公開記念舞台挨拶に登壇したのは、南果歩、いとうせいこう、田本清嵐、小川未祐、山本政志監督の総勢5名の面々。
『ロビンソンの庭』をはじめ、『ジャンク フード』、『水の声を聞く』など、独創的な作品で常に時代を先行してきた山本政志監督作。
本作は、理屈抜きにブッ飛んだ映画を撮ろう...そんな執念のもと、その想いを昇華させたあらゆる厄を吹き飛ばす前代未聞の最狂昇天トランス映画。
冒頭の挨拶
南果歩「ガマンの三連休のところ、遠出したい気持ちをグッと抑えて、近場の映画館にご来場いただき、ありがとうございます。日常で感じられないいろんなことを、映画の中でやっています。それを感じ取って楽しんでもらうために、映画はあるんじゃないかと改めて思っています。山本監督は、世の中が、こういう状況になることを見越して、この時期にこの問題作を世に放ったのだと思っています。現実では、やってはいけないこと、気をつけなきゃいけないこと、いろんな制約がある中で、想像の世界、虚構の世界は本当に自由だなと感じでいます。私たちは、この映画に名前を付けました、ね、いとうさん!」
いとうせいこう「心の換気映画です」
南果歩「よどんでいる世の中には、換気が大事です。“CHANGE AIR MOVIE”、通称“CAムービー”を観て心の換気をしてください」
いとうせいこう「自粛していないことしか出てこない映画というのは奇跡的です。脚本の段階でNGにならなかったのが、不思議なくらいの作品なんです。この映画で皆さんの気持ちがゆるんでくれたら、この映画に意味ができる気がしています」
田本清嵐「連日ニュースを見ていると、数字が増えた、減った、最多更新といった言葉が飛び交っています」
いとうせいこう「ワイドショーの司会者みたい」
田本清嵐「毎日、一喜一憂する中で……、何を言おうとしたのか忘れちゃいました。(少し考えて)この映画に来てくれた人は、ポジティブだと思います。そんな方たちに観ていただけたのはとても幸せなこと。撮影現場で“一体何をやっているんだ”と思うこともあったけれど……」
いとうせいこう「僕は果歩さんが飛んだシーンで“何をやっているんだ”という気持ちになりました」
南果歩「あれがこの映画最大の見せ場じゃないですか!」
いとう「全スタッフ、全勢力を集中させて作り上げたシーンなのに、メイキングが来ていなかったんだよね、びっくりしたよ」
南果歩「なので、スタッフさんにスマホで動画撮影するようにお願いしたんだよね」
小川未祐「いろいろなことが抑制する世の中で、映画館で声を出して笑えることはいいことだなと、改めて思いました。私も、映画館では声を出して笑ってしまうほうなので、映画館がそういうのを堪える場所になってしまっていることを寂しく感じています。この映画は、堪えなくていい、何かのフックが外れちゃう映画なので、出演できたことを良かったなと感じています」
本作の最大の見せ場
南果歩「監督はこの映画の最大の見せ場はどこだと思っていますか?」
山本監督「基本的には笑ってもらいたいという気持ちで作っています」
いとう「コメディ精神もあったの?」
山本監督「も? コメディ精神しかないです」
南果歩「アートもちゃんと出てきていますよ、あの謎の物体とかね。超アートですよ」
山本監督「(一番の見せ場は)ダンス」
いとう「こんなにたくさんの人が場内にいるとは思わなかったです。ありがたいです。楽しかったですか?」
会場は「拍手」
山本監督「周りが拍手すると、みんなつられて拍手しちゃうもの」
出演の決め手
いとう「あの、鬼才・山本政志がなぜ私を!怖いもの見たさで、やってみたいと思った。面識もなかったし、世界観を知っていたわけでもないんですね」
南果歩「すぐに打ち解けた。こういう人だから」
田本清嵐「映画だからこそできることしか入っていない。無限大という印象を受けたので、やるしかないと思いました。実際、世の中が窮屈になってしまったからこそ、改めてやって良かったと感じています」
小川未祐「オーディションに受かって、台本を読んで、“おぉ”ってなりました。監督の過去作を2本くらい観て、さらに“おぉ”ってなりました、今まで触れてこなかったレベルの破茶滅茶な感じだったので。でも、そういうものに対しての漠然としたワクワクみたいなものはありました」
いとうせいこう「僕は、80年代キッズなので、山本監督の作品はずっと見てきた世代です。なので、山本政志からオファーが来た、“スゲェな、オレ”となりました。もちろん脚本を読んで、監督の描くものがおもしろくなくなっていたら、受けるつもりはなかったのですが、読んだら、やっぱりおもしろかったので、“ぜひ!”と思いました。出演していなかったら、作品を観て映画館で”出てればよかった”って後悔していたと思う。出演して本当によかったと心から思っています」
山本監督「こういう楽しい映画は、楽しい現場でなくちゃいけない。このメンバーも含めてスタッフも出演者もみんな楽しい人ばかりで。映画を作るのはすごく楽しいって改めて思いました。果歩ちゃんなんて、待ち時間が長引いても、“8時間待った!イエーイ!”って出てくるくらいだったし(笑)」
いとうせいこう「おもしろくしてくれるので、たとえ人形みたいに扱われても、気にならないというのが山本監督の映画だと思いました」
最後にメッセージ
小川未祐「やっぱり映画が好きだなって再認識できた作品です。コロナ直前に撮影された映画が、コロナ明けに公開されて、自粛期間の悶々とした気持ちをスッキリさせてくれました。これからも、もっと広まるようにがんばります」
田本清嵐「映画館で映画を見ていただけるのはうれしく思います。グッズもあります。これを皆さんがたくさん買っていただければ、山本監督の次の作品にもつながるんじゃないかなって思っています。どうぞよろしくお願いいたします」
いとうせいこう「映画館を出た後に、どんな話だったっけ?あいつどうなったっけ?と感じる映画です。いろんな人が交差して、単純じゃないものを持っている。馬鹿馬鹿しいけれど、そんなところがあるんです。口コミで広がっていくタイプの映画だと思っているので、こそっと映画館に足を運んで広めていってもらえればと思います。ご協力をお願いいたします」
南果歩「私は、映画は映画館で見るのが一番好きです。山本監督は、すごく個性的で他の監督にはない感性を持っていて、この作品で殻を破ることができたのを私自身、うれしく思います。体調に気をつけて、気が向いたら、映画館に足を運んで楽しんでください」
山本監督「これ以上、何をしゃべればいいの? 昔話? 違うね。体感してもらうタイプの映画です。映画館のドアを開けて出て行った瞬間から、何か効果を感じる作品だと思います。ぜひ、口コミ等、よろしくお願いいたします!」
STORY
笹谷家は、父修次は破産のため永年住んだ豪邸を手離す事になった。
娘のあかねは、ヤケクソ気分で 「パーティをしましょう。誰でも来てください。」とツイートした。
すると瞬く間に拡散し、数年前に家を出た自由奔放な元妻・昭子、インド人のゲイカップル、問題の多いあかねの友人、台湾から来た観光客の親子、酔っ払いOL、謎の老僧?…と、続々と招かれざる客が笹谷家に殺到し、しだいに狂喜乱舞の楽園状態になっていく。
これは現実か、それとも幻覚か、果たして彼らの行く末は!?
もう誰も逃げられない。『脳天パラダイス』への扉が今、開いてしまったのだ!
映画『脳天パラダイス』
<出演>
南果歩 いとうせいこう 田本清嵐 小川未祐 玄理 村上淳 古田新太 柄本明
大河内健太郎 小竹原晋 星野園美 沢井小次郎 安田ユウ 李丹 張天屹 野村陽介
ニール・ターリセッチィ アレック・アスギャリー 和川ミユウ 植田紗々 髙橋里恩
江波里香 渡瀬うみな 齋藤勇真 森川貴 庄司浩之 ノブヲ 畑中タメ 吉田茂樹
牧山みどり 紀那きりこ 藤本国彦 島津志織 小林敏和 菊地敦子 清水ひさを
鳳ルミ 柳川竜二 永山愛樹/竹舞(TURTLE ISLAND/ALKDO)
<スタッフ>
監督:山本政志 脚本:金子鈴幸、山本政志
企画:シネマインパクト、C・C・P
協賛:高見庭園
配給:TOCANA
製作協力:UNIVA Guangzhou Trading
製作:パンクチュアルカルチャー 大江戸美術
©︎2020 Continental Circus Pictures
公式HP:no-ten.com