細田監督が再びインターネットの世界を描く『竜とそばかすの姫』
2021年4月に設立10周年を迎えたスタジオ地図が贈る細田守監督最新作『竜とそばかすの姫』が7月16日(金)より公開。主人公は17歳の女子高校生・内藤鈴(すず)。母の死をきっかけに現実世界で心を閉ざしているすずは、全世界で50億人以上が集う仮想世界<U>に参加し、歌姫ベルとして、心に秘めた歌を歌うことで一躍世界の人気者に。そんななか、ベルの前に<U>で忌み嫌われる竜の姿をした謎の存在が現れる──。
『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム! 』(2000)、『サマーウォーズ』(2009)と約10年に1度描いてきたインターネット世界を、『時をかける少女』(2006)以来となる女子高校生を主人公に迎え、世界の片隅で自分を失ってしまった少女が開く新しい扉、未知との遭遇、成長の過程を“リアル×ファンタジー”を通じて描き出す!
10周年記念グッズのテーマのひとつは“青空と入道雲”
細田監督作品の象徴でもある“青空と入道雲”をモチーフにしたスタジオ地図10周年グッズは、キャンバスパネル、グラス&コースターセット、フェイスタオル、ミニトートバッグ、白桃緑茶というラインナップ。
「これまで雲を使った場面写真でグッズを作ることはあったけれど、青空と入道雲だけという使い方は初めてです」と明かす渡辺さん。キャンバスパネルは、サイズも値段もちょっとしたところに飾って夏を感じるのにぴったりの商品となっている。
色味がテーマのイメージにしっくりきたという津軽びいどろには“青空と入道雲”がプリントされたオリジナルの布コースターが付く。グラス&コースターセットに合わせたいのが、白桃緑茶。
村松さんは「ブルーのお茶、バタフライピーティーも候補にありました。でも、スタジオ地図作品にはすべての作品に登場する“桃”にこだわりたかったのと、『竜とそばかすの姫』の劇中でも、すずがアイスティーに切った桃を入れるシーンがあるので、最終的には白桃緑茶になりました。香りも味もすごくよくて、夏には水出しで召し上がっていただきたいです。津軽びいどろのブルーと緑茶の薄いグリーンがマッチします」とおすすめしてくれた。
繊細なニュアンスを表現できる<プリマグラフィ>を採用
『竜とそばかすの姫』グッズで受注販売中(スタジオ地図SHOP web限定)のプリマグラフィとクリスタルトートバッグはこだわりが詰まった商品となっている。プリマグラフィにはクリアファイルやポストカードとは違う高精細な印刷技術を採用。
<プリマグラフィ>とは、アメリカで版画製作の技法として登場したジークレー技法と凸版印刷が製版・印刷で培った色調整技術を融合させたもの。ジークレーとはフランス語で「吹き付ける、噴霧する」という意味で、美術版画製作の世界では、シルクスクリーン、リトグラフと並ぶ新たな技法として定着している。
オフセット印刷のようなスクリーントーン(網点)ではなく、微細なインク滴を吹き付けることにより、紙の風合いを活かしながら繊細なニュアンスを表現できる点が特徴だ。そんなこだわりの印刷技術を採用したプリマグラフィの美しさは必見! 額装することで、より美しさと高級感を引き立てる商品となって手元に届くそうだ。
劇中に登場した「Who is she?」の文言とともに、ベルがデザインされたトートバッグには、大小2つのサイズのスワロフスキー®・クリスタルが合計250粒以上使用されている。
これらは特殊加工により、光の加減や見る角度によって、オーロラのように様々なカラーに見えるのが特徴。中にはポケットがついているので、使い勝手も良さそう。歌姫ベルの美しい衣装を彷彿とさせるデザインとなっている。
グッズ制作はスケジュールと色味との戦い
10周年記念グッズと最新作の公式グッズ。それぞれのグッズ制作が重なり、いつも以上に制作現場は大変だったそう。3人は「スケジュールと色味との戦いでした」と口を揃える。
例えば、10周年記念グッズのアクリルスタンドは『竜とそばかすの姫』を含めたスタジオ地図全6作品分を作成。デザインに使用する場面写真&セリフ選びにはかなり苦労したそうで、村松さんは「各作品2種類しかシーンとセリフが選べないのが難しかったです。また『竜とそばかすの姫』は完成版を観てから作るわけではないので、選んだシーンやセリフが削られていたらどうしよう、なんて内心ヒヤヒヤしていました」と振り返った。
スケジュール、そして色味との戦いが今回のグッズ制作現場の思い出と語った3人。「トートバッグの淡い色を出すのは本当に難しかったです。どのグッズも色味の調整を何度もやった記憶があります」と明かした村松さん。
宮沢さんが「チェックしすぎで目がおかしくなっていたのか、フェイスタオルの色味チェックで同じものと気づかずに見比べていたこともありました」と思い出し笑いをすると、渡辺さんが「私はこれがいいと思う、とか言い切ったのに、実は全部同じ色味だったことがわかったときには、恥ずかしかったですよね」と苦笑いする場面も。どれほど細かいチェック作業だったのかがうかがえるエピソードだ。
こだわりのビニールポーチや巾着袋も
色味で一番苦労したビニールポーチをはじめ、トートバッグ、巾着などは、場面写真をそのまま使うのではなく、コンセプトアートを使用したり、さらにデザインをひと工夫加えるなどのこだわりも。
これまでにない作り方に挑戦したこと、さらに対面ではなくオンライン打ち合わせがメインだったことで、制作過程では二転三転は当たり前だったという。そのような状況で完成した商品について三人は「最終的にいいものができたので、苦労もいいなって思います」と微笑んでいた。
『竜とそばかすの姫(英題:BELLE)』は国際映画祭の最高峰であるカンヌ国際映画祭のオフィシャル・セレクション内に新設された「カンヌ・プルミエール部門」に選出された。日本での公開前夜にあたるフランス現地時間7月15日20:00のカンヌでのワールドプレミアには細田監督自ら臨む予定とのこと。
本作のセールスエージェントと各国の配給会社も日本のグッズをカンヌでのプロモーションに活用するとのことなので、世界での反応も楽しみだ。
(取材・文/タナカシノブ)