【ストーリー】
ごく普通の女子高生である主人公・綾月芽衣(伊原六花)は、赤い満月の夜に出会った自称・奇術師、チャーリー(小林 豊)の手によって明治時代へとタイムスリップ。そこは物の怪の存在が認められている、少し不思議な明治時代の"東亰"。
チャーリーの導きにより、たどり着いたのは鹿鳴館。パーティーに忍び込んだ芽衣を待ちうけていたのは、森鴎外(宮崎秋人)をはじめ、菱田春草(髙橋真佳把)、川上音二郎(山崎大輝)、泉鏡花(とまん)、藤田五郎(久保田悠来)、小泉八雲(岩永徹也)、岩崎桃介(松島庄汰)といった歴史上の人物達。彼らとの出会いでタイムスリップした事実を認めざるをえ負えない芽衣。
果たして芽衣は元の時代に戻れるのか、それとも…。
守ってあげたくなるような可愛さを芽衣から学びたいです(笑)
2017年に日本高校ダンス部選手権大会(ダンススタジアム)で“バブリーダンス”を披露し話題になった伊原六花は、高校卒業後に芸能界デビューし、TBS系ドラマ「チア☆ダン」で初ドラマ出演を経て、本作にて初の連続ドラマ&映画初主演に大抜擢された。
明治時代にタイムスリップした芽衣が出会う「明治好男子」にはBOYS AND MENの小林豊をはじめ、舞台、ドラマ、映画で活躍する宮崎秋人、BOYS AND MENエリア研究生の話題の新人・髙橋真佳把、「宇宙戦隊キュウレンジャー」で人気を博する山崎大輝、「ジェンダーレス男子」として注目されたとまん、様々な話題作に出演している実力派・久保田悠来、「仮面ライダーエグゼイド」に出演し、「JAPAN MENSA」の会員でクイズバラエティでも活躍する岩永徹也、国内のみならず海外でも活躍する松島庄汰らが出演している。
今作の撮影秘話や役との共通点、また好きな洋画について伊原に語ってもらった。
ーー今作は人気アプリゲームを実写化した作品ですが、ゲームはご存知でしたか?
「今作への出演が決まってすぐにゲームをやりはじめて、登場する偉人たちの全ルートをプレイしてみたんです(笑)。ゲームだけじゃなくアニメ版も見たりして、最終的に私の最推しは森鴎外さんになりました。ちなみに母もアニメ版を見て私と同じで鴎外さんにハマったらしく、二人で“鴎外さんカッコいいよね!”と未だに盛り上がっています(笑)」
ーー鴎外さんを推せるポイントはどんなところでしょうか?
「最初は少しチャラチャラしているのかなと思ったんですけど、芽衣が夜遅く帰ってくると心配してくれたり、さりげない気遣いもできて大人だなと思って。それでいて少しSっぽいところもあるので好きです(笑)」
ーー明治時代にタイムスリップしてしまう芽衣ちゃんを、どんな風に役作りして演じられましたか?
「芽衣は普通の女子高生なので、明治時代に関する知識は私と変わらないんじゃないかなと思いました。そんな日常の中で彼女は突然タイムスリップしてしまうので、“私自身が明治時代にタイムスリップしてしまっても同じような反応をするだろうな”といった感じで自然に演じることができました」
ーー明治村で撮影されたそうですが、現場の雰囲気はいかがでしたか?
「明治時代から使われたものが置かれていたりして、凄く素敵な場所で撮影させて頂けたなと思います。芽衣と同じようにちょっと異世界にきたような、明治村と“めいこい”の世界観がマッチしていたので、演じる上でも凄く助けられました」
ーー明治時代の衣装もとても似合ってらっしゃいました。
「ありがとうございます。矢絣(やがすり)というお着物はもちろん、袴も着たことがなかったので、最初は歩きづらく動きづらかったんです(笑)。でも、一ヶ月ものあいだ毎日のように着ていたら、いつの間にか慣れてきて、なんなら普段の私服よりも着心地が良いかもというぐらいしっくりきてしまって(笑)。きっと芽衣も同じようにだんだん慣れていったんだろうなと、役と気持ちがシンクロしたような気がしました」
ーー芽衣ちゃんとの共通点はありましたか?
「好きな食べ物が芽衣と一緒で、牛肉とチョコレートは私の好きな食べ物ランキング1位と2位なんです。なので撮影中は美味しく頂いてました(笑)。
性格の面では、芽衣は天然で守ってあげたくなるような女の子ですけど、私はどちらかというと“一人で生きていけそうだね”と言われることが多いので、そこは芽衣とは違うなと思いました。多分ダンスをやっていた時にキャプテンをしていたので、強いイメージがあるのかもしれません。それも寂しいので、守ってあげたくなるような可愛さを芽衣から学びたいです(笑)」
ーー(笑)。今作には明治時代の偉人たちが沢山登場しますが、偉人たちを演じた共演者の方々の現場での様子を教えて頂けますか。
「全員が揃う撮影は一日しかなかったんですけど、皆さんが演じるキャラが濃くて楽しかったです(笑)。チャーリーを演じた小林さんは現場でずっとお菓子を食べていて、裏表がなくて現場を盛り上げてくだいました。小林さんがボケた瞬間に私がツッコミを入れたり(笑)。
まるで芽衣とチャーリーみたいな関係性が作れたのは小林さんのおかげだなと思います。音二郎を演じた山崎さんと鏡花を演じたとまんさんは凄く仲良しで、ドラマ版含めてこのお二人と一緒のシーンが多かったんですけど、山崎さんがボケるとすかさずとまんさんがツッコミを入れるので、ナイスなコンビだなと思いながらずっと笑ってました(笑)」
ーーそれは是非メイキングなどで見てみたいです(笑)。
「ですよね(笑)。メイキングも撮っていると思うので、もしソフト化されたら入れて頂きたいです。先ほどのとまんさんと藤田を演じた久保田さんはクールで無口なイメージがあったのですが、お二人とも気さくに話しかけてくださって優しかったです。
春草を演じた髙橋さんは、年齢も近く私と同様に映画初出演だったので、“緊張するね”と言いながら台本の読み合わせをしてくださいました。桃介を演じた松島さんは役とのギャップが一番凄くて、関西弁で“こんな二枚目の役やったことないわ〜!恥ずかしいなぁ”とおっしゃっていました(笑)。八雲を演じた岩永さんは劇中で英語まじりに話したりするのですが、撮影以外でも片言になってました(笑)。
クイズが大好きらしく、現場でみんなにクイズを出してワイワイ盛り上げてくださったのも楽しかったです。鴎外を演じた宮崎さんは鴎外のように大人で落ち着いてらっしゃって、色々と深い話をしてくださいました」
ーー伊原さんと言えば“バブリーダンス”で一躍有名になるなどダンスのイメージが強いのですが、お芝居に挑戦されるようになって“お芝居とダンスはこんなところが違うな”と感じたことがあれば教えて頂けますか。
「ダンスは伝えたいことやテーマを曲や衣装、振り付けで表現するので、観る人によって受け止め方が全く違ったりします。でも、お芝居は言葉で気持ちを表現できるので、だからこそちゃんとキャラクターの思いが観客に伝わるように意識しなければいけないなと思いました。
ダンスのように体を使って表現するのとは違った難しさを感じましたし、お芝居は言葉でストレートにメッセージを伝えることができるからこそ、台詞を大事にしないといけないなと今回感じました」
ーー今後の目標を教えて頂けますか。
「私はミュージカルが好きなので、ダンスや歌などを中途半端にやるのではなくそれぞれの経験を積んでいって、いつかミュージカルに出演できたらいいなと思います。まずは色んなことに挑戦していきたいです」
ーー演じてみたい役はありますか?
「もっともっと女優としての経験を積んで自信がついたら、いつか意地悪な役や計算高い役、悪女なんかを演じてみたいです(笑)」
ーー伊原さんが悪女を演じる姿が全く想像がつかないです(笑)。
「だからこそ余計にやってみたいんです(笑)。悪役を演じると嫌われたりしますけど、それって役者冥利につきるんじゃないかなと。嫌われるほどの嫌なお芝居ができたということなので、凄く演じ甲斐がありそうな気がします」
ーー最後の質問になりますが、SCREEN ONLINE読者のために、最近観て面白かった洋画を教えて頂けますか。
「最近だとレンタル屋さんでふと手に取った『グリーンマイル』が良かったです。家で一人で大号泣しながら観ました。『ミシシッピー・バーニング』も同じ時期に借りて観たんですけど面白かったです。
あと衝撃を受けたのは『ダンサー・イン・ザ・ダーク』!ものすご〜く重いテーマの映画なのに途中でミュージカルのようなシーンが挟み込まれていて、主人公が辛い現実から逃げるための手段としてそういうことを妄想しているんだなと思ったら切なくなりました。でも辛いだけじゃなく、我が子への愛もしっかりと描かれていたので観て良かったなと思いました。まだご覧になってない方には是非観て頂きたいです」
(インタビュアー・文/奥村百恵)
映画『明治東亰恋伽』
2019年6月21日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次ロードショー
監督:副島宏司
脚本:おかざきさとこ
出演:伊原六花、小林 豊、宮崎秋人、髙橋真佳把、山崎大輝
とまん、久保田悠来、岩永徹也ほか
配給:キャンター
©MAGES./LOVE&ART ©ドラマ/映画「明治東亰恋伽」製作委員会