ジョーカーの衣装を着た後、もう元に戻りたくないくらい気に入ったんだ!
これまで何人もの才能ある俳優が演じてきた狂気のキャラクターを、新作「ジョーカー」で演じるのはやはり演技派として知られるホアキン・フェニックス。そしてその成果は素晴らしいものだったと評されている。
『僕がこの映画で好きなのはトッド(フィリップス監督)が「これぞジョーカーの映画だ」と言っていない点だよ。この作品にはある程度観客が携わって、自分たちの感情をこのキャラクターに重ねていくことが必要とされる。だから僕は何か一つのことに固定したくないんだ。
アーサー(主人公)が精神的な問題を抱えていたかもわからない。僕はそう思わずにこの役を演じたから。映画の中では精神的な病気を持っているといわれて、投薬されるんだからね。でも何かの病気を勉強して「彼はこうなんだ」ということはしなかったよ』
──アーサーは他者から見て同情されるような状態にあるが、演じる上でもそういう気持ちにならなかったのだろうか?
『願わくば僕が正しい演技をしていて、観客が彼に同情してくれるといいね。アーサーは同情されるべきと思うし、一方で人を不快にさせるところもあるべきだ。両方がそこにあるべきで、簡単な答えがあると思わない。でも僕らは例えば通りの向こうで誰かが殴られているのを見た時、自分に経験がなくてもそれがどういうものか想像することはできる。それは全員が共有できる普遍的な感情だ。経験したことがないことでも感情移入できるのが人間なんだよね』
──名優ロバート・デニーロとの共演はどんなものだったのだろう?
『初めて「タクシードライバー」を見たのは、14、5歳くらいのころだったけど、彼のようになりたい!と思った。大ファンだったから、いろいろ質問したいことがあったんだけど、共演シーンは4日間もかかる大がかりなもので、僕は役に集中しなくちゃいけなかったから、話をする機会がなかったんだ。でもプレスなんかで彼と再会できたら、いらいらさせるくらい質問しちゃうんじゃないかな』
──かなりのめり込んだ役作りをしたようだが、ジョーカーになった時の感想は?
『メイクもヘアーも衣装も完全にジョーカーの扮装をした時、何か特別なことが起こったわけではないけれど、それは僕を完全にどこか違うところまで連れて行ってくれた気がした。その後、僕はもうアーサーに戻りたくなかったくらいだ。ジョーカーを演じるのがすごく好きだったよ』
──こういうアイコン的キャラを演じたことで、自分のキャリアに何か変化があると思う?
『僕は映画が最終的にどうなるかは考えずに仕事をするだけなんだ。長い間僕はこれが自分とトッドの間だけのパーソナルなものだと感じてきた。そういうことが今後どうなっていくかはわからないな』
──予告編を見ただけで「とてもクール」「早く見たい!」と観客も好反応のようだが。
『素晴らしいね!できれば宣伝で日本にも行きたいね。みんなで嘆願署名をしてくれないかな(笑)』