60年代の傑作「イージー・ライダー」の原点となった「ワイルド・エンジェル」
1本目は、1960年代後半からアメリカ中に吹き荒れたバイカー映画ブームの先駆的作品「ワイルド・エンジェル」(66)。B級映画の帝王でありアメリカ映画界の偉人のひとり、ロジャー・コーマン監督最大のヒット作だ。
刹那的に生きる不良グループのリーダーである主役にピーター・フォンダを据え、当時社会問題となっていたモーターサイクル・ギャング、“ヘルズ・エンジェルス”を撮影に起用したことも伝説になっている。ハーレー・ダヴィッドソンでの集団暴走、対立グループとのケンカ、そして昼寝など地獄の天使たちの生態を描いた本作は、反体制を叫ぶ当時の若者に熱狂的に迎え入れられた。本作でフォンダは一躍若者のヒーローとなり、キャリアの転換点となった作品でもある。
本作のヒット後、数々のバイカー映画が製作・公開される中、本作の撮影時の写真を眺めていたピーター・フォンダが、暴走集団 でもなく、リーダーに焦点を当てるでもなく、ふたりの主人公がバイクで旅をする映画を作ったらどうかと提案。そのアイディアから誕生したのが60年代を代表する傑作「イージー・ライダー」(69)と言われており、「ワイルド・エンジェル」は今年製作50周年の「イージー・ライダー」の原点とされている。
70年代を代表するSF超大作「未来世界」
一方の「未来世界」(76)は 「ジュラシック・パーク」(93)の原作者にして人気SF作家兼映画監督のマイケル・クライトンの監督デビュー作「ウエストワールド」(73)の続編。コンピューターで制御された巨大レジャーランドでロボットが人間を襲うアイディアが秀逸。「ターミネーター」(84)の元ネタといわれている前作の卓越したアイデアとスケールの大きい特撮をさらに発展させた。
出世作となった『イージー・ライダー』以来、ニュー・バイオレンスの旗手として活躍していたピーター・フォンダが、更なる魅力を発揮し新境地を拓いた作品であり、「アウトロー・ブルース」(77)を生むこととなった職人監督リチャード・T・へフロンとのタッグ作である。前作「ウエストワールド」で恐怖のロボット・ガンマンを演じた大スター、ユル・ブリンナーが特別出演しているのもポイント。