“若手映像クリエイターの登竜門”として毎年開催されている「SKIP シティ国際D シネマ映画祭」。2019年7 月13 日(土)~21 日(日)の9 日間、16 回目の開催を迎える。

特集上映 「トップランナーたちの原点」に注目!

2004年から始まった「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」は、デジタルシネマにフォーカスを当て、国際コンペティション、国内コンペティション(長編部門、短編部門)の二部門3カテゴリーのコンペティション上映を中心にした注目すべき映画祭。これまで『凪待ち』の白石和彌監督、『長いお別れ』の中野量太監督、『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督、『岬の兄妹』の片山慎三監督など、今や日本映画界のトップランナーに飛躍した監督や、新作を心待ちにされる監督たちを多数輩出してきた本映画祭。6月7日に国際コンペティション、国内コンペティションのノミネート作品、特集上映をはじめとする全上映ラインナップが発表された。

今年の特集上映では、ジョージ・ルーカス、クリント・イーストウッド、スティーヴン・ソダーバーグ、三池崇史といった、国内外で高く評価され、映画史に名を刻む4人の巨匠監督の才気あふれる貴重なデビュー作を上映。現在は大作映画を主戦場とする4名も、デビュー当時はインディペンデント映画からそのキャリアをスタートさせ、「若手」「新鋭」と呼ばれた時代があった。未来の巨匠を発掘すべく“若手映像クリエイターの登竜門”を掲げる本映画祭では、若手監督たちに大きな刺激を与えるであろう4巨匠のデビュー作を特集し、また現在スクリーンで鑑賞できる機会のほとんどない作品を特集する。

上映作品=『THX-1138 ディレクターズカット』(ジョージ・ルーカス監督)、『恐怖のメロディ』(監督:クリント・イーストウッド)、『セックスと嘘とビデオテープ』(監督:スティーヴン・ソダーバーグ)、『新宿黒社会 チャイナ・マフィア戦争』(監督:三池崇史)

画像: 『セックスと嘘とビデオテープ」©1988 Outlaw Productions. All Rights Reserved.

『セックスと嘘とビデオテープ」©1988 Outlaw Productions. All Rights Reserved.

キム・ユンソク、タニア・レーモンド、ツヴァ・ノヴォトニー。俳優の監督デビュー作がノミネート

今年の「国際コンペティション」には、韓国を代表する演技派俳優、キム・ユンソクの監督デビュー作となるドラマ『未成年(原題)』、大ヒットTVシリーズ「LOST」のタニア・レーモンドがアーティストのジオ・ゼッグラーと共同監督で手掛け、主演も務めた風刺コメディ『バッド・アート』(インターナショナル・プレミア)、『ヒトラーに屈しなかった国王』のツヴァ・ノヴォトニーが98分ワンカットに挑んだ監督デビュー作『ブラインド・スポット』と、俳優が初監督を務めた作品が3本ノミネート。

画像: 『未成年(原題)」©SHOWBOX

『未成年(原題)」©SHOWBOX

その他の作品も、世界の潮流を切り取ったサスペンス『陰謀のデンマーク』、『私の影が消えた日』や、『イリーナ』などの重厚なドラマから、東欧ハンガリーから届いた『ロケットマンの憂鬱』のようなブラック・コメディ、クレイアニメと2Dアニメを併用して難民キャンプで暮らすパレスチナ人少女と曽祖父の絆を描いた『ザ・タワー』、監督自身の亡命記録をスマートフォンで撮影した渾身のドキュメンタリー『ミッドナイト・トラベラー』など、ジャンルも様々な力作揃いのラインナップとなりました。また、『ザ・タワー』は本映画祭では16回目にして初となる、国際コンペティションにノミネートした長編アニメーション作品となった。

また日本作品として、立教大学大学院の卒業制作として制作された『旅愁』(日中合作、呉 沁遥(ご・しんよう)監督)が唯一ノミネート!10作品全てが日本初上映の作品となる。

画像: 「バッドアート」©Studio Visit LLC

「バッドアート」©Studio Visit LLC

日本の若手監督たちがしのぎを削る国内コンペティション

日本映画の未来を担う才能の発掘を目的とする「国内コンペティション」。
長編部門は、黒沢清監督や篠崎誠監督の元で研鑽を積み、期待の若手俳優・青木柚らが出演した壷井濯監督『サクリファイス』や、『空(から)の味』の好演が印象的な笠松七海主演の『おろかもの』、『猟奇的な彼女』を彷彿とさせる暴走ラブ・ストーリー『バカヤロウの背中』、俳優として『アウトレイジ』等に出演している真田幹也が監督した『ミドリムシの夢』、昨年の本映画祭国際コンペ短編部門優秀作品賞『予定は未定』の磯部鉄平監督の初長編『ミは未来のミ』といった、今後要注目の才能が顔を揃え、5作品がノミネート!うち4作品がワールド・プレミアで上映!

画像: 「ミドリムシの夢」©2018「ミドリムシの夢」製作委員会

「ミドリムシの夢」©2018「ミドリムシの夢」製作委員会

短編部門では、『ガンバレとかうるせぇ』が注目された佐藤快磨監督の『歩けない僕らは』、平凡なサラリーマンと謎の美少女を描く村木雄監督のちょっと不思議なコミカル・ファンタジー『ぜんぶ東京のせいだ』、日中ハーフの女子大生が直面する国籍の選択を題材に描く鯨岡弘識監督の青春ドラマ『メイリンの決めたこと』、本映画祭では3度目のノミネートとなるマキタカズオミ監督が出生前診断に臨む夫婦の葛藤を描く『産むということ』など、エネルギー溢れる若手監督による、ジャンルも作風も様々な9作品がノミネート。そのうち3作品がワールド・プレミア、1作品がジャパン・プレミアでの上映。

オープニング作品は話題作『イソップの思うツボ』

今年のオープニング作品は、8月16日(金)全国公開となる話題作『イソップの思うツボ』を、劇場公開に先駆けてワールド・プレミアで上映。

画像: 「イソップの思うツボ」©埼玉県/SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザ

「イソップの思うツボ」©埼玉県/SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザ

『イソップの思うツボ』は埼玉県/SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザによる若手映像クリエイターの支援事業として製作され、過去本映画祭にそれぞれノミネート・受賞経験を持つ上田慎一郎監督(『テイク8』で2016年短編部門奨励賞受賞)、中泉裕矢監督(2018年オープニング作品『君がまた走り出すとき』監督)、浅沼直也監督(『冬が燃えたら』で2017年短編部門最優秀作品賞受賞)が共同監督を務めた作品。

上田慎一郎監督の初の劇場用長編で、観客動員数220万人以上、興行収入31億を突破した2018年の日本映画界最大の話題作『カメラを止めるな!』では、中泉監督が助監督、浅沼監督がスチール担当として参加しており、本作でもそれぞれの特徴を生かしながら息の合ったコラボレーションを見せている。

バリアフリー上映では大ヒット作『カメラを止めるな!』を上映

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭では、コンペティション、特集以外にも多彩なプログラムが盛りだくさん。
毎年恒例のバリアフリー上映では、昨年の日本映画界最大の話題作!SKIPシティでも撮影された『カメラを止めるな!』を、日本語字幕・音声ガイド(UD Cast方式)で上映。そのほか関連企画として、授乳施設も完備しベビーカーのまま入場可能な「ママ・シアター」では日本に暮らすミャンマー人家族の苦悩を描き高く評価された『僕の帰る場所』を上映。

画像: 「カメラを止めるな!」©ENBUゼミナール

「カメラを止めるな!」©ENBUゼミナール

さらに「埼玉関連映画上映」では、近年、数々の映画の舞台・撮影地となっている埼玉県で撮影された2作品『とってもゴースト』と『おくれ咲き』を、JR川口駅前の映像・情報メディアセンター「メディアセブン」で上映する。
ほかにもSKIPシティを中心に活動するクリエイターが制作した作品を上映する「メイド・インSKIPシティ」では、短編映画『避雷針』を通常のスクリーンで上映する2D版と、180度円周魚眼レンズで撮影した「ドーム映像版」の2パターンで上映。
そして毎年恒例、子どもたちが映画やCM制作にチャレンジした作品を上映する「カメラクレヨン~子どもたちが作った映画が、いま面白い!~」など多数の企画が開催される。

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