恐怖はウィルスより早く感染する!バックナンバーにみる「コンテイジョン」
スティーヴン・ソダーバーグ監督、出演もマット・デイモン、ジュード・ロウ、グウィネス・パルトローほか豪華な顔ぶれ。2011年10月に発売されたSCREEN12月号では、マット・デイモンのインタビューも交え、以下の通り紹介している。
<解説>
致死率20%、他人との接触だけで感染するという猛毒性ウィルスの世界的パンデミック(爆発的感染)の恐怖を描くスティーヴン・ソダーバーグ(「オーシャンズ11」)監督作。出演はマット・デイモン、グウィネス・パルトロー、ローレンス・フィッシュバーン、ジュード・ロウ、ケイト・ウィンスレット、マリオン・コティヤールほか。
<ストーリー>
その日、香港、イギリス、東京で3人の人間が同じ症状で死亡した。米ミネソタ州でも、香港から戻ったベス(グウィネス)が激しい痙攣を起こし、あっという間に息を引き取る。呆然とする夫ミッチ(デイモン)だが、不調を訴えていた息子までが死亡。彼らの遺体はCDC(米国疾病管理予防センター)に送られ、極めて危険度の高い伝染病と認定、主幹のチーヴァー(フィッシュバーン)らが調査に乗り出す。彼は右腕のミアーズ(ケイト)を現地に派遣、一方でWHO(世界保健機構)はオランデス(マリオン)を香港に向かわせ感染元の究明を急ぐ。その結果、マカオで最初の発症者の三人とベスがニアミスしていたことが判明。このウィルスは触れただけで感染するのだ!
わずか数日で感染症は爆発的に増加。CDCはウィルスの培養に成功するが、ワクチンが製造されるまでには一年近くかかるだろう。それまでにどれだけの人間が生き残れるのか。そんな中、ミアーズも感染し、オランデスは誘拐され政治的取引の人質にされてしまう。街ではパニックが起きスーパーや銀行が襲われ、CDCを批判するジャーナリスト(ロウ)が人々の教祖に祭り上げられたりする。
数ヶ月後、CDCの医師の献身的努力のおかげでワクチンが完成。全世界の死亡者数2600万人。パンデミックの終息を前に、ミッチは在りし日のベスの笑顔を思い浮かべる。(原題「接触感染」2011年度作品。1時間46分。アメリカ映画。11月12日公開。ワーナー映画配給)
「手を何度も洗ったり異常に神経質になってしまったよ」マット・デイモン インタビュー
「コンテイジョン」の会見にマット・デイモンはつるつるの坊主頭で現れた。映画の中ではもしやもしやと乱れ髪だったから、まるで別人のようだ。
「初めて見る人はみんな口をあんぐり開けて、しばらく経つと“触ってもいい?”なんて聞いてくる。坊主頭のカツラがあるのに、と勝手に憤慨する輩もいるし。妻はかなりのけぞっていたが、子供たちはすぐに僕の頭をボールのように扱いだしたんだよ」
ハキハキと優等生のように答えるマットだが、この10月8日には41歳になったのである。若々しい顔と姿勢が彼の長所とはいえ、学生服を着たら高校生に間違えられそうだ。
「親友のスティーヴン(ソダーバーグ)から強力な伝染病のドラマを作りたいと聞いて、彼ならリアリスティックに責任を持った状況の話を創作するだろうと確信して出演を決めた。荒唐無稽なホラー映画で、伝染病を嘘っぽく、大袈裟に、吸血鬼もどきに使うような映画はごめんだからね。彼が映画を撮ると有名なスターが次々に出演をOKしていく。まさかグウィネス(パルトロー)が僕のワイフの役になるとは思わなかった。「リプリー」の時に僕が憧れた金持ち娘を演じていたのも面白いよね。おまけにリプリーにアイデンティティーを乗っ取られる役をしていたジュード(ロウ)が、今回は反体制主義のブロガーを熱演しているし。
前からばい菌を気にしていたが、子供たちはまだ小さいし、手を何度も洗ったり、異常なほど神経質になってしまった。現実にありえる話だが、結局は普段の手洗いやうがいが予防としては一番効果があると聞いたよ」
手を頭にやるのは、うすら寒いのか、何かからプロテクトしているのか、まだ慣れなくてつい触ってしまうのか。ともかくよく頭のてっぺんをなでている。この頭は「エリシアム」というニール・ブロムカンプ監督の映画のためで、目下、ジョディー・フォスターやディエゴ・ルナらと共演中だそうだ。(LA・成田陽子)