コンゴの首都キンシャサ。エネルギーに満ちあふれたこの街のバーで歌う、“幸福”という名前を持つ歌手フェリシテ。だが愛する一人息子が事故で重傷を負い、彼女は街中を奔走する。
セネガル系フランス人監督アラン・ゴミスが監督・脚本・編集を務め、今年のベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞。出演はヴェロ・ツァンダ・ベヤ、パピ・ムパカ、ガエタン・クラウディアら。ワールドミュージック界の世界的人気グループ“カサイ・オールスターズ”がミュージシャンとして参加している。
人いきれで蒸すようなバーでエネルギッシュな歌声を聞かせる歌手フェリシテ(ヴェロ)。そんな彼女を熱く見つめる男タブー(ムパカ)。ある朝、冷蔵庫が壊れ、修理屋を呼んだフェリシテ。やって来たのはタブーだった。そこへかかって来た一本の電話。一人息子サモ(クラウディア)が交通事故に遭ったという。大急ぎで病院に駆けつけたフェリシテに医師は、彼の左足は開放骨折で、手術をしなければ切断だと告げる。だがそれには手術代の前払いが必要だ。
金を工面するため街を走り回るフェリシテ。親戚の叔母はフェリシテの名前の由来を語り、
貧しいながらもわずかな金を渡してくれた。タブーら店の客やバンドのメンバーも金をカンパ。だが別れた夫は、助けを求める彼女を冷たく追い払う。そうして必死に金をかき集め病院へ急いだ彼女を待っていたのは……