『スリー・ビルボード』のフランシス・マクドーマンド主演、新鋭監督クロエ・ジャオの最新作『ノマドランド』(配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン)が、第45回トロント国際映画祭の最高賞である【観客賞】を受賞した。

トロント国際映画祭では過去10年間で観客賞受賞作品の3本(『グリーンブック』、『それでも夜は明ける』、『英国王のスピーチ』)がアカデミー賞の作品賞を受賞していることから、トロント国際映画祭はもっともアカデミー賞に近い賞との呼び声が高く、今回の受賞を受けて、本作が本年度アカデミー賞最有力作品として世界中から注目を集めている。

ガーディアン紙は星5つの最高評価を付けて「実在する“ノマド”たちに自然と溶け込んでいくマクドーマンドの演技は、キャリア史上最高のパフォーマンスとも言える素晴らしさだ。また並外れた知性とスタイルで引き出されたプロットにも圧倒された。ジャオが手掛ける作品には偉大さが詰まっている。」
バラエティ紙は「テレンス・マリックに影響を受けた撮影手法だが、編集は確実にジャオ自身のリズムだ。長くて豪華な夕日を眺めているような気分だった。『イントゥ・ザ・ワイルド』の哲学が染み渡り、それらをより深化させた作品に仕上がっている」
ハリウッドレポーターは「ジャオの初となる著名俳優とのコラボレーションは、マクドーマンドが完全に、スクリーンを共有する現実の“ノマド”たちと一体になる、素晴らしい演技を引き出した。またジャオは全作でコンビを組む撮影監督のジョシュア・ジェームズ・リチャーズとともに、雄大な風景と豪華な水彩画の夕焼けをスクリーンに映し、また孤独な道、険しい山と岩だらけの砂漠といった生活の本質的な部分では、自然の強さと独立性を見事に引き出した」と評している。

メガホンを取ったのは、アメリカ西部に生きるロデオライダーたちの姿を力強くも痛切に描いた『The Rider(原題)』(17未)でインディペンデント・スピリット賞の作品賞・監督賞ほか4部門にノミネートされ、マーベル・スタジオが贈るアベンジャーズに続く最強ヒーローチームを描いた超大作『エターナルズ(原題)』(2021年劇場公開)の監督にも抜擢されたクロエ・ジャオ。『The Rider』でもタッグを組み、『ゴッズ・オウン・カントリー』(17)では大自然の荘厳な映像美をスクリーンに焼き付けた撮影監督ジョシュア・ジェームズ・リチャーズと共に、アメリカ西部の厳しくも壮大な自然や、路上の崇高な美しさのなか、一日一日を懸命に生き延びながらも、誇りを持って自由を生きるノマドの生き様を映し出す。

ベネチア国際映画祭の金獅子賞受賞からトロント国際映画祭までもを制覇し、いよいよ2021年の賞レースの最前線を早くも本作が独走。日本公開は2021年1月だ。

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