全てのシーンで「映画の教科書」のような巧みな構図を実現
本作は、これまでロベール・ブレッソンやアルフレッド・ヒッチコックについてのドキュメンタリーを撮り、小津映画に欠かせない脚本家の野田高悟に因んでコゴナダと名乗る新進監督による長編デビュー作。奥行きを生かした画面の構図や、間の取り方など、小津の芸術性を研究し、全てのシーンで「映画の教科書」のような巧みな構図を実現。 小津と同じような感覚を現代につなぐことに成功した本作で一躍注目を集め、2020年にはコリン・ ファレル主演、A24製作による新作『After Yang』が公開予定。
本作の舞台は、エーロ・サーリネン、IMペイ、リチャード・マイヤー、ジェームス・ポルシェックなどの代表作が建ち並ぶモダニズム建築の宝庫インディアナ州コロンバス。二人の対照的な男女の出逢いと心象風景、そして建築物の声に耳をすませ新たな人生に向かって歩き出す姿が描かれる。
すべてのカットが巨匠たちによる建築へのラブレターとも言うべき映像美に彩られ、サンダンスをはじめ23の映画祭にノミネートされ8冠を獲得。是枝裕和監督が二度監督賞を受賞しているクロトゥルーディス賞では『君の名前で僕を呼んで』を抑えて撮影賞を受賞。全米映画批評No.1サイト・ロッテントマトでは満足度97%を記録している(11月25日現在)。
韓国系アメリカ人のジンは、講演ツアー中に倒れた高名な建築学者の父を見舞うため、モダニズム建築の街として知られるコロンバスを訪れる。父の容態が変わらないためこの街に滞在することになったジンは、地元の図書館で働くこの街の建築に詳しいケイシーという女性と出会う。
ジンは父親との確執から建築に対しても複雑な思いを抱え、コロンバスに留まることを嫌がり、ケイシーは薬物依存症の母親の看病を理由に、コロンバスに留まり続ける。どこまでも対称的な二人の運命が交錯し、たがいの共通項である建築を巡り、語ることで、それぞれの新しい人生に向かって歩き出す…。
主人公のジンを演じるのは『スター・トレック』『search/ サーチ』のジョン・チョー。 ピープル誌の「最も魅力的な男性 50 人」にランクインするほど人気上昇中の彼は、『 THE JUON/ 呪怨』 のリブート作品『ザ・グラッジ(原題)/ The Grudge 』への出演が決まっている。
ケイシー役には『スプリット』『スウィート 17 モンスター』 の 若手注目女優 ヘイリー・ルー・リチャードソン。さらに“インディーズ映画の女王”と称されるパーカー・ポージーや、マコーレー・カルキンの実弟ロリー・カルキン、ミシェル・フォーブスなど実力派のバイプレーヤーが競演。
一方で“建築のもつ人を癒す効果”が鍵となる本作では、第二の主人公として街中にあふれる建築物たちが、ポストロック・バンドのハンモックによる美しい音楽とともに、効果的に演出されている。
コロンバス
2020年3月よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
配給:ブロードウェイ
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