静かに激しく自己を見つめる人々の記録
「安泰寺」の住職はドイツ人の禅僧ネルケ無方。20代に日本を訪れ、各地で修行を積んだのち、安泰寺の住職となった。禅にまつわる著書も多数。現在、各地で講演や坐禅の場を設けている。この安泰寺に、スイス人女優サビーネ・ティモテオが家族を後にし、台本も持たずに2013年秋から2014年春にかけて修行した。本作は、かつての安泰寺住職でもある伝説的禅僧、澤木興道の思想と安泰寺の日々が織りなす、静かに激しく自己を見つめる人々の記録である。
あらすじ
長時間のフライトの後、サビーネは長距離バスに疲れて座っている。窓の外には、神戸付近の海岸に
ある産業地帯の風景が流れてゆく。鈍行列車に乗り換え、風景は日本海側の寂れた景色に変わっ
ていく。リュックサックを背負い、さらに徒歩で山奥へと向かう。森の中の道はやがて長い石段に続き、石段を終わりまで登るとようやく曹洞宗の禅道場安泰寺に着く。
修行僧のあいさつを受けた後、サビーネに禅寺での作法が示される。まだ暗闇い早朝 3 時 45 分に
起床し、禅堂で白い壁を前に座り続ける長い坐禅の日々が始まる。初心者には難しい作法での食事、
作務としての掃除、農業、林業、薪割り、建物の修復など多くの厳しい労働が待っている。寺の修行
者のほとんどは世界各地から集まった男女の若者たちで、コミュニケーションは身振り手振りを交えた数カ国語が使われている。
冬になると最高4メートルにも及ぶ雪に埋もれ、屋根の雪かきが繰り返し行われる。その間も休む事なく坐禅の日々は続く。
春になり、托鉢を行うため住職のネルケ無方、尼僧の時水、修行僧の慈念とサビーネは、列車で大
阪に向かい、安ホステルでの最後の夜を皆で過ごした後、サビーネの禅寺の冒険は終わりを迎える。
ZEN FOR NOTHING〜何でもない禅〜
2018年1月2日より、ポレポレ東中野にてお正月ロードショー
配給:silent voice
© werner penzel film production/rectv