2021年7月15日まで開催されている【Peter Barakan’s Music Film Festival】で上映され、大きな反響を巻き起こしたドキュメンタリー映画『ジャズ・ロフト』が、10月15日(金)よりBunkamuraル・シネマにて正式に公開されることが決定した。

1950年代半ば、マンハッタンのとあるロフトで繰り広げられていた気鋭ジャズ・ミュージシャンたちによるセッションを、写真家ユージーン・スミスが密かに記録した。その録音テープ、写真を元に構成したドキュメンタリー映画『ジャズ・ロフト』。

画像: Self-portrait, W. Eugene Smith, (c) 1959 The Heirs of W. Eugene Smith.

Self-portrait, W. Eugene Smith, (c) 1959 The Heirs of W. Eugene Smith.

写真家、ユージーン・スミス(1918-1978)。戦場カメラマンとして活動後、当時絶大な影響力を誇った雑誌「ライフ」などで意欲的な作品を数多く発表、70年代には水俣病患者を捉えた写真集によって世界に衝撃を与え、のちにジョニー・デップ主演『MINAMATA―ミナマタ―』(9月23日、日本公開)として映画化もされた。
そんな彼が1950年代半ばから住んでいたマンハッタンのロフトには、連日連夜様々なジャズ・ミュージシャンが出入りし、ジャムセッションを繰り広げていた。「ライフ」編集部との軋轢や家族の不和を抱え、逃げるようにこの地へ移り住んだスミスは、ただ純粋に音楽を楽しむためだけに集まった彼らの自由奔放な演奏をつぶさに録音し、シャッターを切ることに没頭する。
そのむせ返るような熱気を余すところなく伝えるのがドキュメンタリー映画『ジャズ・ロフト』である。この花屋の問屋街に位置する5階建ての薄暗いロフトに集まったのは既に絶頂期を迎えていたセロニアス・モンクや作曲家・ピアニストとして名を馳せる前のカーラ・ブレイ、さらにはズート・シムズ、ホール・オーバートン、ロニー・フリーといった名うてのミュージシャンたち。彼らの一挙一投足を逃すまいと部屋中に録音用の配線を張り巡らせ、何千枚もの写真を撮るスミス。このユニークなコラボは8年間にわたったという。
単なる記録の域を超えて浮き彫りとなるのはジャズ・ミュージシャンたちの圧倒的な存在感、刹那的な生き様、そして彼らとの交流を通して、人生の岐路に立たされていたひとりの写真家が抱く新たな決意。また歴史的な報道写真の数々を生み出してきた暗室での孤独な作業やユーモアと気難しさを併せ持つスミスの複雑なパーソナリティが多くの証言者によって明かされる。

さらにはのちにタウンホールでの名演として結実するモンクとオーバートンのリハーサルや打ち合わせ風景など、今まで公になることのなかった貴重なやりとりも注目のひとつ。まさに今その場で起こる奇跡に立ち会っているかのような臨場感を存分に堪能できる。

映画『ジャズ・ロフト』
原題:The Jazz Loft According to W. Eugene Smith
2015 年/87 分/イἀリス/英語/B&W、カラー/ヴィスタサイズ/5.1ch
©2015 The Heirs of W. Eugene Smith
配給:マーメイドフィルム/コピアポア・フィルム

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