ニコラス・ホールト
プロフィール
1989年12月7日生まれの29歳。モデルも務める端正なルックスと子役時代から培った演技力を併せ持ち、英国若手俳優の中でももっとも売れっ子の一人に。2019年は「ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー」に始まり、新作「トールキン旅のはじまり」まで4本が日本公開。新作TVシリーズではロシア皇帝ピョートルに扮する。
ホールトにときめく理由
超売れっ子でも驕らない誠実な人柄
貴族的なルックスと知的な雰囲気はまさしく“ザ・英国紳士”。「ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー」に続き、再び作家役を演じているのも、それだけ彼にアカデミックなイメージが強いからかも。これだけ売れっ子なのに、つねに共演者を立てる慎ましい性格も周囲から愛される理由。新作オファーが途切れないのも納得!
大切なのは演じる人物の本質をとらえることだと思っているよ
世界中で巻き起こっている〝英国俳優旋風〞のトップランナーの一人がニコラス・ホールト。2019年は「ライ麦畑の反逆児ひとりぼっちのサリンジャー」が公開されたのを皮切りに、「女王陛下のお気に入り」「X–MEN:ダーク・フェニックス」と新作が相次いで公開。そしてこの夏には、「ロード・オブ・ザ・リング」の原作者J・R・R・トールキンを演じる最新作「トールキン旅のはじまり」が日本上陸する。この直近の四本を見るだけで、彼の演技の幅がいかに広いか、そして彼がいかに今の映画界に必要とされているかがよくわかる。
ーー撮影前、トールキンについてどれくらい知っていましたか?
じつは全然知らなかったんだ。もちろん彼の書いた「指輪物語」は読んでいたし、その映画化である「ロード・オブ・ザ・リング」を見て育った。「アバウト・ア・ボーイ」を撮っているときに監督の(クリス&ポール)ワイツ兄弟から「ホビットの冒険」をもらったんだ。初めてもらった本のひとつだよ。
そのように彼の本は読んでいたんだけれど、作者のトールキンのことはあまり知らなかった。正直に話すと、トールキンの名前の読みさえ間違えていたよ。〝トールキン〞と発音していたんだけど、ジュディ・デンチがナレーションをつとめたドキュメンタリー番組を見て〝トールキーン〞が正しい発音だと知ったんだ。
ーートールキン役をどのように演じようと考えましたか?
大切なのは演じる人物の本質をとらえることだと思っている。トールキンのことは何も知らなかったから何もかもが驚きだった。
監督が僕に求めていたのは、若くして孤児になった男(トールキンは十二歳で孤児になっている)の心理状態になりきることだった。徐々に自信をつけていき、大人になっていくけれど、どうしても心許なさから逃れられない青年の姿だよ。
世界からの疎外感に苦しんでいるんだ。友人の秘密倶楽部のほかのメンバーは裕福な家庭で育っているので、良い大学への進学と良い暮らしがどう転ぼうとも保証されている。トールキンは彼らと仲良くしていたけれど、じつは背景が違っていた。だから自分ならではの道を切り拓かなくてはならなかったんだ。
ーートールキンの恋人エディス役のリリー・コリンズとの共演はいかがでしたか。
素晴らしかったよ。お芝居がとても上手で、心に傷をもちながらも気丈に生きる女性をすがすがしく演じている。同じ画面にいられるだけでも感激だった。彼女は1930年代のヴィンテージ映画のスターのようで、見ているだけでうっとりするよね。とてもイギリス人らしい感性を持っているのだなとも思った。
自分が好きな、しかも素敵な女優と恋愛映画で共演できるとなれば仕事にも力が入ったよ(笑)。脚本をもとに工夫して役柄をふくらませる姿を間近で見られたのも素晴らしい経験になった。
ーー若い学生たちが遊びまわるところもこの映画の見どころですね。
そのあたりは名作「いまを生きる」を思わせるところもあるよね。彼らは創作を続けるためにお互いの背中を押し、励まし合う。時代のせいもあって、彼らは大人の権威に抑圧され、気持ちも縮こまっていたかもしれない。
だから若者が育っていき、自分の存在証明をしようとする姿に共感するのかもしれない。ある出演者はこの映画を〝悪ふざけ〞と評していた。まさに男の子がいつもお互いにやり合うように、秘密倶楽部のメンバーは悪ふざけばかりしていたよ(笑)
ーー今改めて撮影を振り返ってどう感じますか?
主演と助演では大きな違いがあって、主役には妙な重圧がのしかかってくる。それを気にしないようにできたらもっと楽しくなるよね。仲間に囲まれて、役者という自分が好きな仕事ができるわけだから。場面写真を雑誌で見るのはとても気分が良いものだよ。でも見た瞬間に、もっとこうすれば良かった、と思ってしまうんだけどね(笑)
英国の有名作家を熱演!
「トールキン 旅のはじまり」
2019年8月30日(金)公開
配給:20世紀フォックス映画配給
映画史に残るファンタジー超大作「ロード・オブ・ザ・リング」の作者J・R・R・トールキンの半生を映画化。魔法使いやドラゴンなどが登場する壮大な世界はどんな人生から創り出されたのか?