。

画像: 「アリス・イン・ワンダーランド」

「アリス・イン・ワンダーランド」

しかし、そんなデップの快進撃にも陰りが

大ヒットが期待された「ダークシャドウ」(12)、「ローン・レンジャー」(13)が振るわず人気も急降下。時同じくして、私生活の迷走ぶりが報じられるようになる。

12年にヴァネッサ・パラディとのパートナー関係を解消すると、まもなく「ラム・ダイアリー」(11)で共演した20歳以上も年下の女優アンバー・ハードと熱愛関係に。ちなみに「チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密」(15)のプロモーションには2人で来日し熱々ぶりを見せつけた。

だが、世間を騒がせた結婚もわずか15カ月で破局。ハードから離婚が申請され、原因は“デップの家庭内暴力”と主張されたことから、泥沼の離婚劇に発展。16年8月に離婚が成立したものの、今度は金銭トラブルで元マネージャーと裁判沙汰に。心労がたたったのか、はた目にもわかるほどげっそりと痩せ細った姿も激写された。

苦難を乗り越えたその先に

そんなスキャンダルの一つや二つも芸の肥やしとばかりに、7月公開の「パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊」で今まで以上に輝きを増してスクリーンに帰ってきた。

画像: 「パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊」

「パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊」

シリーズ最大の危機を迎える海賊ジャック・スパロウをイキイキと演じるデップ。世界中の老若男女を魅了したヒーロー役を相変わらず飄々と、けれども圧倒的な存在感で魅せてくれる。一方、同時期公開の「コンビニ・ウォーズ バイトJK VS ミニナチ軍団」では、愛娘リリー・ローズ・デップとの共演を楽しんでいるパパ、ジョニー。さらに今後は新作が目白押しになる。

今後2年での新作契約はなんと9本!

今冬には、ミステリーの女王アガサ・クリスティーの名作「オリエント急行殺人事件」のリメイク版に出演。名優にして「マイティ・ソー」や「シンデレラ」の監督としても知られるケネス・ブラナーが監督と主人公の名探偵ポワロを務め、ペネロペ・クルズ、ジュディー・デンチに、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」のデージー・リドリーなど超豪華スターが集結する中、デップは事件の鍵を握るキーパーソンで謎多き実業家ラチェットを演じているというから、映画ファンはもちろん原作ファンも期待が高まる。

画像: 「オリエント急行殺人事件」

「オリエント急行殺人事件」

また、来年公開の「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」の続編では、闇の魔法使いグリンデルバルド役でいよいよ本格的に大暴れ。
さらにはトム・クルーズ、ラッセル・クロー、ハヴィエル・バルデムらが往年のモンスター映画を次々とリメイクする“ダーク・ユニバース”で、デップも「透明人間」で主演。加えてロサンゼルス市警の実在の捜査官の活躍を描く「ラビリンス」など、今後2年で9本の新作契約を交わしているという。

デップはかつてラジオ番組のインタビューで『アカデミー賞など欲しいと思ったことはない』と語ったことがある。『これまでに二度か三度ノミネートされた。それだけで十分』というのが本音らしい。また、いくつかの主演作を駄作とこき下ろされた時も『信念を持って好きなことを続けるのみだ』と答えた。現在54歳、映画スターとしてさらなる高みを目指すデップのゴールはまだまだ果てしない。

 

This article is a sponsored article by
''.