blur やRADIOHEAD、SpiritualizedやThe 1975などUKバンドの曲が数多く登場する青春ラブストーリーの今作で、主人公の泣き虫ギタリスト・リアム役を演じているのは長編映画初主演となるジョシュ・ホワイトハウス。
リアムのバンド“ヘッドクリーナー”のボーカルとして劇中で素敵な歌声を聴かせているジョシュが、プロモーションのために9月に来日し、SCREEN ONLINEのインタビューに応じてくれた。
【ストーリー】
レコード店で「blur」のアルバムを選んでいる時に出会った、リアム(ジョシュ)とナタリー(フレイア・メーバー)。
リアムは、デジタル化した音楽のダウンロードコレクションを忌み嫌い、昔ながらの「アナログ感」のあるCD、レコードコレクションを大切にしている夢見るミュージシャン。
ナタリーは、レコードジャケットデザイナーになる夢をもちながらも夢を諦め、二人の生活を支えるために、広告会社で働くキャリアウーマン。
二人は生活のすれ違いにより別れの時を迎える事になり、想い出の品々を整理し、それぞれが選んだ道を歩みだす―。
そんな中リアムのバンド“ヘッドクリーナー”は伝説の音楽プロデューサー、ザ・カーブ(イアン・ハート)と出会い徐々に活動の幅を広げ始め、ナタリーは会社の同僚エイドリアン(トム・ライリー)に惹かれていき……。
“ヘッドクリーナー”の曲は高くて綺麗な声で歌わなくちゃいけなかったら、
初めて歌のレッスンを受けたんだ
ーー今作ではバンド“ヘッドクリーナー”のボーカル・リアムを演じていて、ジョシュさんご自身もインディーズバンド“MORE LIKE TREES”のボーカルを務めてらっしゃるのでリアムに共感できる部分も多かったのではありませんか?
「まさに! 最近はデジタル配信が普通になってCD音源の海賊版ができたことで、ミュージシャンとして生きるのが大変な時代だよね。だからそれを嘆くリアムの気持ちがよくわかるんだ。リアムはCDをコレクションしているけど、僕はカセットテープの音質が大好きで大きな箱いっぱいにコレクションしているよ。若い頃にバンドの練習をしていた時はカセットに録音していたんだ。もちろんデジタル配信を否定するわけではないんだけど、そのせいで音楽産業が衰退してしまったり、ミュージシャンが苦しい立場に置かれている状況は辛いなぁ…ってだんだんリアムみたいなこと言い始めてるよね(笑)。ごめんごめん質問を続けて(笑)」
ーーblurやRADIOHEAD、Spiritualizedなど、UKバンドの曲が劇中に数多く登場しますが、20代のジョシュさんにとって世代的にリアルタイムで聴いてこなかったのではありませんか?
「大ファンというわけではないけど、blurやRADIOHEADは好きでよく聴いていたよ。ただ、僕自身はインディーズロックというより違うジャンルの音楽から大きな影響を受けているから、僕のバンドの曲は“ヘッドクリーナー”とはちょっとタイプが違うかな…聴いたことある?」
ーーもちろんです! 先日MORE LIKE TREESのライブ映像をネットで拝見したんですけど、“ヘッドクリーナー”とは少しタイプの違う音楽で驚きましたし、楽器の編成にカホーンやウッドベースがいたりしてMORE LIKE TREESが大好きになりました!
「ワーオ! それはクールだね! 凄く嬉しいよ!」
ーーもちろん“ヘッドクリーナー”の『リコリス・ガール』も凄く好きです(笑)。
「『リコリス・ガール』は一番良い場面で登場するからね(笑)。監督から“良い歌詞を書いて欲しい”と言われて、その要望に応えられるように心を込めて歌詞を書かせてもらったよ」
ーージョシュさんが歌詞を書かれたんですか?
「そうなんだ。最初に作曲家の方と一緒にスタジオに入ってメロディーに合わせてなんとなく歌っていたら“歌詞を書いてみない?”と言われて、書いたものを見せたら“いい感じじゃん!”って(笑)。それで、劇中の“ヘッドクリーナー”の曲は全てリアムの感情で僕が歌詞を書いたものが採用されたんだ」
ーーそうだったんですか! 改めて“ヘッドクリーナー”の演奏シーンを見直したくなりますね。話は変わりますが、今作ではCDアルバムのジャケットが印象的に使われるシーンがありますよね。ジョシュさんがお好きなアルバムのジャケットを教えて頂いてもいいですか?
「MORE LIKE TREESのニューアルバムでもいいかな?(笑)。見ます?(と言ってジャケットの写真が入ったスマホを見せてくれるジョシュさん)。これ、実は僕の母親がデザインしてくれたんだけど、彼女はアーティストなんだ。年末に3種類のジャケットのアナログ盤とカセットテープのリリースを予定していて、リアムには怒られそうだけどデジタル配信もする予定だよ(笑)。今の時代デジタル音源しか聴けない人もいるからね」
ーー絶対に買います! アナログ盤を!!(笑)。
「いやいや、気にしないで! デジタル版でも大丈夫(笑)。ただ、リアムの言葉を借りるなら“触れられるもの”をリリースして、それによって金銭的にバックを得られたらいいなというのが僕の正直な気持ちなんだ」
ーーやっぱりアナログ盤にします(笑)。レコードのほうが音が良いと聞いたことがありますし。
「リアムも劇中でそう言っているよね(笑)」
ーーだんだんジョシュさんがリアムに見えてきました(笑)。
「“このICレコーダーはなんだ!!”って僕がリアムならあなたのレコーダーを壊しちゃうかもしれない(笑)」
ーーそれは困ります(笑)。話を戻しますが、MORE LIKE TREESの演奏や曲作りにも今作で経験したことが活かされそうですね。
「そうだね。今までは独学でやってきたからギターやボーカルレッスンを受けたことがなかったんだ。でも、“ヘッドクリーナー”の曲は高くて綺麗な声で歌わなくちゃいけなかったら、初めて歌のレッスンを受けたんだ。おかげで今までより良い声で歌えるようになったと思うし、本当にリアムを演じて良かったよ」
ーーでは最後になりますが、今後の活動予定も教えて頂けますか?
「ミュージカル映画のリメイク『ヴァレー・ガール』が来年公開予定で、来日する2週間前に撮り終えたばかりの『The Happy Worker』という映画も今後公開される予定だよ。楽しみにしていてね!!」
(取材・文:奥村百恵)
『モダンライフ・イズ・ラビッシュ ~ロンドンの泣き虫ギタリスト~』
11月9日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
監督:ダニエル・ギル
脚本:フィリップ・ガウソーン
出演:ジョシュ・ホワイトハウス、フレイア・メーバー、イアン・ハート
配給:S・D・P
後援:ブリティッシュ・カウンシル
協力:British Culture in Japan
主題歌:「リコリス・ガール」ヘッドクリーナー
2017年/イギリス映画/英語/104分/ビスタ/カラー/5.1ch/原題:Modern Life is Rubbish/PG12/日本語字幕:中沢志乃
©Modern Life Pictures Limited 2016