オンライン開催となったサンディエゴ・コミコンで明かされた
『ニュー・ミュータンツ』の可能性
毎年この時期は、夏恒例のサンディエゴ・コミコン(以下SDCC)のレポートをお届けしていたのですが、今年はリアル開催が中止。コミコン側はComicCon@Homeオンライン開催に切り替えました。
SDCCの目玉はパネルとよばれるプレゼンテーションで、毎回ここでマーベル、DCの映画・TVの発表が行われます。SDCCというのはプロモーションの場としてタイミング的にとても良い。というのもこうした映画は基本的に夏興行、クリスマス興行の大作が多い。だから来夏公開作品にとってはちょうど1年前のキックオフになるし、クリスマス興行にとってはプロモーションの追い込みとして勢いづきます。
またドラマにとっては秋から新シーズンが始まるので直近のアピールの場としては最適なんですね。特に2017年はDCの「ジャスティス・リーグ」、マーベル・スタジオの「アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー」のお披露目があったので、ここ数年で最も熱いパネルでした。
しかし今年はDC、マーベル・スタジオともに不参加と寂しい結果に。そうした中、ファンを喜ばせたのは異色のアメコミ映画「ニュー・ミュータンツ」のパネルが実施されたことです。
この作品はもともとX-MEN映画のスピンオフとして製作された作品。若きミュータントたちが悪霊と戦うというホラー映画×青春ヒーロー物という意欲作。2018年4月13日の公開を目指していました。
X-MENはマーベル所属ですが、X-MENの映画化権は20世紀フォックス(FOX)が持っていました。FOXは2017年から2019年にかけ「ローガン」「デッドプール2」「X-MEN:ダーク・フェニックス」等様々なパターンのX-MEN映画を産み、X-MENによる独自のシネマティック・ユニバースを作ろうとしていました。
ところが「ニュー・ミュータンツ」は完成したもののFOX側が作品の出来に難色を示し撮り直しの可能性も含め公開を延期。そうこうしているうちにFOXがディズニー(マーベルの親会社)に買収され、今後のX-MEN物はMCU=マーベル・シネマティック・ユニバースでリブートされることに。
ホラーを希望されたが監督はダーク・ファンタジーとして作り公開が延び延びに?
となると「ニュー・ミュータンツ」は“ディズニーがリリースする、MCUではないX-MEN物”と中途半端な位置づけとなるのです。なので〈ディズニー・プラス〉で、さくっと配信での公開になるとも噂されていました。
ところが本作に対しディズニー側が高い評価をし、このまま公開できると判断。ようやくこの春(2020年4月3日)に劇場公開決定!と思ったら今度はウィルス禍で再延期、現状2020年8月28日劇場公開予定です。
今回の「ニュー・ミュータンツ」のパネルは監督のジョシュ・ブーン(「きっと、星のせいじゃない。」)と主要キャストがアニヤ・テイラー=ジョイ、メイジー・ウィリアムズ、チャーリー・ヒートン、ヘンリー・ザガ、ブルー・ハント、アリシー・ブラガらがそれぞれの自宅からテレ会議の形で参加。すでに撮影から3年ぐらいたっているし、キャストがみな若いのでオンライン同窓会のノリで楽しいパネル。この雰囲気からも本作が青春物であるということが十分伝わります。
一方、ここで冒頭シーン、アクションいっぱいの映像がお披露目。ダーク・ファンタジー感満載で特にメイン・ヴィランのデーモン・ベア(悪魔の巨大熊)と若き超人たちの戦いに圧倒。もともとFOXはホラーであることを希望したのに、監督がダーク・ファンタジーとして仕上げたことで両者はもめ公開延期になったそうですが、逆にディズニーはこの監督のビジョンを気に入ったそうです。僕も今回の映像をみる限り、監督バージョンでいいと思いました。あとは無事劇場公開されて欲しい、ということ。
実はこのパネルの冒頭に“8月28日劇場公開”と出た後、“Fingers Crossed(祈る)”と吹き出しで表示が出ます。無事劇場公開して欲しい、という願いですね。僕も祈りたくなるほど観たいです!