(カバー画像:「キャプテン・マーベル」より ディズニーデラックスで配信中/© 2019 MARVEL)
杉山すぴ豊
アメコミ系映画ライター。雑誌や劇場パンフレットなどにコラムを執筆。アメコミ映画のイベントなどではトークショーも。大手広告会社のシニア・エグゼクティブ・ディレクターとしてアメコミ映画のキャンペーンも手がける。
アメコミ映画のための“ほんのちょっと”
この原稿を書いている時に、紀平照幸さんが天に召されたことを知りました。元SCREENの編集長で映画ライター。もちろん映画への造詣が深い方。なによりも映画への愛にあふれる素晴らしい人でした。
紀平さんは、いま僕に2つのことを気づかせてくれました。紀平さんの命を奪ったのはコロナ・ウィルスではありません。でも紀平さんがとても楽しみにしているものを奪った。007がとてもお好きだったのです。このウィルスがなければ007を観ることができたでしょう。当たり前のように思っていた“観たい映画を観に行ける”ということがどれだけ幸せなことか。映画を楽しめる、という日常が戻ったら僕らはそのことにもっと感謝しなければ。(試写会に行くと会場にはいつも紀平さんがいらっしゃいました。きっと007の時もこれからも紀平さんは会場に来てくれるハズ。フォースのように立っているかな。そう信じています)
もう一つ気づかせてくれたのは映画ライターの使命です。映画を作る人がいて、それを届ける映画会社や劇場の人がいて、映画を観るファンがいます。本来ならそれで十分。でも映画の楽しみ方をもっと広げてあげたい。ほんのちょっとだけこういうことを知ればその映画のことがもっと好きになる、映画生活はより楽しくなる。その“ほんのちょっと”を届けるのが映画ライターなのです。紀平さんはずっとそれをなさってきた。
紀平さんはあらゆる映画の知識をお持ちだからアメコミ映画だって全然ご自身で語れるのに、この連載等、僕に出番を譲ってくれました。その期待にこたえることが紀平さんへの恩返しです。これからもアメコミ映画のための“ほんのちょっと”を皆さんにお届けしたいと思います。
マーベルが新たな公開スケジュールを発表したことで新しいワクワクを感じてしまう!
『ブラック・ウィドウ』の公開がずれこんだことで、マーベル・スタジオ(MCU)が新たな公開スケジュールを発表しました。
- 2020年11月6日『ブラック・ウィドウ』
- 2021年2月12日『エターナルズ』
- 2021年5月7日『シャン・チー&ザ・レジェンド・オブ・ザ・テン・リングス』
- 2022年2月11日『マイティ・ソー/ラブ&サンダー』
- 2022年3月25日『ドクター・ストレンジ・イン・ザ・マルチバース・オブ・マッドネス』
- 2022年5月8日『ブラックパンサー2』、7月8日『キャプテン・マーベル2』
(トム・ホランドのスパイダーマン3作目はソニーの配給でいまのところ2021年11月5日に)
また配信ドラマは2020年8月『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』、12月『ワンダヴィジョン』、2021年が『ロキ』『What If?』『ホークアイ』、2022年が『ミズ・マーベル』『シーハルク』『ムーンナイト』。元々『エターナルズ』の公開予定日に『ブラック・ウィドウ』をもってきたので玉突きに公開順がずれていったわけです。
この中で注目したいのは『キャプテン・マーベル2』の製作・公開日が発表されたこと。その内容についてファンとして期待することが2つ。
1つめはコミックには女性ヒーローだけで結成されたA-FORCEという設定があるのですがそれが登場!?『アベンジャーズ/エンドゲーム』のクライマックスでキャプテン・マーベルら女性ヒーローがスパイダーマンのまわりに集まる、胸アツのシーンありましたよね。あれはA-FORCEへの伏線だったのでないかと。だからヴァルキリー、ワンダ、『シーハルク』『ミズ・マーベル』らが合流?
もう1つの可能性はX-MEN登場。実はキャプテン・マーベルはX-MENともつながりがあり20世紀フォックス版の映画『X-MEN』シリーズでアナ・パキン演じるローグやジェニファー・ローレンスのミスティークはキャプテン・マーベルのヴィランでした。
また最近のコミックでは彼女はウルヴァリンと共演している!なのでMCUにX-MENを登場させる布石として映画『キャプテン・マーベル2』というのは悪くないのです。公開日の発表だけでわくわくさせるMCUって本当にすごいですね!