90年代のL.Aが舞台 青春映画のマスターピースが遂に日本上陸
1990年代半ばのロサンジェルス。13歳のスティーヴィー(スリッチ)は兄イアン(ヘッジズ)、母ダブニー(キャサリン)と3人で暮らしている。力の強い兄に歯が立たないスティーヴィーは早く大人になって兄を見返したいと思っていた。
ある日、街のスケートボードショップを訪れたスティーヴィーは、その店に出入りする年上の少年たちと知り合う。彼らは驚くほど自由でカッコよく見え、スティーヴィーは彼らの仲間にしてもらおうとスケートボードにも挑戦し、次第に彼らと馴染んでいくようになるが……
<チェックポイント>
主演のスリッチはスケートパークでスカウト
ヒルは脚本を書き上げた後キャスティングに入ったが、主演のスリッチはオーディションではなく日常的に滑っているスケートパークでスタッフに見出され、ヒルとの話し合いで主演に決まった。
「mid90s ミッドナインティーズ」の描く1990年代とは?
この映画の舞台は1990年代半ば。1983年生まれの監督ジョナ・ヒルが(映画の主人公スティーヴィーのように)まさに十代中盤だった時代だ。現代のようにすべてがデジタル化されておらず、お店もフランチャイズやチェーン店ばかりでなくまだ個人商店が多く存在していた時代。いまからほぼ4分の一世紀前という、若い読者は体験したことのない、想像もつかない時代と言っていいだろう。
この時期を象徴するアイテムとして登場してくるのがスーパー・ファミコン、カセットテープ、ゲームの“ストリート・ファイター” など。現物を見たことがなくとも、名前は知っているだろう超有名なアイテムだ。ただ、ジョナー・ヒルはこの時代を描くことを主眼にしているわけではなく、あくまでも10代半ばの少年の成長を見せようとしているので、これらのアイテムが前面に出て存在を主張しすぎることはない。
時代を象徴するといえばもう一つは音楽。この映画の音楽はロックバンド“ナイン・インチ・ネイルズ”のトレント・レズナーとアッティカス・ロスが担当しているが、彼らの音楽と同様に印象的なのが、ジョナー・ヒル自身が選曲した挿入曲の数々。“ニルヴァーナ”、“ピクシーズ”、モリッシー、“ファーサイド”らの当時のヒット曲からヒルがこだわったGZAの“リキッド・ソード”まで、いかにも90年代という音源が集められている。懐かしくも新しい90年代の詰まった映画だ。
ジョナ・ヒル(監督)
1983年12月20日、カリフォルニア州ロサンジェルス生まれ。2004年に「ハッカビーズ」でデビュー以後、「40歳の童貞男」(2005)などのジャド・アパトー作品で人気コメディー俳優に成長、「マネーボール」(2011)「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(2013)でアカデミー賞助演男優賞候補になり実力派俳優として認められた。本作で脚本も書き監督デビュー。妹は「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」のビーニー・フェルドスタイン。
「mid90s ミッドナインティーズ」
2020年9月4日(金)公開
原題:90年代半ば
製作:アメリカ
2018/1時間25分/配給:トランスフォーマー
監督:ジョナ・ヒル
出演:サニー・スリッチ、ルーカス・ヘッジズ、キャサリン・ウォーターストン、ナケル・スミス、オーラン・プレナット
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