「最終日にコアなメンバーの顔を見ていてグッときたんだ」
──「LOGAN/ローガン」の撮影最終日の想い出はありますか?
『一番思い出深いのは、雷の問題かな。地上300メートルにいたから、撮影地から5キロ圏内で雷が発生するとアラームが作動して撮影を中断しなければならなかったんだ。局所的に雷が発生してはすぐ晴れるという感じだったから、中断してばかりでかなりフラストレーションが溜まったよ。ただ、もう陽が沈むという時に、ジム(ジェームズ・マンゴールド監督)が僕のところに来て、「少しここにいよう。必要なカットは全部撮れたけど、君は十七年やってきたわけだからね。みんなには、あともうワンカットだけ撮りたいからカメラを回すと言っておく。でも本当は、30分だけスタッフが怒鳴っていない時間を君に楽しんでほしいんだ」と言ってくれてね。あれは素晴らしい贈り物だった』
──最後はどんな感慨がありましたか?
『別れはあまり得意な方ではないんだ。一年間続いて400回公演がある舞台でさえも、みんな最終日はカーテンが上がる前から泣いていたりするんだけど、僕は「ほら、もう一回舞台があるよ!」という感じで、何となくバツが悪いというか。でも「LOGAN/ローガン」の最後の日に、そこにいる人みんなを見回して、改めてずっと一緒にやってきたコアな顔ぶれを見ていたんだ。それでふと気づいたのは、今回はこれまでよりもコアなメンバーが少人数になっていたということ。より深く信じて闘ったごく少数の人たちがいればよかったんだよ。そのコアなグループは七〜八人で、スタジオのプロデューサーたちとジムとパトリック(スチュアート)と。僕たちは最初から共鳴し合っていたんだ。外部から見たら、僕らがどうかしていると思っていた人たちは間違いなくいたと思う。でもとにかく僕はコアな顔ぶれを眺めていた。それは本当にグッと来たね。17年は長いよ。学校は12年なんだからさ。それがどれだけ長く感じたか覚えているでしょ(笑)?』
──ローガンという役はあなたにとってどんな意味がありますか?
『「X-MEN」は僕がアメリカで初めて出演した映画だった。もしこのシリーズがなかったら、僕がキャリアを積むことはなかっただろうと言われたら、ごもっともだよね。この役に決まった当時はロイヤル・ナショナル・シアターで「オクラホマ!」に出演していたから、多少なりとも基礎があったとは思いたいけど、でもこの役が僕の骨格を作ったことは間違いない。この役のおかげて本当にいろんなことをやってこられたからね。そして、僕はこの役がずっと大好きだった。本当に特別な役だし、特に今回は最後だから、より一層特別だね。ローガンと僕は相当かけ離れた人間だけど、色々教えられたよ。長年この役を演じてきたことが素晴らしいセラピーにもなっていて、自分の怒りを全部吐き出すことができたんだ』
──家族というのはこの映画において重要でしょうか。
『ジムが「親密な関係を恐れているキャラクターだから、彼を家族で取り囲もう」と言ったんだ。まずパトリックが正気を失い認知症になるっていうアイディアがあった。一年くらいその案で進めていた頃に、ローラを加えて三世代にするっていうアイディアをジムが出してきた。本当にこれはもう完璧な物語構成だよ。全部ジムのおかげだ。誰にでも家族がいるわけで、家族ほど生きがいを感じられたり、もどかしかったり、迷惑だったりするものはないことも、誰もが知っているからね。もし自分で選べたら絶対関わらなかったような人と強制的に関わらせられる。でも最終的には家族が人生を生きる価値のあるものにしてくれるんだ』
「LOGAN/ローガン」ブルーレイ& DVD
2017年10月18日発売(フォックス・HE)
特典=ウルヴァリン・パズルカード(9枚組)封入、未公開シーン集、メイキング映像、監督による音声解説、予告編集
2枚組:3,990円+税
4枚組(4K ULTRA HD+2Dブルーレイ):6,990円+税