金と欲望に翻弄される人々の転落を描く“闇金”ピカレスク・ムービー
本作は、表向きは居酒屋経営者、しかし裏では10日で3割の超暴利で金を貸しつけ苛烈な取り立てで債務者を追い込む闇金屋・銭形富男を主人公に、金と欲望に翻弄される人々の転落を描く物語。
客はパンチ一発1万円で用心棒を請け負う元ボクサー、地方でくすぶるキャバクラ嬢や半グレ、ヤクザなど、銭の魔力に取り付かれたアウトローな連中たち。返せるあてのない借金を抱え、最後の手段として居酒屋「銭形」を訪れた人々の運命を描く“闇金”ピカレスク・ムービーだ。
明敏な頭脳で債務者の逃げ道を塞ぐ知将・銭形富男役を演じるのは、大谷亮平。2003年より俳優として韓国を拠点に活動後、2016年より日本での活動を開始し、2016年ドラマ「ラヴソング」(CX)で日本デビュー。同年、空前の大ブームを巻き起こした「逃げるは恥だが役に立つ」(TBS)の風見涼太役がはまり役となり、大ブレイクを果たす。今後も、映画『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』(6月8日公開)やNHK連続テレビ小説「まんぷく」が控えるなど抜群の存在感を示している。
富男の弟・静香役を演じるのは、白石和彌監督作の映画『凶悪』で注目を集めた小林且弥。狂暴な性格ゆえ、容赦ない暴力で富男と共に債務者を追い込む骨太な役どころに挑んでいる。ブランド狂いのキャバクラ嬢、一筋縄ではいかない曲者債務者・早乙女珠役を映画『ヒメアノ~ル』、『ユリゴコロ』など話題作への出演が続く実力派女優・佐津川愛美が演じる。
メガホンを取るのは日本映画界を代表する鬼才・園子温作品の助監督として活躍。監督として映画『人狼ゲーム インフェルノ』(公開中)を手掛けた綾部真弥。
このたび解禁された予告は、大谷亮平扮する銭形富男が居酒屋で客から金品を巻き上げるシーンや「芋が育たなければ、身体を売る」という条件で、銭形から金を借りた安達祐実扮する脱サラ債務者・真田留美が畑を耕すシーンなどが切り取られた。場面写真には、札束のベッドで眠る剣持八雲(田中俊介)や大量の札束を抱きかかえる、早乙女珠(佐津川愛美)の姿などが収められている。
綾部真弥 監督インタビュー
〇最初にこの企画を聞かれたとき、どう思われましたか?
率直に面白い企画だと思いました。闇金というジャンルの作品でありながら、一地方都市を舞台にした人間ドラマや現代のお金にまつわる時代性を感じさせられ、登場人物それぞれが抱える苦悩や葛藤が幾つもあり、誰もが理屈抜きに楽しめる作品になるようにしたいと思いました。
〇「金」と「欲望」が一つのテーマになっている作品ですが、監督として一番こだわった部分をお聞かせ下さい。
出来るだけエンターテイメント作品として、お金・お札が出てくる描写は派手にするのと、お金の〝重み〟を感じさせられるように工夫しました。この作品の登場人物は、皆、得体の知れない欲望に悩んでいる人ばかりです。
その出口なき欲望や不満の解消の仕方が、作品全体としてのうねりやパワーになるようにしました。
〇主演の大谷亮平さんを演出されてみていかがでしたか。
周りの人物があくせくと動き回るのに対し、常にブレない大谷さんの存在が心強く、共に銭形富男という人物を作り上げていく作業は楽しかったです。そして、そんな富男の心の闇が一番深いという事にお互い気付いていったのが、演出した上での大きな収穫でした。
〇共演キャストの皆さんにはどんな演技を期待して演出されましたか。
どの作品でもそうですが、キャストの芝居に理屈じゃない生々しい感情が伴うように演出しました。また、今、その時でしか出来ない芝居や、瞬間を切り取れるよう撮影時は心掛けています。
〇撮影現場での苦労など裏話を教えて下さい。
撮影時はとにかく天候に悩まされました。10日間以上も雨が降り続き、最終日には台風直撃という、経験したことがないような天候でした。ただ雨の影響で場所を変更して撮影したのが、どの下りも予定していた場所より良くなったのと、常に地面などが濡れていて、作品世界としては艶が出たのが良かったと思います。
〇『ゼニガタ』をどんな方に観ていただきたいですか?見所などをお願いいたします。
やはりお金に苦労した経験のある方でしょうか。登場人物それぞれが、今いる場所から抜け出すために滑稽に突き進む姿が快感に感じて頂きたいです。また、兄弟、父子、友人などの関係性や距離感に注目して下さい。
ゼニガタ
2018年5月26日(土) シネマート新宿ほか全国ロードショー
配給:AMGエンタテインメント スターキャット
©2018「ゼニガタ」製作委員会