ゴールデングローブ賞も決まり、間もなくノミネーションが発表(1月23日)となる第90回アカデミー賞。今回は例年にない激戦が噂され、本命、対抗の予想も非常に困難!そんな中、各映画批評家協会賞などから有力候補を絞った最新情報をお伝えしましょう。

作品賞・監督賞部門

冬季オリンピックの関係で例年より一週間遅れの、3月4日(現地時間)に開催される第90回アカデミー賞。ノミネーション発表直前の、大混迷の受賞予想をお送りしよう。

特に予想が難しいのが、作品賞、監督賞。アメリカ各都市の批評家協会賞の結果がバラバラで、いつものように存在する本命的な作品が見当たらない状態になっている。作品賞を受賞しているのは『シェイプ・オブ・ウォーター』「スリー・ビルボード」『レディ・バード』『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』『君の名前で僕を呼んで』「ゲット・アウト」『フロリダ・プロジェクト』など。作品賞がこれほどまとまりがつかないのも珍しい。

画像: 『シェイプ・オブ・ウォーター』

『シェイプ・オブ・ウォーター』

画像: 「スリー・ビルボード」

「スリー・ビルボード」

画像: 『レディ・バード』

『レディ・バード』

画像: 『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』

『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』

画像: 『君の名前で僕を呼んで』

『君の名前で僕を呼んで』

画像: 「ゲット・アウト」

「ゲット・アウト」

画像: 『フロリダ・プロジェクト』

『フロリダ・プロジェクト』

ここにゴールデングローブ賞に入選した「ダンケルク」「グレイテスト・ショーマン」『ファントム・スレッド』『アイ、トーニャ』『ディザスター・アーチスト』も加えると、ますますややこしくなるが、おそらくここに挙がった十数作から、八~九作が作品賞ノミネートに残るのではとみられる。ブラック層に配慮するなら、「ゲット・アウト」の他にネットフリックス作品「マッドバウンド 哀しき友情」が浮上しそうだ。

画像: 「ダンケルク」

「ダンケルク」

画像: 「グレイテスト・ショーマン」

「グレイテスト・ショーマン」

画像: 『アイ、トーニャ』

『アイ、トーニャ』

画像: 「マッドバウンド 哀しき友情」

「マッドバウンド 哀しき友情」

批評家賞に限って、一番多く作品賞を受賞しているように見えるのは『シェイプ・オブ・ウォーター』だが、このままストレートにオスカー受賞となるか。口のきけない女性と未知の生物のラブストーリーという異色の内容は、保守派の多い審査員にどう影響するか?ゴールデングローブを受賞した「スリー・ビルボード」『レディ・バード』の二作の反撃は必至。

監督賞も同様に分散しているが、『シェイプ…』のギレルモ・デル・トロー、「ダンケルク」のクリストファー・ノーラン、『レディ・バード』のグレタ・ガーウィグ、「スリー・ビルボード」のマーティン・マクドナーあたりが有力か。いずれも受賞経験はなく、業界セクハラ騒動に配慮して、女性監督を優遇?するとグレタあたりが有利なようだが、ゴールデングローブ賞の五人の候補には入れなかった。オスカーは世相をどこまで映すだろうか?

主演男優・女優賞部門

演技賞は作品賞より的が絞られているが、それでも完全な本命といえる存在を指摘するのは難しい。

主演男優賞は「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」で、チャーチル本人が乗り移ったかのような迫真の演技を見せるゲーリー・オールドマンが満を持して初受賞するのでは、と見られているが、意外な伏兵がそのシナリオを脅かすかも?『君の名前で僕を呼んで』の新星ティモシー・シャラメが、批評家賞ではオールドマンらベテラン勢に対し互角以上の健闘を見せているのが気になるところ。他に、これが引退作といわれる『ファントム・スレッド』のダニエル・デイ・ルイス、『ペンタゴン・ペーパーズ…』のトム・ハンクスといったオスカー像複数保持者が絡んでくる中、「ゲット・アウト」のダニエル・カルーヤ、「グレイテスト・ショーマン」のヒュー・ジャックマン、『ディザスター・アーチスト』のジェームズ・フランコー、『ストロンガー』のジェーク・ギレンホールらにもノミネートの可能性が残る。

画像: 「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」

「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」

主演女優賞は「スリー・ビルボード」のフランシス・マクドーマンドと『シェイプ・オブ・ウォーター』のサリー・ホーキンズの一騎打ちと見られていて、批評家賞の結果も二人が優勢。確かに映画を見ると彼女たちの名演ぶりが突出しているように見える。この二人を猛追しているのは『レディ・バード』のシアーシャ・ローナン。若いが「ブルックリン」などで実力は証明済み。そこに前年のウィナー、エマ・ストーン(『バトル・オブ・セクセス』)、またもやのメリル・ストリープ(『ペンタゴン・ペーパーズ…』)が絡み、『アイ、トーニャ』で実在アイススケート選手を熱演のマーゴット・ロビーや『モリーズ・ゲーム』で違法ポーカー経営者を演じるジェシカ・チャステーンも候補入りを狙っている状態。

助演男優・女優賞部門

助演賞部門はもう少し本命が見えてきている。助演男優賞では心優しいモーテル経営者を演じる『フロリダ・プロジェクト』のベテラン、ウィレム・デーフォーがこれも初のオスカー受賞を確実視されている。対抗馬は「スリー・ビルボード」の二人、サム・ロックウェルとウッディー・ハレルソン。ゴールデングローブを受賞したロックウェルの計算された演技は印象的。『君の名前で僕を呼んで』からもアーミー・ハマーとマイケル・スタールバーグの二人が候補入りするかも。他に『シェイプ・オブ・ウォーター』のリチャード・ジェンキンズ、「ダンケルク」のマーク・ライランスらベテラン男優たちがそれぞれ味のある渋い演技で名前が挙がっているが……?

助演女優賞は『レディ・バード』のローリー・メトカーフが本命と見られている。「JFK」「リービング・ラスベガス」などで活躍してきた名バイプレーヤーにスポットが当たるか?彼女の対抗馬となるのはゴールデングローブをさらった『アイ、トーニャ』のアリソン・ジャネーで、辛辣なスケート・コーチを演じる。他に『シェイプ・オブ・ウォーター』のオクタヴィア・スペンサー、『ダウンサイズ』のホン・チャウ、「マッドバウンド…」のメーリー・J・ブライジ、『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』のホリー・ハンターらが有力と見られているが、さて。

本当の本命がわかってくるのは、むしろオスカー・ノミネーション発表前後から2月上旬にかけて判明する製作者、俳優、監督など現場のプロの組合賞の結果から。今後大きな変化がまだ見られるかもしれない。

This article is a sponsored article by
''.